70 / 340
偽善者
しおりを挟む
俺と友梨奈さんは、ちょうど到着したばかりの蒼の親父と病院のロビーで合流した。
「山崎君、息子だけじゃなく、妻まで世話になって色々すまないね。」
「いえ、自分は何も…
あの部屋は蒼さんが借りてたものですし」
どっちかというと、世話になったのは俺の方だけど…
「愁ちゃんにはホントに色々お世話になったのよ。」
友梨奈さんが親父に言うと
「なんだ、お前
そんな馴れ馴れしい呼び方して。」
親父は少しビックリした様子で自分の妻の方を見た。
友梨奈さんは、一瞬
「しまった!」みたいな表情を見せたが、何とか取り繕った。
俺は多分無表情のままだったが、背筋が凍りかけた。
後ろめたさ全開というか…
そんな状況の中、俺達三人は蒼の病室を見舞った。
「あ、愁ちゃん…
お父さんとお母さんも」
蒼はベッドで起き上がっており、かなり良くなってる事を窺わせた。
「大丈夫か?起きても」
「うん。ずっと寝てちゃダメみたいだし」
蒼は現在、急性期にあたるが、今後福山の病院に移り、回復期のリハビリテーションを行う事になる。
今のところ、順調に回復しているので、その方向で進んでいくと思う。
まあ、順調と言っても、左半身に麻痺が見られるのは間違いなく、これからの生活がかなり大変になってくると思う。
その後、四人で今後の生活について話し合った。
前から言っていたように、ここを退院したら、蒼は両親と共に福山に帰り、向こうでリハビリ専門の病院に転院。
そこを経て自宅に戻る事となる。
こっちで同棲していた部屋は引き払い、俺はまた一人暮らしをしていたワンルームマンションと契約をし直す。
その件については既に不動産屋に連絡して、再契約の目処は立っている。
問題は今住んでいる部屋の事だ。
蒼不在の中、家財道具を引き払う作業をしなきゃならない。
福山に持っていくもの、捨てるもの等を選別して。
それについては蒼はすごく恐縮して、何度も俺に謝った。
「そんなの気にすんなよ。
先ずはリハビリに専念してくれよな」
俺がそう言うと、蒼も頷いた。
すると、後ろでやり取りを聞いていた友梨奈さんが
「お父さん、私、ここに残って引越しのお手伝いをするわ。」
と、言い出した。
「たしかに荷造りを彼だけに任せるのはあまりにも申し訳ないしな。
俺も残るよ。」
親父さんは殊勝な物言いをして自分の妻の方を見た。
「でも、あなた、お仕事があるでしょ。」
「そりゃ、まあ」
自営業&ワンマン経営なだけに、この親父が不在だと仕事にならないのが現実のようだ。
「あの、引越しについては、僕の荷物もありますし、本当に大丈夫です。
お母さんが残っていただけるのなら、それで十分です。」
俺がそう言うと、親父も渋々了解してくれた。
「山崎君、息子だけじゃなく、妻まで世話になって色々すまないね。」
「いえ、自分は何も…
あの部屋は蒼さんが借りてたものですし」
どっちかというと、世話になったのは俺の方だけど…
「愁ちゃんにはホントに色々お世話になったのよ。」
友梨奈さんが親父に言うと
「なんだ、お前
そんな馴れ馴れしい呼び方して。」
親父は少しビックリした様子で自分の妻の方を見た。
友梨奈さんは、一瞬
「しまった!」みたいな表情を見せたが、何とか取り繕った。
俺は多分無表情のままだったが、背筋が凍りかけた。
後ろめたさ全開というか…
そんな状況の中、俺達三人は蒼の病室を見舞った。
「あ、愁ちゃん…
お父さんとお母さんも」
蒼はベッドで起き上がっており、かなり良くなってる事を窺わせた。
「大丈夫か?起きても」
「うん。ずっと寝てちゃダメみたいだし」
蒼は現在、急性期にあたるが、今後福山の病院に移り、回復期のリハビリテーションを行う事になる。
今のところ、順調に回復しているので、その方向で進んでいくと思う。
まあ、順調と言っても、左半身に麻痺が見られるのは間違いなく、これからの生活がかなり大変になってくると思う。
その後、四人で今後の生活について話し合った。
前から言っていたように、ここを退院したら、蒼は両親と共に福山に帰り、向こうでリハビリ専門の病院に転院。
そこを経て自宅に戻る事となる。
こっちで同棲していた部屋は引き払い、俺はまた一人暮らしをしていたワンルームマンションと契約をし直す。
その件については既に不動産屋に連絡して、再契約の目処は立っている。
問題は今住んでいる部屋の事だ。
蒼不在の中、家財道具を引き払う作業をしなきゃならない。
福山に持っていくもの、捨てるもの等を選別して。
それについては蒼はすごく恐縮して、何度も俺に謝った。
「そんなの気にすんなよ。
先ずはリハビリに専念してくれよな」
俺がそう言うと、蒼も頷いた。
すると、後ろでやり取りを聞いていた友梨奈さんが
「お父さん、私、ここに残って引越しのお手伝いをするわ。」
と、言い出した。
「たしかに荷造りを彼だけに任せるのはあまりにも申し訳ないしな。
俺も残るよ。」
親父さんは殊勝な物言いをして自分の妻の方を見た。
「でも、あなた、お仕事があるでしょ。」
「そりゃ、まあ」
自営業&ワンマン経営なだけに、この親父が不在だと仕事にならないのが現実のようだ。
「あの、引越しについては、僕の荷物もありますし、本当に大丈夫です。
お母さんが残っていただけるのなら、それで十分です。」
俺がそう言うと、親父も渋々了解してくれた。
1
あなたにおすすめの小説
W-score
フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。
優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる