oh my little love

フロイライン

文字の大きさ
164 / 340
交差する思い

ユウ

しおりを挟む
ユウは蒼がニューハーフとしての道を進むにあたり、言葉では表現出来ないくらいのお世話になった人物である。

年齢は、蒼とは一個違いで、高校の時にSNSで蒼と知り合った。

ユウもまた幼き日より自分の性に違和感を持ち、悩み深い人生を送ってきた。

高三のときに、学校を中退して上京。
ニューハーフとして働き出す。

そして、自分の後を追って東京にやってきた蒼と、まるで姉妹のように深い絆で結ばれながらここまできたのだった。

勿論、上京したての頃は、給料もほとんどもらえず、その日の食事にも困る有り様だった。

だが、自分には帰る場所がないと、甘えた心を捨て、必死に頑張り、今の地位を得た。

蒼も最初は辛い日々を送っていたが、ユウに助けられ、ユウほどの過酷な環境には置かれなかった。

全てはユウのおかげである。
店で倒れた時も、すぐに異変を察知し、救急車を呼んだのもユウだった。
あのとき、少しでも遅れていたら死んでいたと、意識が回復した後、周囲から聞かされた。
それゆえに、蒼は今もユウを慕い、尊敬し、感謝の気持ちを忘れたことはない。
がむしゃらに十代後半から突っ走ってきたユウは、恋愛などにうつつを抜かしている余裕はなく、恋人というものを作らなかった。

勿論、波長の合う男と夜を共にする事もあるにはあったが、その場限りの関係で、いわゆる彼氏的な存在は全くなかったのだ。
もし、あったとしても長続きせず、それこそ一夜限りの関係だと言っても過言ではなかった。

そんな、ユウに転機というものが訪れた。
それも突然に…


その日も、ユウは店に出て、常連客に付いていたり、レビューを披露したりと、忙しくしていた。



「ユウちゃん、土井社長が来られてるよ。」


「えっ、土井社長?
わかりました。着替えたらすぐに付きます。」


ユウはレビューの衣装から接客用のドレスに着替え、すぐに自分のお得意様である土井の元へ向かった。


土井は外車の販売とチューニングショップを経営しており、それなりに需要があるのか、金払いもクリーンな良客だった。
見た目もイケおじといったところで、ユウもお気に入りの客であった。


「いらっしゃいませ、土井社長

あら、今日はお連れさんとご一緒?」

ユウは、珍しく土井が単独ではなく二人で来店したので、聞いてみると


「あー、ウチの新人でね
一緒に飯食った後に立ち寄ったんだ。

荒木君、こちらはユウさんね」

荒木と呼ばれた若者は、礼儀正しく立ち上がってユウに挨拶をした。


「あっ、荒木と申します。」

頭を下げる荒木に、ユウは何も言葉が出ず、固まってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

W-score

フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。 優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…

処理中です...