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マルレイアの提示する情報
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マルレイアたちとはその後、数日の時間をかけてしっかりと交渉を行った。結果的に黒狼会は35名の有能な者たちを新たに雇用した形になる。
だが俺自身、その35名の特性を把握できていないため、マルレイアが窓口として管轄する事に落ち着いた。予算などはマルレイアに付け、マルレイアはそれをやりくりしてエル=ダブラスを運用していく形になる。
時期同じくしてじいさんとガードンも帝都に戻ってきたため、俺はマルレイアを含めて改めて会議を開いていた。
「ほっほ。まさか結社の片割れとこうして手を組む事になるとはのぅ」
「手を組むといいますか。実際は雇用主と従業員という関係なのですが」
「これからは共に働く仲間という訳だ。よろしく頼む」
マルレイアには改めて、現在の黒狼会が帝都でどういう商売をしているのかを話す。またある程度貴族との付き合いがある事も話しておいた。
わざわざ話さなくても、リリアーナからも聞いているだろうが。
「しばらくはヴェルトさんの指示の元、帝都で働かせてもらいますね。ですが私たちは高い情報収集力も持っています。もし他国や貴族関連で調べて欲しい事がありましたら、いつでもおっしゃってください」
「どういう事態になったら、そんな仕事を頼むことになるのか分からんのだが……」
だがまぁ、クインが何か情報を欲しがっていたら、いくらか力になれるかもしれないな。フィンはそう言えば、と声をあげる。
「七殺星ってどうなったか知らない? 全員が帝都に来ていた訳じゃなさそうだし、ルードも帝都から消えたからねー」
そういやそれも気になっていた。俺と戦った閃罰者も姿を消したし、リステルマやレクタリアの遺体も消えていた。じいさんもベインには止めを刺さなかったと言うし、どこかで生きているんだろうが。
質問されたマルレイアは少し困った様な表情を見せる。
「……実は最近、エル=グナーデに所属していた戦闘員や七殺星、それに閃罰者の一部が死体で見つかっているのです」
「……なんだって?」
「エル=グナーデは事実上解体しています。レクタリアに代わって、残った者たちをまとめられる者もいませんからね。閃刺鉄鷲の方は分かりませんが、少なくとも閃罰者たちは好き勝手に過ごしていると思います。その証拠……かは分かりませんが、見つかった死体は大陸各地ばらばらに発見されているのです」
閃罰者は全員エルクォーツ持ちだし、戦闘員の中にもベインの様にエルクォーツが埋め込まれている奴が存在している。そんな奴がいきなり野に放たれたら、人によってはいきなり目立つ事をするだろう。
実際、不可思議な力の持ち主という目撃談は多く存在しているとの事だった。
「で、そんな目撃談があったところでは大体数日後に死体が見つかってるってか」
「はい。さらに見つかった死体は背中や腕の一部が抉られているそうです。おそらくその身に宿したエルクォーツが回収されているのでしょう」
「……待て。その話が本当だとすれば……」
俺も実際に戦ったからよく分かる。程度の差はあれど、エルクォーツ持ちは人の限界を超えた力を持つ。
だが襲撃者はそんなエルクォーツ持ちを打ち破る力を持ち、なおかつエルクォーツの存在を知っているという事になる。
話を聞いていたロイも難しい表情を見せる。
「エル=グナーデ同士の争い……? エルクォーツ持ち同士が争い、奪い合っているとか……?」
「それは分かりません。ですが、奇妙な目撃談が2つあるのです」
「奇妙な目撃談……?」
「はい。実際に争いを見たという者がいるのですよ」
マルレイアの話によると、2つの目撃談は人だかりの中で行われていたらしい。1つは他国にある闘技場。もう1つはそこそこ人が通る街道だ。
「おそらくエルクォーツの力を活かして、闘技場の英雄として稼いでいたのでしょう。ですがその者は、闘技場に現れた1人の少年によって不可思議な力で殺されたと言います」
「不可思議な力……」
「具体的な内容までは分かりませんが。そして街道の方では、1組の少年少女によって殺されたとか」
そしてその2箇所で共通して、死体を裸にしてその一部を抉り取る様子が見られたという。おそらくエルクォーツを回収したのだろう。
「ですが妙なのです。結社には少年少女と呼べる者は少なかったですし、その年齢でエルクォーツを身に宿す者となるとごく少数です」
そう言うとマルレイアはリリアーナに視線を向ける。そういや俺もリリアーナくらいの年齢でエルクォーツ持ちというのは見ていないな。
「ましてや相手はエルクォーツを宿していくらか時を経た者たち。それらがまったく手も足も出なかったと言います。年端もいかない者が持つ実力としては、少し違和感があるのですよ」
つまりエル=グナーデの仲間割れかどうかは怪しいという事だろう。
だがエルクォーツの情報を持っているし、正面から戦って勝っている以上、相手も魔法に準ずる何かを持っている事になる。そして大陸において、そんな力を持つ者は結社しかいない……はずだ。
「どういう事か分からなくなってきたな。閃罰者や七殺星も降しているんだろう?」
「そちらに関しては戦いの目撃情報がないので、少年少女によるものなのかは分からないのですが。しかし闘技場の少年も、街道に現れた少年少女も、自分たちをこう呼んでいたそうです。……世界新創生神幻会と」
「世界新創生神幻会……?」
何だか大仰な印象を受ける名だな。しかし別の場所で現れた少年少女たちが、全く同じ名を名乗ったのか。レクタリア亡きエル=グナーデからさらに分派したか……?
「とはいえ、噂や目撃談のまた聞きなど尾ひれ背びれが付くものです。どこまで本当の情報なのか、分かったものではありません」
「だが事実として元エル=グナーデの連中が殺されてエルクォーツを回収されている訳だ。確実に訳アリの奴らだろ」
それも相当な実力の持ち主だぞ。特に闘技場や街道という、人目につく場所で正面から挑み、殺しにかかっているのがやばい。俺たちが言うのもおかしな話だが、まともなメンタルじゃない。
目的はおそらくエルクォーツ。恨みなど怨恨の線も薄いだろう。
「……待てよ。エルクォーツというのは、元はお前たちの持っている技術だよな? そしてその何たら会とやらは、ピンポイントでエル=グナーデの残党を狩っている訳だが。その目的がエルクォーツだとすれば……」
「私たちがターゲットになっている可能性も否定できませんね」
「おいおい……」
マルレイアは悪びれた様子を見せずに話す。
まさかとは思うが、そのイカれた少年たち、エル=ダブラスを追って帝都まで来ないだろうな。こんな街中で戦闘が始まったらどれだけの人に被害が出るか……。
「エル=ダブラスをたたむ時、エルクォーツ持ちで聖王国に残った奴もいるのか?」
「多くはないですが、いるにはいますね」
「……まぁ不明瞭な部分がほとんどだし、俺たちが今気にかけてもどうしようもないか……」
そのなんたら会にしても、存在自体が疑わしい事には変わりない。
「気になるのでしたら、早速情報を集める様に指示を出しますが……」
「……いや。みんなには早く帝都での仕事を覚えてもらいたい。それに少年たちの調査をするにせよ、いつ終わるか分からない仕事になるだろう。別に黒狼会と明確に敵対している訳でもないんだ。もし帝都に来て暴れるつもりなら見逃せないが」
調べるにしても、もう少し具体的な情報が出そろってからじゃないと、そもそもどこで何を調べたらいいのか分からない。それでも何かしらの成果を出せるのがエル=ダブラスなのかも知れないが。
「分かりました。私も気にはなっているので、仕事に支障をきたさない程度に情報は集めておきましょう」
「やるな、とは言わないさ。その辺の裁量は任せるとも」
話を聞いて気になったのか、ガードンが口を開く。
「エルクォーツというのは、回収して直ぐに自分たちが使えるものなのか?」
「……ものによります。例えば身体能力強化に使うエルクォーツであれば、適正があれば特に専門知識がなくとも転用できます。ですがリリアーナの持つ流聖剣ロンダーヴや、閃罰者と七殺星が持っていた能力の付随は難しいでしょう」
エルクォーツが嵌め込まれた武具の取り扱いにはエル=ダブラス独自の技術が、そしてレグザックやリアデインが持っていた様な力はレクタリアがいなければ効果を発現できないとの事だった。
「武具やエルクォーツを奪われたからといって、第三者が直ぐに扱える訳ではないのか」
「はい。特にレクタリア経由で発現した能力については、当人しか扱えないでしょう。それにエルクォーツの適正には個人差があります。もし適正の無い者や野生動物に無理やりエルクォーツを転用しようとすれば……」
「レヴナントになる、か」
正確には適正があっても無理やりレヴナントにはなれるのだが。
しかしそうか。エルクォーツを集められると、例え満足に扱えなくともレヴナントテロが可能になる訳だ。そしてそのテロの有用性は、既に帝都で実証されている。
「ヴェルト。次に仕事で帝都を出る時は、俺も気をつけておく」
「ふぉっふぉ。わしもじゃよ」
「いや、まぁ。2人とも心配はしていないが……」
マルレイアたちが落ち着いたら、一度調べてみた方が良いな。幸い帝国領でエル=グナーデ残党の死体は見つかっていないらしいが。
だからといって、この先も帝国領で事件が起こらないと保証されている訳でもないからな。
だが俺自身、その35名の特性を把握できていないため、マルレイアが窓口として管轄する事に落ち着いた。予算などはマルレイアに付け、マルレイアはそれをやりくりしてエル=ダブラスを運用していく形になる。
時期同じくしてじいさんとガードンも帝都に戻ってきたため、俺はマルレイアを含めて改めて会議を開いていた。
「ほっほ。まさか結社の片割れとこうして手を組む事になるとはのぅ」
「手を組むといいますか。実際は雇用主と従業員という関係なのですが」
「これからは共に働く仲間という訳だ。よろしく頼む」
マルレイアには改めて、現在の黒狼会が帝都でどういう商売をしているのかを話す。またある程度貴族との付き合いがある事も話しておいた。
わざわざ話さなくても、リリアーナからも聞いているだろうが。
「しばらくはヴェルトさんの指示の元、帝都で働かせてもらいますね。ですが私たちは高い情報収集力も持っています。もし他国や貴族関連で調べて欲しい事がありましたら、いつでもおっしゃってください」
「どういう事態になったら、そんな仕事を頼むことになるのか分からんのだが……」
だがまぁ、クインが何か情報を欲しがっていたら、いくらか力になれるかもしれないな。フィンはそう言えば、と声をあげる。
「七殺星ってどうなったか知らない? 全員が帝都に来ていた訳じゃなさそうだし、ルードも帝都から消えたからねー」
そういやそれも気になっていた。俺と戦った閃罰者も姿を消したし、リステルマやレクタリアの遺体も消えていた。じいさんもベインには止めを刺さなかったと言うし、どこかで生きているんだろうが。
質問されたマルレイアは少し困った様な表情を見せる。
「……実は最近、エル=グナーデに所属していた戦闘員や七殺星、それに閃罰者の一部が死体で見つかっているのです」
「……なんだって?」
「エル=グナーデは事実上解体しています。レクタリアに代わって、残った者たちをまとめられる者もいませんからね。閃刺鉄鷲の方は分かりませんが、少なくとも閃罰者たちは好き勝手に過ごしていると思います。その証拠……かは分かりませんが、見つかった死体は大陸各地ばらばらに発見されているのです」
閃罰者は全員エルクォーツ持ちだし、戦闘員の中にもベインの様にエルクォーツが埋め込まれている奴が存在している。そんな奴がいきなり野に放たれたら、人によってはいきなり目立つ事をするだろう。
実際、不可思議な力の持ち主という目撃談は多く存在しているとの事だった。
「で、そんな目撃談があったところでは大体数日後に死体が見つかってるってか」
「はい。さらに見つかった死体は背中や腕の一部が抉られているそうです。おそらくその身に宿したエルクォーツが回収されているのでしょう」
「……待て。その話が本当だとすれば……」
俺も実際に戦ったからよく分かる。程度の差はあれど、エルクォーツ持ちは人の限界を超えた力を持つ。
だが襲撃者はそんなエルクォーツ持ちを打ち破る力を持ち、なおかつエルクォーツの存在を知っているという事になる。
話を聞いていたロイも難しい表情を見せる。
「エル=グナーデ同士の争い……? エルクォーツ持ち同士が争い、奪い合っているとか……?」
「それは分かりません。ですが、奇妙な目撃談が2つあるのです」
「奇妙な目撃談……?」
「はい。実際に争いを見たという者がいるのですよ」
マルレイアの話によると、2つの目撃談は人だかりの中で行われていたらしい。1つは他国にある闘技場。もう1つはそこそこ人が通る街道だ。
「おそらくエルクォーツの力を活かして、闘技場の英雄として稼いでいたのでしょう。ですがその者は、闘技場に現れた1人の少年によって不可思議な力で殺されたと言います」
「不可思議な力……」
「具体的な内容までは分かりませんが。そして街道の方では、1組の少年少女によって殺されたとか」
そしてその2箇所で共通して、死体を裸にしてその一部を抉り取る様子が見られたという。おそらくエルクォーツを回収したのだろう。
「ですが妙なのです。結社には少年少女と呼べる者は少なかったですし、その年齢でエルクォーツを身に宿す者となるとごく少数です」
そう言うとマルレイアはリリアーナに視線を向ける。そういや俺もリリアーナくらいの年齢でエルクォーツ持ちというのは見ていないな。
「ましてや相手はエルクォーツを宿していくらか時を経た者たち。それらがまったく手も足も出なかったと言います。年端もいかない者が持つ実力としては、少し違和感があるのですよ」
つまりエル=グナーデの仲間割れかどうかは怪しいという事だろう。
だがエルクォーツの情報を持っているし、正面から戦って勝っている以上、相手も魔法に準ずる何かを持っている事になる。そして大陸において、そんな力を持つ者は結社しかいない……はずだ。
「どういう事か分からなくなってきたな。閃罰者や七殺星も降しているんだろう?」
「そちらに関しては戦いの目撃情報がないので、少年少女によるものなのかは分からないのですが。しかし闘技場の少年も、街道に現れた少年少女も、自分たちをこう呼んでいたそうです。……世界新創生神幻会と」
「世界新創生神幻会……?」
何だか大仰な印象を受ける名だな。しかし別の場所で現れた少年少女たちが、全く同じ名を名乗ったのか。レクタリア亡きエル=グナーデからさらに分派したか……?
「とはいえ、噂や目撃談のまた聞きなど尾ひれ背びれが付くものです。どこまで本当の情報なのか、分かったものではありません」
「だが事実として元エル=グナーデの連中が殺されてエルクォーツを回収されている訳だ。確実に訳アリの奴らだろ」
それも相当な実力の持ち主だぞ。特に闘技場や街道という、人目につく場所で正面から挑み、殺しにかかっているのがやばい。俺たちが言うのもおかしな話だが、まともなメンタルじゃない。
目的はおそらくエルクォーツ。恨みなど怨恨の線も薄いだろう。
「……待てよ。エルクォーツというのは、元はお前たちの持っている技術だよな? そしてその何たら会とやらは、ピンポイントでエル=グナーデの残党を狩っている訳だが。その目的がエルクォーツだとすれば……」
「私たちがターゲットになっている可能性も否定できませんね」
「おいおい……」
マルレイアは悪びれた様子を見せずに話す。
まさかとは思うが、そのイカれた少年たち、エル=ダブラスを追って帝都まで来ないだろうな。こんな街中で戦闘が始まったらどれだけの人に被害が出るか……。
「エル=ダブラスをたたむ時、エルクォーツ持ちで聖王国に残った奴もいるのか?」
「多くはないですが、いるにはいますね」
「……まぁ不明瞭な部分がほとんどだし、俺たちが今気にかけてもどうしようもないか……」
そのなんたら会にしても、存在自体が疑わしい事には変わりない。
「気になるのでしたら、早速情報を集める様に指示を出しますが……」
「……いや。みんなには早く帝都での仕事を覚えてもらいたい。それに少年たちの調査をするにせよ、いつ終わるか分からない仕事になるだろう。別に黒狼会と明確に敵対している訳でもないんだ。もし帝都に来て暴れるつもりなら見逃せないが」
調べるにしても、もう少し具体的な情報が出そろってからじゃないと、そもそもどこで何を調べたらいいのか分からない。それでも何かしらの成果を出せるのがエル=ダブラスなのかも知れないが。
「分かりました。私も気にはなっているので、仕事に支障をきたさない程度に情報は集めておきましょう」
「やるな、とは言わないさ。その辺の裁量は任せるとも」
話を聞いて気になったのか、ガードンが口を開く。
「エルクォーツというのは、回収して直ぐに自分たちが使えるものなのか?」
「……ものによります。例えば身体能力強化に使うエルクォーツであれば、適正があれば特に専門知識がなくとも転用できます。ですがリリアーナの持つ流聖剣ロンダーヴや、閃罰者と七殺星が持っていた能力の付随は難しいでしょう」
エルクォーツが嵌め込まれた武具の取り扱いにはエル=ダブラス独自の技術が、そしてレグザックやリアデインが持っていた様な力はレクタリアがいなければ効果を発現できないとの事だった。
「武具やエルクォーツを奪われたからといって、第三者が直ぐに扱える訳ではないのか」
「はい。特にレクタリア経由で発現した能力については、当人しか扱えないでしょう。それにエルクォーツの適正には個人差があります。もし適正の無い者や野生動物に無理やりエルクォーツを転用しようとすれば……」
「レヴナントになる、か」
正確には適正があっても無理やりレヴナントにはなれるのだが。
しかしそうか。エルクォーツを集められると、例え満足に扱えなくともレヴナントテロが可能になる訳だ。そしてそのテロの有用性は、既に帝都で実証されている。
「ヴェルト。次に仕事で帝都を出る時は、俺も気をつけておく」
「ふぉっふぉ。わしもじゃよ」
「いや、まぁ。2人とも心配はしていないが……」
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