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交差する思い
疵
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まさか、翔太が戻ってくるとは、ユウは1ミリも思っておらず、しばらくの間、固まっていたが、やがて我に返り、二、三言交わした後に
「ウチに来る?」
と、言うと、翔太も頷いた。
二人はタクシーに乗り、ユウの住むマンションに向かった。
「ごめん、まさか今日、誰かを家に入れるなんて思ってもみなかったから、散らかってるけど。」
ユウは、そう言って翔太を部屋に上げた。
「いや、めっちゃキレイやん。」
翔太は、そう言って笑った。
「なんで笑ってるのよ」
笑われた事に引っかかりを覚えたユウは、ツッコミを入れた。
「いや、中学のときに遊びに行ったお前の部屋を思い出しちゃってな。
いつもキレイにしてんなあって思てたからな。」
「そうかな。
フツーだと思うけど。」
「なんか、懐かしい気持ちになったわ。」
「そう?
まあいいけど。
ねえ、何か飲む?」
「うん。
冷たいお茶ある?」
「あるわよ。
お酒はもういい?」
「俺、あんまり飲まれへんから。」
「へえ、そうなんだ。
なんか意外ね。翔太は絶対、将来飲むって思ったんだけど。」
「いや、俺は…
親父が酒癖悪かったから…」
翔太は、そう言いかけて、口を噤んだ。
ユウも、すぐに察知して話題を変えた。
「ねえ、いつこっちに出てきたの?」
「あ、うん。
高校出てから仕事を転々としてたんやけど、前に働いてた会社にたまたま土井社長が来て、なんか気に入られたっていうか…誘われちゃって
ホント最近なんやけど、こっちに引っ越してきてん。」
「へえ、そうやったんやね。
土井さんも見る目あるやん。」
「えっ、それはどうかわからんけど…
でも、こうしてユウと再会できたんは社長のおかげや。」
「てか、翔太
アンタまだ結婚してへんの?
アンタみたいなタイプは結婚するのが早いってイメージあるけど。」
「どんなイメージやねん。
してへんよ。
お前こそどうやねん?
恋人はおらんのかよ」
「アホ
おったら家にアンタを連れてくるかいな。」
茶化しながらも、結婚や恋人の有無を互いに確かめ合う二人であった。
「なあ、ユウ」
「ん?」
「転校してから、どうやってん?
元気に暮らしてたんか」
「ううん。
高校の時、限界が来て不登校になってしもてん。
それで高三のときに学校を中退してこっちに出てきてニューハーフになったんよ。」
「そうやったんか…
ごめんな。
俺、お前に連絡したいって思いながらも、色んなことが起きて…結局はせえへんままになってしもたしな。」
「それはしゃあないわ。
離れてしもたらそうなるよ。」
ユウも、翔太もあの時のことを思い出していた。
初めてキスをし、抱き合ったあの日の事を。
「ウチに来る?」
と、言うと、翔太も頷いた。
二人はタクシーに乗り、ユウの住むマンションに向かった。
「ごめん、まさか今日、誰かを家に入れるなんて思ってもみなかったから、散らかってるけど。」
ユウは、そう言って翔太を部屋に上げた。
「いや、めっちゃキレイやん。」
翔太は、そう言って笑った。
「なんで笑ってるのよ」
笑われた事に引っかかりを覚えたユウは、ツッコミを入れた。
「いや、中学のときに遊びに行ったお前の部屋を思い出しちゃってな。
いつもキレイにしてんなあって思てたからな。」
「そうかな。
フツーだと思うけど。」
「なんか、懐かしい気持ちになったわ。」
「そう?
まあいいけど。
ねえ、何か飲む?」
「うん。
冷たいお茶ある?」
「あるわよ。
お酒はもういい?」
「俺、あんまり飲まれへんから。」
「へえ、そうなんだ。
なんか意外ね。翔太は絶対、将来飲むって思ったんだけど。」
「いや、俺は…
親父が酒癖悪かったから…」
翔太は、そう言いかけて、口を噤んだ。
ユウも、すぐに察知して話題を変えた。
「ねえ、いつこっちに出てきたの?」
「あ、うん。
高校出てから仕事を転々としてたんやけど、前に働いてた会社にたまたま土井社長が来て、なんか気に入られたっていうか…誘われちゃって
ホント最近なんやけど、こっちに引っ越してきてん。」
「へえ、そうやったんやね。
土井さんも見る目あるやん。」
「えっ、それはどうかわからんけど…
でも、こうしてユウと再会できたんは社長のおかげや。」
「てか、翔太
アンタまだ結婚してへんの?
アンタみたいなタイプは結婚するのが早いってイメージあるけど。」
「どんなイメージやねん。
してへんよ。
お前こそどうやねん?
恋人はおらんのかよ」
「アホ
おったら家にアンタを連れてくるかいな。」
茶化しながらも、結婚や恋人の有無を互いに確かめ合う二人であった。
「なあ、ユウ」
「ん?」
「転校してから、どうやってん?
元気に暮らしてたんか」
「ううん。
高校の時、限界が来て不登校になってしもてん。
それで高三のときに学校を中退してこっちに出てきてニューハーフになったんよ。」
「そうやったんか…
ごめんな。
俺、お前に連絡したいって思いながらも、色んなことが起きて…結局はせえへんままになってしもたしな。」
「それはしゃあないわ。
離れてしもたらそうなるよ。」
ユウも、翔太もあの時のことを思い出していた。
初めてキスをし、抱き合ったあの日の事を。
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