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リーンハルトたちの旅路と追手
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「へぇ? それで君たちが僕の応援に来たって?」
「はい。グリノ様よりスラン様をお手伝いする様にと」
「わざわざメニアの道を通ってねぇ……。ま、良いけどね。君たちがいくら来たところで、何かの役に立つとも思えないけど……」
スランの前には7人の男たちが跪いていた。ただの少年に大の男たちがそろって跪いているのだ。はたから見れば貴族と従者の様に見えるだろう。
男たちは戦闘訓練を積んでいるだけではなく、スランたちがエル=グナーデ残党から奪ったエルクォーツにより、大きな身体能力を得ていた。
そんな彼らは世界新創生神幻会に属する少年少女たちの中で、最年長かつ代表である少女グリノの命により、スランの応援に来ていた。
理由はリーンハルトたちに敗れたクロンの相棒、カミラのもたらした報告だ。カミラはミニリスの幻霊武装とその力、そして戦いの結末を報告していた。
「でもまさか、落ちこぼれグループに幻霊武装を顕現できる者がいたなんてね。それも逃げ出した奴なんかにさ」
「幻霊武装の名は爆極剣ヴォルケイン。紅い大剣で、刃に触れた瞬間に爆発を起こす特性がある様です」
「ふーん。ま、どんな武器であれ、そもそも近づけなければ意味がないんだけどね」
スランは脱走者ミニリスを追って大陸を北上していた。
できればカルガーム領に降りたところを狙いたかったが、タイミング的に間に合わなかったのだ。だが間に合った2人……クロンとカミラはミニリスの覚醒を促し、返り討ちになった。
(まったく。幻霊クラス5とは思えない無様さだよ。それにしてもグリノの奴。こんないてもいなくても変わらない者たちを寄越して。僕の力を疑っているのか……?)
スランは不機嫌な顔を隠さずに男たちを見る。世界新創生神幻会には様々な詠者や顕者がいるが、その中で自分は頭一つ抜けている自覚があった。
「まぁいいさ。で、今どこにいるの? グリノの事だ、どうせ視ているんだろ?」
「はい。あくまでおおよその位置になりますが。脱走者たちは大きな街を避け、帝都へ向かっている様です」
「ふぅん」
スランは男たちからミニリスの位置を確認する。そして自分が今いる場所と対象が進むであろう進路、それらを加味した上で待ち伏せしやすい箇所を脳裏に描く。
「……ま、後は直接行ってみないと分からないか。何かあればメニアが来るだろうし。それじゃ行こうか。くれぐれも僕の足は引っ張らないでよね」
スランは小さく笑みを浮かべ、男たちを率いて歩き出す。
■
「だぁくっそ! これで何人目だ!?」
「昨日からだけでも、もう7人目だな」
リーンハルトたちは人の多い街を避けて帝都を目指していた。理由は世界新創生神幻会の追手だ。
もし彼らが街中でその力を振るうと、どれだけの被害が広がるか分からない。またミニリスの目撃情報を減らすという目的もあった。しかし。
「ミニリス。怪我はないかい?」
「うん……」
最近、賊や賞金稼ぎによく遭遇していた。どうやらミニリスの情報が出回っているらしく、その身柄にいくらかの懸賞金がかけられているらしい。
襲撃者たちも真っ当な手合いではなかったため、おそらく裏社会にその情報が流されているのだろうと憶測が立てられていた。
「世界新創生神幻会の差し金だとは思うが。奴ら、裏社会にも影響力を持っているのか……?」
「俺も少し前まで似た様な組織にいたが。そういう名は聞いた事がなかった。少なくとも大陸で活動し始めたのは最近だと思うが……」
ダームの推測に対し、ベインは難しい顔で答える。いずれにせよ自分たちのやる事は変わらないのだ。
リーンハルトはミニリスの手を引っ張りながら入り組んだ荒野を進む。ビルツァイスは表情からしてばて始めていた。
「ひぃ、ひぃ……。この道、険し過ぎるだろ……」
「おいおい、仮にも騎士様だろ? 頼むぜ……」
「俺は好きで騎士をやっている訳じゃないんだって。家の方針で仕方なくだなぁ……」
ビルツァイスが泣き言を言うのも仕方がなかった。時に街を迂回し、時に近道をするためにこうした険しい道を進んでいるのだ。途中の水や食料の問題もある。思う様に汗を流せる環境でもない。そうしたストレスの積み重ねは、育ちの良い貴族には耐えがたいものがあるだろう。
リーンハルトは幼少の頃より身体を鍛えているが、こうした命の危機と隣り合うサバイバル生活は初めてだ。それに隣にはミニリスという守りたい者もいる。ベインとダームがいなければ自分も泣き言を言っていただろうな、と考えていた。
「だが体力がなくなって進行速度が落ちる様じゃ意味がねぇ。今日は早いが、ここいらで休むか」
「お! ありがたい!」
「……俺はお前たちの方針に従う。好きにすればいいさ」
ダームは歩きながら集めていた木の枝を簡単に組むと火をつける。明日はどこかの村で一泊した方がいいか、と考えているとビルツァイスが声をかけてきた。
「昨日も思ったが、随分と火をつける手際が良いんだな」
「お、気になるかい? こいつは俺の仕事道具の1つでね。こう、シュッとこするだけで簡単に火を起こせる仕組みなのさ」
「ほぅ……。そういうのは見た事がないな。どこで買えるんだ?」
「さぁ。俺も仕事用にって支給された物だからなぁ」
「お前、何の仕事をしているんだ……」
だが深く聞けばよりややこしい事にもなりかねないので、ビルツァイスもそれ以上は聞かなかった。しばらくして簡単に食事をとり始める。
「ミニリス。体調はどうだい? どこか痛いところとかない?」
「うん。リーンは?」
「俺も大丈夫さ」
リーンハルトは元気そうな笑みをミニリスに向ける。だがそんなリーンハルトにベインは疑問を投げた。
「俺はお前の方が心配だがな。あの大剣を握ってから3日も眠っていたんだぞ」
「それは……」
どう答えたものかと考えていると、ミニリスが声をあげる。
「初めて幻霊武装を手にした人は、その力を振るった後にしばらく眠りにつくの。だいたい1日なんだけど、多分リーンは駆者じゃないから長く眠ったんだと思う。でも2回目以降は、力を振るい過ぎない限りは眠る事はないと思うんだけど……」
「……なるほど。1回目は聖痕というのも刻まれる訳だしね。その負担もあったのかな……」
とはいえ、不思議な力が起こす不思議な現象だ。誰も説明はできない。やはり考えるだけ無駄だろうと思った。
リーンハルトは改めて自分の右腕に視線を向ける。
「…………」
今は蛇状の刻印は黒い。だが爆極剣ヴォルケインを握れば、また赤く輝き始めるのだろう。予期せず不思議な力を振るえる様になったが、これはこれで嬉しいとも思っていた。
(俺はディアノーラほどの剣腕は持っていないし、父さんにもまだ及ばない。ズルをしている様な気もするけど、なんとなくみんながいる領域に半歩入れた様な気がする)
とはいえ、リーンハルト自身の剣筋に磨きがかかったという訳ではないのだが。
しかし現状、爆極剣ヴォルケインを扱えるのは世界でただ1人、リーンハルトのみ。自分の力と言っても決して間違いではないだろう。
思い出すのは、貴族院で戦った閃罰者リニアス。彼女も自身の身体能力は並の人間と変わらないものの、その手にする武装で相当な戦闘力を有していた。
あの時は全く手も足も出なかったが、今なら対抗できるかもしれない。そう思うと、爆極剣ヴォルケインという存在はとても心強く思った。
「ま、なんにせよせっかく早めに休むんだ。見張りは俺とベインで交代しながらやっておくから、お前たちは……」
「待て。客人だ」
「っ!?」
ベインの警告を聞き、周囲に視線を向ける。すると物陰から7人の男たちが姿を現した。その手には全員武器を持っている。
「ったく……! 休もうとしたらこれだよ……!」
「ビル!」
「分かってるよ!」
ミニリスを囲む様にリーンハルトたちは立ち上がる。ダームは男たちの持つ気配から、これまで襲撃してきた賞金稼ぎとは種類の違う者たちだと感じ取る。
「お前さんたち、俺らみたいな旅人にいったい何の用だい?」
「大人しくその少女と、刻印を持つ男を渡せ。そうすれば残りは見逃してやる」
「……っ! どうやら神幻会絡みの奴みたいだな……!」
これまでミニリスを狙う者はいても、リーンハルトを狙う者はいなかった。だが襲撃者たちはリーンハルトもターゲットにしている。
理由は明らか。ミニリスの幻霊武装の持ち主であるリーンハルトが邪魔なのだ。リーンハルトが生きている限り、爆極剣ヴォルケインはリーンハルトにしか扱えないのだから。
そしてその事を知っているという事は、世界新創生神幻会に関係する者に限られる。
「ミニリス!」
「はい……!」
「! させるな!」
ミニリスが幻霊武装を出そうとしたところで、男たちが動く。しかしここでダームとベインも武器を構えた。
「させるかって!」
「おらああ!」
ベインは大斧を旋風の様に振り回し、ダームはミニリスに近づけさせまいとナイフを投擲する。そうして稼いだ時間で、ミニリスは爆極剣ヴォルケインを顕現させる。リーンハルトはそれを素早く掴んだ。
「っ!」
一瞬、右腕に熱を感じる。視線を向けるとそこには紅く輝く聖痕があった。
「リーンハルト! 油断するな! こいつら、普通の人間が持つ力を超えている!」
「……! 分かりました!」
ベインの言う通り、確かに男たちは全員、かなり動きが速かった。
だがリーンハルトも大剣を素早く切り返しながら、男たち寄せ付けないように器用に立ち回る。また男たちも爆極剣ヴォルケインを警戒しているのがよく分かる動きを見せていた。
「隙だらけだぜ!」
警戒すべき相手はリーンハルトだけではない。ベインもエルクォーツを3つ分、身体能力の強化に使っているのだ。多少強い相手程度ではどうこうできる男ではない。
「うおおおおお!」
大きく真横に振るった大剣が、男の武器と重なる。リーンハルトはその瞬間、意識を集中させた。
「爆ぜろ!」
「っ!?」
大剣と触れた部分から、男に向かって指向性の爆発が巻き起こる。男は堪らず衣服を焦がしながら吹き飛んでいった。
「はぁ、はぁ……!」
「すげぇな……!」
その男が最後であり、周囲に立っている襲撃者はもはやいなかった。
しかしまたいつ襲われるかも分からない。早くここを移動しよう。そう言おうとした時だった。
「いやぁ、すごいね。威力全振りって感じの幻霊武装だ」
「え……」
拍手をしながら1人の少年が現れる。少年は倒れた男たちには見向きもせず、リーンハルトとミニリスに視線を向けていた。
「僕は世界新創生神幻会のスラン。要件は言わなくても分かるだろう?」
「はい。グリノ様よりスラン様をお手伝いする様にと」
「わざわざメニアの道を通ってねぇ……。ま、良いけどね。君たちがいくら来たところで、何かの役に立つとも思えないけど……」
スランの前には7人の男たちが跪いていた。ただの少年に大の男たちがそろって跪いているのだ。はたから見れば貴族と従者の様に見えるだろう。
男たちは戦闘訓練を積んでいるだけではなく、スランたちがエル=グナーデ残党から奪ったエルクォーツにより、大きな身体能力を得ていた。
そんな彼らは世界新創生神幻会に属する少年少女たちの中で、最年長かつ代表である少女グリノの命により、スランの応援に来ていた。
理由はリーンハルトたちに敗れたクロンの相棒、カミラのもたらした報告だ。カミラはミニリスの幻霊武装とその力、そして戦いの結末を報告していた。
「でもまさか、落ちこぼれグループに幻霊武装を顕現できる者がいたなんてね。それも逃げ出した奴なんかにさ」
「幻霊武装の名は爆極剣ヴォルケイン。紅い大剣で、刃に触れた瞬間に爆発を起こす特性がある様です」
「ふーん。ま、どんな武器であれ、そもそも近づけなければ意味がないんだけどね」
スランは脱走者ミニリスを追って大陸を北上していた。
できればカルガーム領に降りたところを狙いたかったが、タイミング的に間に合わなかったのだ。だが間に合った2人……クロンとカミラはミニリスの覚醒を促し、返り討ちになった。
(まったく。幻霊クラス5とは思えない無様さだよ。それにしてもグリノの奴。こんないてもいなくても変わらない者たちを寄越して。僕の力を疑っているのか……?)
スランは不機嫌な顔を隠さずに男たちを見る。世界新創生神幻会には様々な詠者や顕者がいるが、その中で自分は頭一つ抜けている自覚があった。
「まぁいいさ。で、今どこにいるの? グリノの事だ、どうせ視ているんだろ?」
「はい。あくまでおおよその位置になりますが。脱走者たちは大きな街を避け、帝都へ向かっている様です」
「ふぅん」
スランは男たちからミニリスの位置を確認する。そして自分が今いる場所と対象が進むであろう進路、それらを加味した上で待ち伏せしやすい箇所を脳裏に描く。
「……ま、後は直接行ってみないと分からないか。何かあればメニアが来るだろうし。それじゃ行こうか。くれぐれも僕の足は引っ張らないでよね」
スランは小さく笑みを浮かべ、男たちを率いて歩き出す。
■
「だぁくっそ! これで何人目だ!?」
「昨日からだけでも、もう7人目だな」
リーンハルトたちは人の多い街を避けて帝都を目指していた。理由は世界新創生神幻会の追手だ。
もし彼らが街中でその力を振るうと、どれだけの被害が広がるか分からない。またミニリスの目撃情報を減らすという目的もあった。しかし。
「ミニリス。怪我はないかい?」
「うん……」
最近、賊や賞金稼ぎによく遭遇していた。どうやらミニリスの情報が出回っているらしく、その身柄にいくらかの懸賞金がかけられているらしい。
襲撃者たちも真っ当な手合いではなかったため、おそらく裏社会にその情報が流されているのだろうと憶測が立てられていた。
「世界新創生神幻会の差し金だとは思うが。奴ら、裏社会にも影響力を持っているのか……?」
「俺も少し前まで似た様な組織にいたが。そういう名は聞いた事がなかった。少なくとも大陸で活動し始めたのは最近だと思うが……」
ダームの推測に対し、ベインは難しい顔で答える。いずれにせよ自分たちのやる事は変わらないのだ。
リーンハルトはミニリスの手を引っ張りながら入り組んだ荒野を進む。ビルツァイスは表情からしてばて始めていた。
「ひぃ、ひぃ……。この道、険し過ぎるだろ……」
「おいおい、仮にも騎士様だろ? 頼むぜ……」
「俺は好きで騎士をやっている訳じゃないんだって。家の方針で仕方なくだなぁ……」
ビルツァイスが泣き言を言うのも仕方がなかった。時に街を迂回し、時に近道をするためにこうした険しい道を進んでいるのだ。途中の水や食料の問題もある。思う様に汗を流せる環境でもない。そうしたストレスの積み重ねは、育ちの良い貴族には耐えがたいものがあるだろう。
リーンハルトは幼少の頃より身体を鍛えているが、こうした命の危機と隣り合うサバイバル生活は初めてだ。それに隣にはミニリスという守りたい者もいる。ベインとダームがいなければ自分も泣き言を言っていただろうな、と考えていた。
「だが体力がなくなって進行速度が落ちる様じゃ意味がねぇ。今日は早いが、ここいらで休むか」
「お! ありがたい!」
「……俺はお前たちの方針に従う。好きにすればいいさ」
ダームは歩きながら集めていた木の枝を簡単に組むと火をつける。明日はどこかの村で一泊した方がいいか、と考えているとビルツァイスが声をかけてきた。
「昨日も思ったが、随分と火をつける手際が良いんだな」
「お、気になるかい? こいつは俺の仕事道具の1つでね。こう、シュッとこするだけで簡単に火を起こせる仕組みなのさ」
「ほぅ……。そういうのは見た事がないな。どこで買えるんだ?」
「さぁ。俺も仕事用にって支給された物だからなぁ」
「お前、何の仕事をしているんだ……」
だが深く聞けばよりややこしい事にもなりかねないので、ビルツァイスもそれ以上は聞かなかった。しばらくして簡単に食事をとり始める。
「ミニリス。体調はどうだい? どこか痛いところとかない?」
「うん。リーンは?」
「俺も大丈夫さ」
リーンハルトは元気そうな笑みをミニリスに向ける。だがそんなリーンハルトにベインは疑問を投げた。
「俺はお前の方が心配だがな。あの大剣を握ってから3日も眠っていたんだぞ」
「それは……」
どう答えたものかと考えていると、ミニリスが声をあげる。
「初めて幻霊武装を手にした人は、その力を振るった後にしばらく眠りにつくの。だいたい1日なんだけど、多分リーンは駆者じゃないから長く眠ったんだと思う。でも2回目以降は、力を振るい過ぎない限りは眠る事はないと思うんだけど……」
「……なるほど。1回目は聖痕というのも刻まれる訳だしね。その負担もあったのかな……」
とはいえ、不思議な力が起こす不思議な現象だ。誰も説明はできない。やはり考えるだけ無駄だろうと思った。
リーンハルトは改めて自分の右腕に視線を向ける。
「…………」
今は蛇状の刻印は黒い。だが爆極剣ヴォルケインを握れば、また赤く輝き始めるのだろう。予期せず不思議な力を振るえる様になったが、これはこれで嬉しいとも思っていた。
(俺はディアノーラほどの剣腕は持っていないし、父さんにもまだ及ばない。ズルをしている様な気もするけど、なんとなくみんながいる領域に半歩入れた様な気がする)
とはいえ、リーンハルト自身の剣筋に磨きがかかったという訳ではないのだが。
しかし現状、爆極剣ヴォルケインを扱えるのは世界でただ1人、リーンハルトのみ。自分の力と言っても決して間違いではないだろう。
思い出すのは、貴族院で戦った閃罰者リニアス。彼女も自身の身体能力は並の人間と変わらないものの、その手にする武装で相当な戦闘力を有していた。
あの時は全く手も足も出なかったが、今なら対抗できるかもしれない。そう思うと、爆極剣ヴォルケインという存在はとても心強く思った。
「ま、なんにせよせっかく早めに休むんだ。見張りは俺とベインで交代しながらやっておくから、お前たちは……」
「待て。客人だ」
「っ!?」
ベインの警告を聞き、周囲に視線を向ける。すると物陰から7人の男たちが姿を現した。その手には全員武器を持っている。
「ったく……! 休もうとしたらこれだよ……!」
「ビル!」
「分かってるよ!」
ミニリスを囲む様にリーンハルトたちは立ち上がる。ダームは男たちの持つ気配から、これまで襲撃してきた賞金稼ぎとは種類の違う者たちだと感じ取る。
「お前さんたち、俺らみたいな旅人にいったい何の用だい?」
「大人しくその少女と、刻印を持つ男を渡せ。そうすれば残りは見逃してやる」
「……っ! どうやら神幻会絡みの奴みたいだな……!」
これまでミニリスを狙う者はいても、リーンハルトを狙う者はいなかった。だが襲撃者たちはリーンハルトもターゲットにしている。
理由は明らか。ミニリスの幻霊武装の持ち主であるリーンハルトが邪魔なのだ。リーンハルトが生きている限り、爆極剣ヴォルケインはリーンハルトにしか扱えないのだから。
そしてその事を知っているという事は、世界新創生神幻会に関係する者に限られる。
「ミニリス!」
「はい……!」
「! させるな!」
ミニリスが幻霊武装を出そうとしたところで、男たちが動く。しかしここでダームとベインも武器を構えた。
「させるかって!」
「おらああ!」
ベインは大斧を旋風の様に振り回し、ダームはミニリスに近づけさせまいとナイフを投擲する。そうして稼いだ時間で、ミニリスは爆極剣ヴォルケインを顕現させる。リーンハルトはそれを素早く掴んだ。
「っ!」
一瞬、右腕に熱を感じる。視線を向けるとそこには紅く輝く聖痕があった。
「リーンハルト! 油断するな! こいつら、普通の人間が持つ力を超えている!」
「……! 分かりました!」
ベインの言う通り、確かに男たちは全員、かなり動きが速かった。
だがリーンハルトも大剣を素早く切り返しながら、男たち寄せ付けないように器用に立ち回る。また男たちも爆極剣ヴォルケインを警戒しているのがよく分かる動きを見せていた。
「隙だらけだぜ!」
警戒すべき相手はリーンハルトだけではない。ベインもエルクォーツを3つ分、身体能力の強化に使っているのだ。多少強い相手程度ではどうこうできる男ではない。
「うおおおおお!」
大きく真横に振るった大剣が、男の武器と重なる。リーンハルトはその瞬間、意識を集中させた。
「爆ぜろ!」
「っ!?」
大剣と触れた部分から、男に向かって指向性の爆発が巻き起こる。男は堪らず衣服を焦がしながら吹き飛んでいった。
「はぁ、はぁ……!」
「すげぇな……!」
その男が最後であり、周囲に立っている襲撃者はもはやいなかった。
しかしまたいつ襲われるかも分からない。早くここを移動しよう。そう言おうとした時だった。
「いやぁ、すごいね。威力全振りって感じの幻霊武装だ」
「え……」
拍手をしながら1人の少年が現れる。少年は倒れた男たちには見向きもせず、リーンハルトとミニリスに視線を向けていた。
「僕は世界新創生神幻会のスラン。要件は言わなくても分かるだろう?」
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