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少女と追手と2人の騎士
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リーンハルトは帝都から遠く離れたカルガーム領の領都に来ていた。ここからフォルトガラム聖武国の王女、フランメリア一行を帝都まで護衛するのだ。
既に王女は到着しており、明日まで領都に泊まる。今ごろ領主が屋敷で盛大にもてなしている頃だろう。
「……よし。これで終わりっと」
リーンハルトは使節団の荷物を馬車へと積みなおしていた。リーンハルトだけではない、連れてこられた騎士や領兵たちが全員で仕事をしている。
リーンハルトは自分の分が終わったが、空はすっかり暗くなり始めていた。
「さすがにお腹が空いたな……」
「リーン、終わったのか。飯行こうぜ、飯」
「ビルツァイス。……今まで何を? 俺と同じ持ち場だったはずだけど……」
「……ま、細かい事は気にするなよ!」
ビルツァイス。リーンハルトと同じく、帝都から派遣されてきた貴族だ。だが荷運びなどの労働を極端に嫌い、こういうのは平民の仕事だと言ってはサボっていた。
貴族意識がありお調子者の反面、人付き合いは悪くない。リーンハルトは歳も近い事もあり、カルガーム領に来るまでに随分と仲良くなった。
「いいよなぁ。王女様たちは領主とパーティだぜパーティ。俺もあっちの警備担当に配属されていたら、いくらかパーティ気分を味わえたのによぉ」
「いや、偉い人の警備任務は結構プレッシャーだよ。俺はこっちの方が気が楽かな……」
2人は食事が配給される仮設食堂へと足を進める。明日の朝は早いし、早く食事を済ませて寝ておきたかった。
「知ってるか? 王女様、バリバリの軍人思考の持ち主だって話だぜ。しかも自分も騎士団に所属し、剣の腕もすげぇとか。一体どんな顔なんだろうな。俺は男みたいな奴と思ってるんだけど」
「よせよ。どこで聞かれているか分からないぞ」
仮にも国賓であり、フォルトガラム聖武国の王族として久しぶりに大陸に来た王女だ。何かあれば外交問題になるし、場合によっては両国で戦争が始まるきっかけになりかねないのだ。
「大丈夫だって! それに何かあったら大問題なのは俺も分かってるとも」
「本当かい?」
「おう! それよりリーン、お前、婚約者はいないのか?」
「え、えぇ!?」
「なんだ、いないのか。俺なんてなぁ……」
他愛ない話をしながらも足は真っすぐに食堂を目指す。やがてその建物が見えてきた時だった。
「……おい、聞いてるか、リーン。それでな、俺はその女に……」
「……静かに。ビル、あれ……」
リーンハルトが警戒を促す様に声を出す。ビルツァイスはつられてリーンハルトの視線の先に顔を向けると、そこには何かを持った人影が移動しているのが確認できた。
「おい、あれは……」
「食べ物泥棒……かな?」
もう辺りも暗いため、詳しくは見えなかった。だがもしかしたら泥棒の可能性もある。
「おいおい。今この区画にいるのは、使節団関係者だけのはずだぞ」
もし身内の者が騎士団の物資の横領をしていた場合、重罪となる。そして使節団の物資に手を付けていた場合は、即座に外交問題となるだろう。
「まだ分からない。もしかしたら上からの命令なのかもしれない」
「上からの命令であんなこそこそ物資を持っていくか? それにあっちは区画の外だ。明らかに逃げるつもりじゃないか」
「とにかく。ここで変に騒ぐのはまずい。だからと言ってこのままもまずい。……ビル。君はこの事を隊長に伝えて。俺は……」
「おいおい、こんな面白そうな事を独り占めするんじゃないって! ほら、ここで言い合っている時間ももったいない。早く追いかけようぜ!」
「ビル……」
口では軽口をたたいているが、リーンハルトはビルツァイスが心配してくれているのが分かった。2人は怪しい人影の消えた方向へと速足で向かう。そして。
「おい、リーン。これ……」
「ああ……」
リーンハルトたちがいる区画は、簡易的な柵で覆われていた。だが目の前の柵は破損しており、人が出られる大きさの穴が空いている。
「脱走……?」
「もしくは地元の領兵がここから物資を運び出し、外で売りさばいてるんじゃないか? なんにせよこんな事、もしフォルトガラム聖武国の王女に知られたら……」
帝国は野蛮人の国だとか、まともに兵を管理できない無能者が指揮を執っているとか、好き勝手言われるだろう。何せ長年、両国は決して良好な関係を築いてきた訳ではないのだ。
そしてカルガーム領の領主は厳格な人格の持ち主で知られている。物資を運びだした者も、それを許した騎士団も等しく同罪として強く抗議する可能性があった。
「こりゃもう放置、知らんぷりの方が良い気がしてきたな……」
「そうはいかないよ。俺はもう少し先まで行ってみる。ビルは……」
「分かったよ。俺も行くって……。はぁ……」
2人は穴を通って柵の外へと出る。しばらく進んで見つけられなかったら大人しく戻ろうと考えていた。しかしその途中、何者かが争う音を聞き取る。
■
ダームとミニリス、それにベインの3人は無事に大陸に降り立つ事ができた。
3人は暗くなるのを待ち、食料を盗んで騎士団管理地区の外へと出る。そのまま街を避けて帝都方面へと向かう予定だった。
「しかし何とか無事にここまで来れてよかったよ」
「ああ。俺の斧をどう持ち込むかが最大の懸念だったが……」
ベインは大斧を船倉にうまく隠しながら大陸に渡った。乗り込んだ船には人足要員の平民が多く、堂々と歩いていても特に注意をする者もいなかったため、3人とも特にトラブルもなくここまで来れたのだ。
「しかし運が良かった。これが貴族ばかりの船とかだったら、間違いなくここまでずっと船底で隠れる事になっていたぜ」
「運も実力だろう」
「まぁな。ミニリス、どこか気分が悪いとかはないか?」
「うん……」
ある程度歩いたところで、ベインはダームに顔を向ける。
「これから帝都を目指すのか?」
「ああ。いろいろ報告しないといけないんでね。ミニリスの事も相談したいし」
「そうか……」
ダームの所属はあくまで組織表に存在しない秘密機関だ。自分の身分を証明できないため、ここで領主や騎士団に助力を得る事が難しかった。
ベインは曖昧な表情を見せる。ここまで関わったのだ、できれば帝都まで同行してやりたい気持ちもある。しかし帝都は因縁の地でもあった。
「どうしたよ、ベイン。まぁあんたには恩があるが、こっちの都合を押し付ける訳にもいかねぇ。一緒してくれたら頼もしいが、俺も無理にとは……」
「……待て。正面、誰か居る」
「なに……」
ベインは前方に警戒する。ダームも同様に正面に意識を向けた。暗かったから見えにくかったが、確かに誰かいる。
「ひゃっひゃ! おい見ろよカミラ! ほんとに居たぜぇ!?」
「あらほんと。いやだわ、汚物の匂いがする。幻霊クラス2なんていう汚物のね」
前方にいたのは1組の少年少女だった。2人とも年齢は10代半ばくらいだろう。
だがベインは異様な気配をその2人から感じ取っていた。ダームも額に汗を流しながら警戒を促す。
「ベイン。ありゃ俺たちが逃げ出してきた施設の子だ」
「不思議な力を使う子供か。ミニリスと同じ……」
「あぁ!? 誰がそいつと同じだって!?」
「ちょっと。私たちとその汚物を一緒にするの、止めてくれる?」
2人はそろって強い不快感を表に出す。その目には本気の蔑みの色があった。
「んでもクロン。あの大斧を持つ男、報告にあった奴でしょう?」
「だな。おいあんた。エルクォーツ持ちだろう?」
「…………!? なんだと……」
エルクォーツと言われ、ベインは反応を見せる。そもそもその単語を知っている者は限られているのだ。
「丁度いい、あれもターゲットの1人だ。おい、カミラ」
「いいわよ。タイプ顕者、幻霊クラス5の私がどれほどの武具を顕現できるのか。見せてあげようじゃん!」
カミラはさっと両手を突き出す。するとその腕の先に光が生まれた。
「なんだ!?」
「気を付けろ、ベイン! 何か武器が出てくる!」
「はぁ!?」
光は一瞬で1つの杖へと姿を変える。その杖は金属を加工した様な、どこか洗練された印象を抱かせるものだった。そして。
「クロン!」
「おう! カミラの生み出す武具、三峰杖ディムラルド! これをタイプ駆者、幻霊クラス5の俺が扱うと……こうなるんだよぉっ!!」
クロンは突如生み出された杖、三峰杖ディムラルドを掴むとそれで地面を殴る。その瞬間、ベインの周囲が光の壁に覆われた。
「なに!?」
「ひゃっひゃ! お前は最後に料理してやるよ!」
「く……!」
ベインは大斧を取り出すと、力強く光の壁を殴る。だが壁はまったく打ち破る事ができなかった。
「俺の力を以てしても……!?」
「ひゃーっひゃ! それは物理でどうこうできるもんじゃねぇよ! さて、後はミニリスと雑魚だけだなぁ……!?」
クロンの目の前にナイフが迫る。それはクロンの意識がベインに向いた一瞬で、ダームが投げ放った物だった。
相手の隙を突いたお手本の様な一投。並の者であれば、数瞬後にはその眉間が貫かれるだろう。しかし。
「あぁん!?」
クロンは何てことのない様子でそれを片手で掴んだ。それを見てダームは両目を見開く。
「あのタイミングで……掴んだ……!?」
「うっぜえぇぇ!」
「っ!」
クロンは投げられたナイフをダームに向けて投げ返す。だがこれまで投擲の訓練を積んだ事がないのか、ナイフは回転しながらダームの隣を通り過ぎていった。
(ばかな……! 今の投擲、速すぎてとても見えなかった……! たまたま軌道が外れていたから助かったが、今ので死んでいた可能性もあった……!)
うかつに武器は投げられない。ダームは懐から短剣を取り出そうとするが、その時には既にクロンが目の前にいた。
「な……!」
「おりゃあああああ!」
杖による横殴りの一撃。ダームは手甲で受け止めるが、その一撃には人の限界を超えた膂力が込められていた。
「ぐうぅ!?」
たまらず吹き飛ばされる。動き、反射神経、そして力。そのどれもが人の領域を超えていた。
「ひゃっひゃ! 駆者は身体能力の高さが最大の武器だ! そして俺は駆者にして幻霊クラスは5! つまりぃ! 最強の駆者ってことなんだよぉ!」
杖を高く掲げ、そのままミニリスに振るおうと力を込める。
「ミニリス……!」
ダームの声が響く。クロンほどの力で殴られれば、ミニリスは簡単に潰れるだろう。
ベインも何度も光の壁を大斧で叩いているが、びくともしない。ミニリスも目を閉じようとしたところで。
「待てぇっ!」
「……あぁん?」
新たな声が響いた。クロンが忌々し気に視線を向けると、そこには2人の騎士……リーンハルトとビルツァイスが立っていた。
「帝国騎士所属、ビルツァイスだ!」
「同じくリーンハルト! お前たち、ここで何を……!?」
2人は戦闘の音を聞いてここまでやってきた。目の前で少女に杖が振るわれそうになっていたため、それを止めるために前に出て来たのだが、状況に頭が追い付かない。
少女を殴ろうとしていた男は自分より年下の少年であり、その奥には別の少女もいる。そして倒れた男性に光の壁に閉じ込められた男性までいるのだ。その男性は壁の中から巨大な斧を振るっている。
「お、おい。リーンハルト、これは……」
「…………っ!?」
光の壁を見たリーンハルトは、貴族院でリニアスが絶空断ハーティアを使っていたのを思い出す。
あれも正面に障壁を展開するものであった。形は違うが、似た様な力を見た事があるのだ。だが状況の整理を許すほど、時は待ってくれない。
「雑魚が……! 俺のお楽しみタイムの邪魔をするんじゃねえぇぇ!!」
クロンの握る杖の先端が赤く光る。そして突き出す様に杖を鋭く振るった。その先端から飛び出た巨大な火球が、剛速球で2人に迫る。
「な……!?」
「うおおおお!?」
2人は咄嗟に左右へと飛ぶ。間を火球が通り過ぎていったが、その時にはビルツァイスの真横にクロンが立っていた。
「おらああああ!」
「ぐぅう!?」
下から払い上げる様に杖を振るう。体勢を崩していたこともあり、ビルツァイスはまともにその一撃を受けてしまう。金属製の鎧を着こんだ成人男性にも関わらず、その身体は大きく宙を舞った。
「ビル!」
鈍い音を響かせながらビルツァイスは地面へと落ちる。クロンは吹き飛ばしたビルツァイスの方など見向きもせずリーンハルトに身体を向けた。
「クソ雑魚の分際で……! 俺の邪魔をしやがって……!」
「く……!」
リーンハルトは今さらながらに剣を抜く。だがクロンは既に目前に迫っていた。
「おらああああ!」
「っ!」
杖の一撃にとんでもない力が込められているのは分かっている。リーンハルトはヴェルトとの剣術鍛錬を思い出す。
(ヴェルトさんの振るう剣を思い出せ……! ここは下がるでも受けるでもない! 前に進みながら避けるところだ……!)
鍛錬でできていたからといって、実戦で即座にできる者などそうはいない。だがリーンハルトは元々剣才があり、幼少の頃よりクインシュバインにも鍛えられている。
そして今日までの日々でそれなりに修羅場を生き残ってきた。今の極限の状況は、リーンハルトにさらなる集中力と感覚の拡張を促す。
クロンの振るう杖は確かに速かった。力も十分に乗っている。だがリーンハルトは足を前に進ませながらもそれを紙一重で躱す。
「な……」
だが間合いに入り過ぎたため、今さら剣は振るえない。なので、そのまま遠慮なく体重を乗せた体当たりを見舞う!
「おおおお!!」
「ぐぅ!?」
正面からまともに成人男性の体当たりを受け、クロンは堪らずその場に仰向けに倒れ込んだ。
リーンハルトも体幹が崩れているが、何とかそのまま走り抜ける。そしてミニリスの側まで駆け寄った。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」
「…………。てめえぇぇぇぇええええ……」
クロンは立ち上がると、怒りを隠さずにリーンハルトを強く睨みつける。しかし。
「クロン! 後ろ!」
「!?」
音もなくクロンの背後に忍び寄っていたダームが短剣を振るう。クロンはカミラの叫びで反応し、即座に距離を取った。
「あちゃ。嬢ちゃんに気付かれていなかったら、これで決まってたんだけどなぁ」
「雑魚が……雑魚が雑魚が雑魚が雑魚がぁ! 俺をぉ! ここまでぇ……! ゆる、ゆるさんぞおぉぉ!」
クロンはダームに向けて連続で杖を振るう。ダームは何とか躱しつつ、その直撃を受けないように立ち回っていた。
「騎士殿! その嬢ちゃんを連れて逃げてくれ! 頼む!」
「え……!」
ダームはクロンの攻撃を避けながらも叫ぶ。だがこれにはクロンも反応を示した。
「カミラぁ! もしそいつらが逃げ出そうとしたら知らせろぉ!」
「わかったわ。ほんと、汚物処理なんて仕事、早く終わらせたいんだからクロンもさっさとやっちゃってよ」
「く……!」
ビルツァイスは起き上がらず、大斧を持つ男も光の壁から出られない。だがリーンハルトも隣で震える少女を巡って戦いが起こっている事を理解していた。
片方は少女を殺すつもりで、もう片方は守ろうとしているのだ。少女には何かがあるのだろう。だが。
「……大丈夫」
「え……」
「絶対……。絶対、俺が守ってみせるから……!」
少女とは初対面だ。もしかしたら少女を殺そうとしている方に大義があるのかも知れない。
だがこうして震える少女を前にして、リーンハルトは自分だけ逃げ出す事も。ましてや、大人しく少女を殺させる様な事もできなかった。
多くの騎士たちの憧れである父なら、絶対にこの少女を守り抜くという確信がある。父の様な騎士を目指すリーンハルトとしては、命惜しさにこの状況で逃げ出すという選択肢は存在しない。
何より。ここで逃げ出しては、二度と父やディアノーラたちに対して胸を張って会うこともできない。
(ダンタリウスとルズマリアも帝国貴族としての矜持を貫き、父の元を去ってでも自分の正義を成したんだ……! 相手が異常に強いからと、ここで俺が逃げるなんて事……! できるはずがない……!)
普通なら逃げ出しても誰も責めはしないだろう。今はそういう状況だ。しかしそれが分かった上で、あえてリーンハルトは自分の意地と矜持を貫く道を選ぶ。いや、掴み取った。
そしてミニリスは、隣でそんなリーンハルトの目を見ていた。会ったばかりの自分を絶対に守ってみせると応えたその瞳を。
「…………!」
今、目の前ではダームが殺されそうになっている。ここまで自分を守り、連れて来てくれたダームが。ダームはリーンハルトに向かって、自分を連れて逃げてくれと叫んだ。
みんな。そう、みんな。誰もが命を賭して自分を守ろうとしているのだ。だがもしそんなダームが目の前で死んでしまったら。自分の心はもたないだろう。
リーンハルトの決意にダームの覚悟、そして今も壁からの脱出を諦めていないベイン。男たちの想いがミニリスの心を打つ。そして。
「リーン……ハルトさん……!」
「……!?」
「お願いです……! 私の……! 私の顕者の力を使って……! どうかおじさんを助けて……!」
「君は……」
ミニリスはぎゅっと目を閉じると両手を突き出す。その腕先には光が灯り始める。それを見てカミラは反応を示す。
「まさか……!」
「おねがい……! 私に幻霊の因子が眠っているのなら……! 今すぐ起きて……お願い……!」
光は徐々に大きくなっていく。流石にその時にはガロンも異常に気付いた。
「なにぃ……まさか!?」
「来て……! 爆極剣、ヴォルケイン!!」
ミニリスの叫びに応え、光が1つの大剣を形作る。その剣は紅く、また見る者を魅了する美しさと気品があった。
「幻霊クラス2の汚物が……!?」
「幻霊武装の顕現を……!?」
その大剣……爆極剣ヴォルケインはリーンハルトの目の前に浮いている。リーンハルトはまるで呼ばれている様に、その剣を掴み取った。
既に王女は到着しており、明日まで領都に泊まる。今ごろ領主が屋敷で盛大にもてなしている頃だろう。
「……よし。これで終わりっと」
リーンハルトは使節団の荷物を馬車へと積みなおしていた。リーンハルトだけではない、連れてこられた騎士や領兵たちが全員で仕事をしている。
リーンハルトは自分の分が終わったが、空はすっかり暗くなり始めていた。
「さすがにお腹が空いたな……」
「リーン、終わったのか。飯行こうぜ、飯」
「ビルツァイス。……今まで何を? 俺と同じ持ち場だったはずだけど……」
「……ま、細かい事は気にするなよ!」
ビルツァイス。リーンハルトと同じく、帝都から派遣されてきた貴族だ。だが荷運びなどの労働を極端に嫌い、こういうのは平民の仕事だと言ってはサボっていた。
貴族意識がありお調子者の反面、人付き合いは悪くない。リーンハルトは歳も近い事もあり、カルガーム領に来るまでに随分と仲良くなった。
「いいよなぁ。王女様たちは領主とパーティだぜパーティ。俺もあっちの警備担当に配属されていたら、いくらかパーティ気分を味わえたのによぉ」
「いや、偉い人の警備任務は結構プレッシャーだよ。俺はこっちの方が気が楽かな……」
2人は食事が配給される仮設食堂へと足を進める。明日の朝は早いし、早く食事を済ませて寝ておきたかった。
「知ってるか? 王女様、バリバリの軍人思考の持ち主だって話だぜ。しかも自分も騎士団に所属し、剣の腕もすげぇとか。一体どんな顔なんだろうな。俺は男みたいな奴と思ってるんだけど」
「よせよ。どこで聞かれているか分からないぞ」
仮にも国賓であり、フォルトガラム聖武国の王族として久しぶりに大陸に来た王女だ。何かあれば外交問題になるし、場合によっては両国で戦争が始まるきっかけになりかねないのだ。
「大丈夫だって! それに何かあったら大問題なのは俺も分かってるとも」
「本当かい?」
「おう! それよりリーン、お前、婚約者はいないのか?」
「え、えぇ!?」
「なんだ、いないのか。俺なんてなぁ……」
他愛ない話をしながらも足は真っすぐに食堂を目指す。やがてその建物が見えてきた時だった。
「……おい、聞いてるか、リーン。それでな、俺はその女に……」
「……静かに。ビル、あれ……」
リーンハルトが警戒を促す様に声を出す。ビルツァイスはつられてリーンハルトの視線の先に顔を向けると、そこには何かを持った人影が移動しているのが確認できた。
「おい、あれは……」
「食べ物泥棒……かな?」
もう辺りも暗いため、詳しくは見えなかった。だがもしかしたら泥棒の可能性もある。
「おいおい。今この区画にいるのは、使節団関係者だけのはずだぞ」
もし身内の者が騎士団の物資の横領をしていた場合、重罪となる。そして使節団の物資に手を付けていた場合は、即座に外交問題となるだろう。
「まだ分からない。もしかしたら上からの命令なのかもしれない」
「上からの命令であんなこそこそ物資を持っていくか? それにあっちは区画の外だ。明らかに逃げるつもりじゃないか」
「とにかく。ここで変に騒ぐのはまずい。だからと言ってこのままもまずい。……ビル。君はこの事を隊長に伝えて。俺は……」
「おいおい、こんな面白そうな事を独り占めするんじゃないって! ほら、ここで言い合っている時間ももったいない。早く追いかけようぜ!」
「ビル……」
口では軽口をたたいているが、リーンハルトはビルツァイスが心配してくれているのが分かった。2人は怪しい人影の消えた方向へと速足で向かう。そして。
「おい、リーン。これ……」
「ああ……」
リーンハルトたちがいる区画は、簡易的な柵で覆われていた。だが目の前の柵は破損しており、人が出られる大きさの穴が空いている。
「脱走……?」
「もしくは地元の領兵がここから物資を運び出し、外で売りさばいてるんじゃないか? なんにせよこんな事、もしフォルトガラム聖武国の王女に知られたら……」
帝国は野蛮人の国だとか、まともに兵を管理できない無能者が指揮を執っているとか、好き勝手言われるだろう。何せ長年、両国は決して良好な関係を築いてきた訳ではないのだ。
そしてカルガーム領の領主は厳格な人格の持ち主で知られている。物資を運びだした者も、それを許した騎士団も等しく同罪として強く抗議する可能性があった。
「こりゃもう放置、知らんぷりの方が良い気がしてきたな……」
「そうはいかないよ。俺はもう少し先まで行ってみる。ビルは……」
「分かったよ。俺も行くって……。はぁ……」
2人は穴を通って柵の外へと出る。しばらく進んで見つけられなかったら大人しく戻ろうと考えていた。しかしその途中、何者かが争う音を聞き取る。
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ダームとミニリス、それにベインの3人は無事に大陸に降り立つ事ができた。
3人は暗くなるのを待ち、食料を盗んで騎士団管理地区の外へと出る。そのまま街を避けて帝都方面へと向かう予定だった。
「しかし何とか無事にここまで来れてよかったよ」
「ああ。俺の斧をどう持ち込むかが最大の懸念だったが……」
ベインは大斧を船倉にうまく隠しながら大陸に渡った。乗り込んだ船には人足要員の平民が多く、堂々と歩いていても特に注意をする者もいなかったため、3人とも特にトラブルもなくここまで来れたのだ。
「しかし運が良かった。これが貴族ばかりの船とかだったら、間違いなくここまでずっと船底で隠れる事になっていたぜ」
「運も実力だろう」
「まぁな。ミニリス、どこか気分が悪いとかはないか?」
「うん……」
ある程度歩いたところで、ベインはダームに顔を向ける。
「これから帝都を目指すのか?」
「ああ。いろいろ報告しないといけないんでね。ミニリスの事も相談したいし」
「そうか……」
ダームの所属はあくまで組織表に存在しない秘密機関だ。自分の身分を証明できないため、ここで領主や騎士団に助力を得る事が難しかった。
ベインは曖昧な表情を見せる。ここまで関わったのだ、できれば帝都まで同行してやりたい気持ちもある。しかし帝都は因縁の地でもあった。
「どうしたよ、ベイン。まぁあんたには恩があるが、こっちの都合を押し付ける訳にもいかねぇ。一緒してくれたら頼もしいが、俺も無理にとは……」
「……待て。正面、誰か居る」
「なに……」
ベインは前方に警戒する。ダームも同様に正面に意識を向けた。暗かったから見えにくかったが、確かに誰かいる。
「ひゃっひゃ! おい見ろよカミラ! ほんとに居たぜぇ!?」
「あらほんと。いやだわ、汚物の匂いがする。幻霊クラス2なんていう汚物のね」
前方にいたのは1組の少年少女だった。2人とも年齢は10代半ばくらいだろう。
だがベインは異様な気配をその2人から感じ取っていた。ダームも額に汗を流しながら警戒を促す。
「ベイン。ありゃ俺たちが逃げ出してきた施設の子だ」
「不思議な力を使う子供か。ミニリスと同じ……」
「あぁ!? 誰がそいつと同じだって!?」
「ちょっと。私たちとその汚物を一緒にするの、止めてくれる?」
2人はそろって強い不快感を表に出す。その目には本気の蔑みの色があった。
「んでもクロン。あの大斧を持つ男、報告にあった奴でしょう?」
「だな。おいあんた。エルクォーツ持ちだろう?」
「…………!? なんだと……」
エルクォーツと言われ、ベインは反応を見せる。そもそもその単語を知っている者は限られているのだ。
「丁度いい、あれもターゲットの1人だ。おい、カミラ」
「いいわよ。タイプ顕者、幻霊クラス5の私がどれほどの武具を顕現できるのか。見せてあげようじゃん!」
カミラはさっと両手を突き出す。するとその腕の先に光が生まれた。
「なんだ!?」
「気を付けろ、ベイン! 何か武器が出てくる!」
「はぁ!?」
光は一瞬で1つの杖へと姿を変える。その杖は金属を加工した様な、どこか洗練された印象を抱かせるものだった。そして。
「クロン!」
「おう! カミラの生み出す武具、三峰杖ディムラルド! これをタイプ駆者、幻霊クラス5の俺が扱うと……こうなるんだよぉっ!!」
クロンは突如生み出された杖、三峰杖ディムラルドを掴むとそれで地面を殴る。その瞬間、ベインの周囲が光の壁に覆われた。
「なに!?」
「ひゃっひゃ! お前は最後に料理してやるよ!」
「く……!」
ベインは大斧を取り出すと、力強く光の壁を殴る。だが壁はまったく打ち破る事ができなかった。
「俺の力を以てしても……!?」
「ひゃーっひゃ! それは物理でどうこうできるもんじゃねぇよ! さて、後はミニリスと雑魚だけだなぁ……!?」
クロンの目の前にナイフが迫る。それはクロンの意識がベインに向いた一瞬で、ダームが投げ放った物だった。
相手の隙を突いたお手本の様な一投。並の者であれば、数瞬後にはその眉間が貫かれるだろう。しかし。
「あぁん!?」
クロンは何てことのない様子でそれを片手で掴んだ。それを見てダームは両目を見開く。
「あのタイミングで……掴んだ……!?」
「うっぜえぇぇ!」
「っ!」
クロンは投げられたナイフをダームに向けて投げ返す。だがこれまで投擲の訓練を積んだ事がないのか、ナイフは回転しながらダームの隣を通り過ぎていった。
(ばかな……! 今の投擲、速すぎてとても見えなかった……! たまたま軌道が外れていたから助かったが、今ので死んでいた可能性もあった……!)
うかつに武器は投げられない。ダームは懐から短剣を取り出そうとするが、その時には既にクロンが目の前にいた。
「な……!」
「おりゃあああああ!」
杖による横殴りの一撃。ダームは手甲で受け止めるが、その一撃には人の限界を超えた膂力が込められていた。
「ぐうぅ!?」
たまらず吹き飛ばされる。動き、反射神経、そして力。そのどれもが人の領域を超えていた。
「ひゃっひゃ! 駆者は身体能力の高さが最大の武器だ! そして俺は駆者にして幻霊クラスは5! つまりぃ! 最強の駆者ってことなんだよぉ!」
杖を高く掲げ、そのままミニリスに振るおうと力を込める。
「ミニリス……!」
ダームの声が響く。クロンほどの力で殴られれば、ミニリスは簡単に潰れるだろう。
ベインも何度も光の壁を大斧で叩いているが、びくともしない。ミニリスも目を閉じようとしたところで。
「待てぇっ!」
「……あぁん?」
新たな声が響いた。クロンが忌々し気に視線を向けると、そこには2人の騎士……リーンハルトとビルツァイスが立っていた。
「帝国騎士所属、ビルツァイスだ!」
「同じくリーンハルト! お前たち、ここで何を……!?」
2人は戦闘の音を聞いてここまでやってきた。目の前で少女に杖が振るわれそうになっていたため、それを止めるために前に出て来たのだが、状況に頭が追い付かない。
少女を殴ろうとしていた男は自分より年下の少年であり、その奥には別の少女もいる。そして倒れた男性に光の壁に閉じ込められた男性までいるのだ。その男性は壁の中から巨大な斧を振るっている。
「お、おい。リーンハルト、これは……」
「…………っ!?」
光の壁を見たリーンハルトは、貴族院でリニアスが絶空断ハーティアを使っていたのを思い出す。
あれも正面に障壁を展開するものであった。形は違うが、似た様な力を見た事があるのだ。だが状況の整理を許すほど、時は待ってくれない。
「雑魚が……! 俺のお楽しみタイムの邪魔をするんじゃねえぇぇ!!」
クロンの握る杖の先端が赤く光る。そして突き出す様に杖を鋭く振るった。その先端から飛び出た巨大な火球が、剛速球で2人に迫る。
「な……!?」
「うおおおお!?」
2人は咄嗟に左右へと飛ぶ。間を火球が通り過ぎていったが、その時にはビルツァイスの真横にクロンが立っていた。
「おらああああ!」
「ぐぅう!?」
下から払い上げる様に杖を振るう。体勢を崩していたこともあり、ビルツァイスはまともにその一撃を受けてしまう。金属製の鎧を着こんだ成人男性にも関わらず、その身体は大きく宙を舞った。
「ビル!」
鈍い音を響かせながらビルツァイスは地面へと落ちる。クロンは吹き飛ばしたビルツァイスの方など見向きもせずリーンハルトに身体を向けた。
「クソ雑魚の分際で……! 俺の邪魔をしやがって……!」
「く……!」
リーンハルトは今さらながらに剣を抜く。だがクロンは既に目前に迫っていた。
「おらああああ!」
「っ!」
杖の一撃にとんでもない力が込められているのは分かっている。リーンハルトはヴェルトとの剣術鍛錬を思い出す。
(ヴェルトさんの振るう剣を思い出せ……! ここは下がるでも受けるでもない! 前に進みながら避けるところだ……!)
鍛錬でできていたからといって、実戦で即座にできる者などそうはいない。だがリーンハルトは元々剣才があり、幼少の頃よりクインシュバインにも鍛えられている。
そして今日までの日々でそれなりに修羅場を生き残ってきた。今の極限の状況は、リーンハルトにさらなる集中力と感覚の拡張を促す。
クロンの振るう杖は確かに速かった。力も十分に乗っている。だがリーンハルトは足を前に進ませながらもそれを紙一重で躱す。
「な……」
だが間合いに入り過ぎたため、今さら剣は振るえない。なので、そのまま遠慮なく体重を乗せた体当たりを見舞う!
「おおおお!!」
「ぐぅ!?」
正面からまともに成人男性の体当たりを受け、クロンは堪らずその場に仰向けに倒れ込んだ。
リーンハルトも体幹が崩れているが、何とかそのまま走り抜ける。そしてミニリスの側まで駆け寄った。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」
「…………。てめえぇぇぇぇええええ……」
クロンは立ち上がると、怒りを隠さずにリーンハルトを強く睨みつける。しかし。
「クロン! 後ろ!」
「!?」
音もなくクロンの背後に忍び寄っていたダームが短剣を振るう。クロンはカミラの叫びで反応し、即座に距離を取った。
「あちゃ。嬢ちゃんに気付かれていなかったら、これで決まってたんだけどなぁ」
「雑魚が……雑魚が雑魚が雑魚が雑魚がぁ! 俺をぉ! ここまでぇ……! ゆる、ゆるさんぞおぉぉ!」
クロンはダームに向けて連続で杖を振るう。ダームは何とか躱しつつ、その直撃を受けないように立ち回っていた。
「騎士殿! その嬢ちゃんを連れて逃げてくれ! 頼む!」
「え……!」
ダームはクロンの攻撃を避けながらも叫ぶ。だがこれにはクロンも反応を示した。
「カミラぁ! もしそいつらが逃げ出そうとしたら知らせろぉ!」
「わかったわ。ほんと、汚物処理なんて仕事、早く終わらせたいんだからクロンもさっさとやっちゃってよ」
「く……!」
ビルツァイスは起き上がらず、大斧を持つ男も光の壁から出られない。だがリーンハルトも隣で震える少女を巡って戦いが起こっている事を理解していた。
片方は少女を殺すつもりで、もう片方は守ろうとしているのだ。少女には何かがあるのだろう。だが。
「……大丈夫」
「え……」
「絶対……。絶対、俺が守ってみせるから……!」
少女とは初対面だ。もしかしたら少女を殺そうとしている方に大義があるのかも知れない。
だがこうして震える少女を前にして、リーンハルトは自分だけ逃げ出す事も。ましてや、大人しく少女を殺させる様な事もできなかった。
多くの騎士たちの憧れである父なら、絶対にこの少女を守り抜くという確信がある。父の様な騎士を目指すリーンハルトとしては、命惜しさにこの状況で逃げ出すという選択肢は存在しない。
何より。ここで逃げ出しては、二度と父やディアノーラたちに対して胸を張って会うこともできない。
(ダンタリウスとルズマリアも帝国貴族としての矜持を貫き、父の元を去ってでも自分の正義を成したんだ……! 相手が異常に強いからと、ここで俺が逃げるなんて事……! できるはずがない……!)
普通なら逃げ出しても誰も責めはしないだろう。今はそういう状況だ。しかしそれが分かった上で、あえてリーンハルトは自分の意地と矜持を貫く道を選ぶ。いや、掴み取った。
そしてミニリスは、隣でそんなリーンハルトの目を見ていた。会ったばかりの自分を絶対に守ってみせると応えたその瞳を。
「…………!」
今、目の前ではダームが殺されそうになっている。ここまで自分を守り、連れて来てくれたダームが。ダームはリーンハルトに向かって、自分を連れて逃げてくれと叫んだ。
みんな。そう、みんな。誰もが命を賭して自分を守ろうとしているのだ。だがもしそんなダームが目の前で死んでしまったら。自分の心はもたないだろう。
リーンハルトの決意にダームの覚悟、そして今も壁からの脱出を諦めていないベイン。男たちの想いがミニリスの心を打つ。そして。
「リーン……ハルトさん……!」
「……!?」
「お願いです……! 私の……! 私の顕者の力を使って……! どうかおじさんを助けて……!」
「君は……」
ミニリスはぎゅっと目を閉じると両手を突き出す。その腕先には光が灯り始める。それを見てカミラは反応を示す。
「まさか……!」
「おねがい……! 私に幻霊の因子が眠っているのなら……! 今すぐ起きて……お願い……!」
光は徐々に大きくなっていく。流石にその時にはガロンも異常に気付いた。
「なにぃ……まさか!?」
「来て……! 爆極剣、ヴォルケイン!!」
ミニリスの叫びに応え、光が1つの大剣を形作る。その剣は紅く、また見る者を魅了する美しさと気品があった。
「幻霊クラス2の汚物が……!?」
「幻霊武装の顕現を……!?」
その大剣……爆極剣ヴォルケインはリーンハルトの目の前に浮いている。リーンハルトはまるで呼ばれている様に、その剣を掴み取った。
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