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前夜祭に動くものたち
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「ふぅ……」
「姫さま、お疲れ様です」
フランメリアとエルナーデ、そしてアーノックの3人は手洗いだと席を立ち、城の中庭を歩いていた。
実際に手洗いに行きたい訳ではなかったが、こう言っておけば帝国側の付き添いが最低限になる。フランメリアとしても息抜きがしたかった。
現在は帝国騎士たちが、少し距離を空けてフランメリアたちを見守っている。フランメリアたちは自分たちの話し声が聞こえない様に口を開いた。
「さすがにウィックリンは一筋縄ではいかないわね……」
「ですねぇ。でも今のところ、ウィックリン皇帝から何か具体的に話が出てきた訳でもないのですよね?」
「ええ……」
そう。国賓として迎えられたものの、ウィックリンからは文化交流以上のやり取りは何もしていなかった。
ウィックリン自信、元々音楽や演劇などを好む性格だという事は知られている。だがどこかで通商条約を含めた何かしらの話が出てくるだろうと思っていたのだ。
「このままでは本当に帝国観光で終わってしまいそうだわ……」
「流石にフォルトガラム聖武国の王女を招いておきながら、それだけという事はないでしょうがなぁ……」
未だにウィックリンの人となりを掴み切れてもいない。今日まで話した限りだと、温和でこれといって大国の統治者たる覇気を感じる様な人物ではない。
だがその様に見える人物がこれまで誰にも知られることなく強力な私兵を抱え、ここぞというタイミングで使ってきたのだ。
そうして自国の大貴族を粛清している点といい、為政者として必要なカードは必要な時に切り、状況を自分のコントロール下に収める術をよく理解しているのは間違いない。
「真に恐ろしいのは、誰からもそうと思われずに策を進めていること……かしら」
「ウィックリン皇帝の事でありますね。確かに……あの人柄なら誰もが油断します。ヴィンチェスターも自分がそうとは知らず、ウィックリン皇帝の手のひらで踊らされていた可能性はありますね」
やはりここでもウィックリンの誤解が解ける事はなかった。どう見てもウィックリンのやった事と表に見える性格に乖離があるのだ。
この事はフランメリアだけではなく、帝国貴族も警戒する点になっていた。
「もう少し休憩したらホールに戻りましょう」
そう言いながら中庭を軽く回る。よく手が入っており、花も綺麗に整えられていた。
「仮面の者たちについて、これ以上何か探るのも難しそうね……」
「それなら姫さま。遠目にこちらを見ている帝国騎士たちに尋ねてみては?」
「……そうね」
ウィックリンはその立場もあり、うかつな事は話さない様に注意していた。だがグラスダームを含め、中には知っている事を積極的に話そうとする者たちもいる。
それに仮面の者たちは恐れられているとはいえ、帝国の者であるのは間違いないのだ。自国にこれだけの剛の者がいる。他国の王女にその自慢をしたい貴族はいくらでもいるというもの。
アーノックは遠くで様子を伺う帝国騎士たちを呼んだ。
「どうかされましたか」
「こちらのアーノックがどうしてもあなたたちに聞きたい事があるみたいで」
フランメリアは何食わぬ顔でアーノックに話を進ませる。アーノックはやや苦笑しながら、これは自分の仕事だなと理解した。
「実は先ほど陛下にお願いをしたのですよ。親善試合で仮面の者たちと剣を交えてみたいと」
「おお……」
「それは……」
騎士たちの反応は様々だった。だが誰もが興味がある眼差しをしている。
「ですが断られましてな。今日までその噂をたくさん聞いたので、私も1人の騎士としてどうしても気になるのですよ」
「そうでしょうね……」
「実は私もこの眼で見たのですが。あれはまさに人知を超えた戦士……例えるならおとぎ話に出てくる英雄そのものでした」
騎士の1人が興奮した様に口を開き始める。やはり誰もが仮面の者たちの正体について、気になっているのだ。
「ほう。それで?」
「ええ。その者は……っ!?」
それは本当に突然の事だった。騎士の胸から急に槍が生えたのだ。その槍は先端に、実体を持たない紅い光の刃が付いていた。
「が……え……?」
そのまま口から大きく血を吐き、アーノックたちの服を汚す。本当に突然の出来事過ぎて、誰もが頭で理解が追い付いていなかった。そして。
「…………っ!?」
槍が引き抜かれ、今度はその隣にいた騎士の首が飛ぶ。同時に大量の血が猛烈な勢いで吹き荒れ、中庭を鮮血で彩っていく。
「姫さまっ!」
エルナーデは咄嗟にフランメリアの腕を引き、アーノックは剣を引き抜く。そうしている内に残りの騎士たちも何者かが振るう槍によってその命を落としていった。
最後に残った騎士も首を落とされ、血の吹き出し口がフランメリアの方へと向く。アーノックは庇う様にその前に出た。
「ぐ……!」
全身に熱を持った大量の血を浴びる。そして倒れ込む死体の後ろから姿を見せたのは、2人の少女に1人の少年だった。少年はその手に槍を握っている。
「タイミングはばっちりだったね。良い感じに凄惨な場も作る事ができたし」
「そうね。あまり良い気分はしない光景だけど」
「それは仕方ないよ」
異様な少年少女だった。たった今、騎士たちを屠ったのはこの少年で間違いない。だがその声には人を殺したことによる興奮や焦りといったものがなかった。
それに死体を見ればわかる。これらは意図して血を多くまき散らす殺し方をしたものだ。アーノックは全身に血を浴びているし、中庭も今や血の祭壇と化している。
「あなたたち……! 一体何者……!?」
「それだけ剣に血がべったりつけば十分かな。……誰か! フランメリア王女の御乱心だ! 騎士たちが殺されたぞ!」
「なっ……!」
少年はよく通る大声で虚言を吐く。たった今自分が殺した騎士たちを、フランメリアの仕業に仕立てにきたのだ。
これだけ凄惨な現場を作り上げたのがフォルトガラム聖武国の王女たる自分である。その誤解だけは絶対に避けなくてはならない。
「エルナーデ、アーノック! この3人を捕えるのです!」
「は!」
「承知!」
帝国騎士は誰もが貴族。その者たちを手にかけたという事実が捏造されるのはまずい。
だがここでこの3人を捕えれば、それで済む話でもあるのだ。しかし。
「く!?」
「そんな!?」
エルナーデとアーノックの2人は少年に簡単にあしらわれてしまう。少年は2人以上の速さで動き、そして鋭く槍を振るった。
「誰か! 誰か! フランメリア王女の御乱心だ!」
「この……!」
少年はさらに叫んだ後、2人の少女を両脇に担いでフランメリアたちから大きく距離を取る。とても少年の力でできる動きではない。いや、大人であってもそうできない動きだ。
「どういうこと……!?」
だが驚くのはまだ早かった。突然少年たちの周囲の空間が揺らめき始めたのだ。
その揺らめきはより強くなっていき、ピークを迎えたところで波が収まっていく。完全に揺らめきが収束した時には、そこに3人の姿は無かった。
「これは……!? 一体なにが……!?」
突然の状況と情報の多さに頭が追い付かない。だが事態はフランメリアたちに休ませることを許さない。
「お、おい! こっちだ!」
「う……! なんだこりゃ……!」
「聖武国だ! 聖武国の王女と騎士が、帝国騎士を殺しやがったぞ!」
「なんだって!?」
「リュミエール! リュミエールがぁっ!」
「こいつらを捕えろ! 使節団一行も拘束するんだ!」
事態がよくない方に向かっている。周囲には話を冷静に聞こうという者たちはいない。
集まった者たちは中庭に広がる凄惨な光景を前に、とても落ち着いてはいられなかった。
■
中庭で帝国騎士たちを殺した少年少女たち……ディンとアニス、それにメニアの3人は、帝都から遠く離れた世界新創生神幻会の本拠地に帰ってきていた。
目の前には自分たちのリーダー……グリノが立っている。
「あら。おかえりなさい。仕事は終わったのかしら?」
「うん。フランメリア王女に付いていた騎士の他にも何人か殺しておいたから。あとはどうとでもなるんじゃないかな」
そう言うとディンは持っていた槍……炎閃槍フェルニールをアニスに渡す。槍はアニスの手に渡ると、光の粒子となって消えていった。
「できれば皇族も誰か殺しておきたかったところだけど……」
「結果が同じなら構わないわ。ブラハード様の依頼は果たせたと言えるでしょう」
ディンはフランメリアに会う直前に、他にも何人かの貴族を殺していた。今頃帝都では激震が走っていることだろう。
「それよりスランが死んだんだって?」
「ええ。少なくとも七殺星を含め、何人かは私たちに対抗できる力がある。お母さまたちがここからどうするつもりなのかは分からないけど。いい、くれぐれも油断しないで」
ディンはグリノの言葉に小さく頷く。常人であれば、恐れる者は誰もいない。だがこの大陸には、自分たち以外にも神秘の力を操る者がいるのだ。
「スランの遺体は……?」
「安心して。お母さまの元へと運ばれたわ」
「そう……」
世界新創生神幻会の中から死人が出たのは初めてではない。そもそも幻霊クラス3以下の者は死亡率も高いのだ。
だが死んだ子どもたちは誰もが最後はお母さまの元へと運ばれていた。ディンはきっとスランもお母さまの元で眠っているだろうと思いをはせる。
「私はお母さまに報告に行きます。おそらくここから私たちは忙しくなる。他の者たちにも今の内にしっかり休んでおくように言っておいて」
「分かったよ」
グリノは部屋の奥へと姿を消す。その先はグリノにしか立ち入りが許されていない区域だった。
「今日死んでいった人たちも皆、お母さまの描く理想の世界の礎となったんだ。きっとその事をいつか喜んでくれるはず……だよね」
「姫さま、お疲れ様です」
フランメリアとエルナーデ、そしてアーノックの3人は手洗いだと席を立ち、城の中庭を歩いていた。
実際に手洗いに行きたい訳ではなかったが、こう言っておけば帝国側の付き添いが最低限になる。フランメリアとしても息抜きがしたかった。
現在は帝国騎士たちが、少し距離を空けてフランメリアたちを見守っている。フランメリアたちは自分たちの話し声が聞こえない様に口を開いた。
「さすがにウィックリンは一筋縄ではいかないわね……」
「ですねぇ。でも今のところ、ウィックリン皇帝から何か具体的に話が出てきた訳でもないのですよね?」
「ええ……」
そう。国賓として迎えられたものの、ウィックリンからは文化交流以上のやり取りは何もしていなかった。
ウィックリン自信、元々音楽や演劇などを好む性格だという事は知られている。だがどこかで通商条約を含めた何かしらの話が出てくるだろうと思っていたのだ。
「このままでは本当に帝国観光で終わってしまいそうだわ……」
「流石にフォルトガラム聖武国の王女を招いておきながら、それだけという事はないでしょうがなぁ……」
未だにウィックリンの人となりを掴み切れてもいない。今日まで話した限りだと、温和でこれといって大国の統治者たる覇気を感じる様な人物ではない。
だがその様に見える人物がこれまで誰にも知られることなく強力な私兵を抱え、ここぞというタイミングで使ってきたのだ。
そうして自国の大貴族を粛清している点といい、為政者として必要なカードは必要な時に切り、状況を自分のコントロール下に収める術をよく理解しているのは間違いない。
「真に恐ろしいのは、誰からもそうと思われずに策を進めていること……かしら」
「ウィックリン皇帝の事でありますね。確かに……あの人柄なら誰もが油断します。ヴィンチェスターも自分がそうとは知らず、ウィックリン皇帝の手のひらで踊らされていた可能性はありますね」
やはりここでもウィックリンの誤解が解ける事はなかった。どう見てもウィックリンのやった事と表に見える性格に乖離があるのだ。
この事はフランメリアだけではなく、帝国貴族も警戒する点になっていた。
「もう少し休憩したらホールに戻りましょう」
そう言いながら中庭を軽く回る。よく手が入っており、花も綺麗に整えられていた。
「仮面の者たちについて、これ以上何か探るのも難しそうね……」
「それなら姫さま。遠目にこちらを見ている帝国騎士たちに尋ねてみては?」
「……そうね」
ウィックリンはその立場もあり、うかつな事は話さない様に注意していた。だがグラスダームを含め、中には知っている事を積極的に話そうとする者たちもいる。
それに仮面の者たちは恐れられているとはいえ、帝国の者であるのは間違いないのだ。自国にこれだけの剛の者がいる。他国の王女にその自慢をしたい貴族はいくらでもいるというもの。
アーノックは遠くで様子を伺う帝国騎士たちを呼んだ。
「どうかされましたか」
「こちらのアーノックがどうしてもあなたたちに聞きたい事があるみたいで」
フランメリアは何食わぬ顔でアーノックに話を進ませる。アーノックはやや苦笑しながら、これは自分の仕事だなと理解した。
「実は先ほど陛下にお願いをしたのですよ。親善試合で仮面の者たちと剣を交えてみたいと」
「おお……」
「それは……」
騎士たちの反応は様々だった。だが誰もが興味がある眼差しをしている。
「ですが断られましてな。今日までその噂をたくさん聞いたので、私も1人の騎士としてどうしても気になるのですよ」
「そうでしょうね……」
「実は私もこの眼で見たのですが。あれはまさに人知を超えた戦士……例えるならおとぎ話に出てくる英雄そのものでした」
騎士の1人が興奮した様に口を開き始める。やはり誰もが仮面の者たちの正体について、気になっているのだ。
「ほう。それで?」
「ええ。その者は……っ!?」
それは本当に突然の事だった。騎士の胸から急に槍が生えたのだ。その槍は先端に、実体を持たない紅い光の刃が付いていた。
「が……え……?」
そのまま口から大きく血を吐き、アーノックたちの服を汚す。本当に突然の出来事過ぎて、誰もが頭で理解が追い付いていなかった。そして。
「…………っ!?」
槍が引き抜かれ、今度はその隣にいた騎士の首が飛ぶ。同時に大量の血が猛烈な勢いで吹き荒れ、中庭を鮮血で彩っていく。
「姫さまっ!」
エルナーデは咄嗟にフランメリアの腕を引き、アーノックは剣を引き抜く。そうしている内に残りの騎士たちも何者かが振るう槍によってその命を落としていった。
最後に残った騎士も首を落とされ、血の吹き出し口がフランメリアの方へと向く。アーノックは庇う様にその前に出た。
「ぐ……!」
全身に熱を持った大量の血を浴びる。そして倒れ込む死体の後ろから姿を見せたのは、2人の少女に1人の少年だった。少年はその手に槍を握っている。
「タイミングはばっちりだったね。良い感じに凄惨な場も作る事ができたし」
「そうね。あまり良い気分はしない光景だけど」
「それは仕方ないよ」
異様な少年少女だった。たった今、騎士たちを屠ったのはこの少年で間違いない。だがその声には人を殺したことによる興奮や焦りといったものがなかった。
それに死体を見ればわかる。これらは意図して血を多くまき散らす殺し方をしたものだ。アーノックは全身に血を浴びているし、中庭も今や血の祭壇と化している。
「あなたたち……! 一体何者……!?」
「それだけ剣に血がべったりつけば十分かな。……誰か! フランメリア王女の御乱心だ! 騎士たちが殺されたぞ!」
「なっ……!」
少年はよく通る大声で虚言を吐く。たった今自分が殺した騎士たちを、フランメリアの仕業に仕立てにきたのだ。
これだけ凄惨な現場を作り上げたのがフォルトガラム聖武国の王女たる自分である。その誤解だけは絶対に避けなくてはならない。
「エルナーデ、アーノック! この3人を捕えるのです!」
「は!」
「承知!」
帝国騎士は誰もが貴族。その者たちを手にかけたという事実が捏造されるのはまずい。
だがここでこの3人を捕えれば、それで済む話でもあるのだ。しかし。
「く!?」
「そんな!?」
エルナーデとアーノックの2人は少年に簡単にあしらわれてしまう。少年は2人以上の速さで動き、そして鋭く槍を振るった。
「誰か! 誰か! フランメリア王女の御乱心だ!」
「この……!」
少年はさらに叫んだ後、2人の少女を両脇に担いでフランメリアたちから大きく距離を取る。とても少年の力でできる動きではない。いや、大人であってもそうできない動きだ。
「どういうこと……!?」
だが驚くのはまだ早かった。突然少年たちの周囲の空間が揺らめき始めたのだ。
その揺らめきはより強くなっていき、ピークを迎えたところで波が収まっていく。完全に揺らめきが収束した時には、そこに3人の姿は無かった。
「これは……!? 一体なにが……!?」
突然の状況と情報の多さに頭が追い付かない。だが事態はフランメリアたちに休ませることを許さない。
「お、おい! こっちだ!」
「う……! なんだこりゃ……!」
「聖武国だ! 聖武国の王女と騎士が、帝国騎士を殺しやがったぞ!」
「なんだって!?」
「リュミエール! リュミエールがぁっ!」
「こいつらを捕えろ! 使節団一行も拘束するんだ!」
事態がよくない方に向かっている。周囲には話を冷静に聞こうという者たちはいない。
集まった者たちは中庭に広がる凄惨な光景を前に、とても落ち着いてはいられなかった。
■
中庭で帝国騎士たちを殺した少年少女たち……ディンとアニス、それにメニアの3人は、帝都から遠く離れた世界新創生神幻会の本拠地に帰ってきていた。
目の前には自分たちのリーダー……グリノが立っている。
「あら。おかえりなさい。仕事は終わったのかしら?」
「うん。フランメリア王女に付いていた騎士の他にも何人か殺しておいたから。あとはどうとでもなるんじゃないかな」
そう言うとディンは持っていた槍……炎閃槍フェルニールをアニスに渡す。槍はアニスの手に渡ると、光の粒子となって消えていった。
「できれば皇族も誰か殺しておきたかったところだけど……」
「結果が同じなら構わないわ。ブラハード様の依頼は果たせたと言えるでしょう」
ディンはフランメリアに会う直前に、他にも何人かの貴族を殺していた。今頃帝都では激震が走っていることだろう。
「それよりスランが死んだんだって?」
「ええ。少なくとも七殺星を含め、何人かは私たちに対抗できる力がある。お母さまたちがここからどうするつもりなのかは分からないけど。いい、くれぐれも油断しないで」
ディンはグリノの言葉に小さく頷く。常人であれば、恐れる者は誰もいない。だがこの大陸には、自分たち以外にも神秘の力を操る者がいるのだ。
「スランの遺体は……?」
「安心して。お母さまの元へと運ばれたわ」
「そう……」
世界新創生神幻会の中から死人が出たのは初めてではない。そもそも幻霊クラス3以下の者は死亡率も高いのだ。
だが死んだ子どもたちは誰もが最後はお母さまの元へと運ばれていた。ディンはきっとスランもお母さまの元で眠っているだろうと思いをはせる。
「私はお母さまに報告に行きます。おそらくここから私たちは忙しくなる。他の者たちにも今の内にしっかり休んでおくように言っておいて」
「分かったよ」
グリノは部屋の奥へと姿を消す。その先はグリノにしか立ち入りが許されていない区域だった。
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