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フロイライン

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ワケアリ

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「やっぱりそうか…」


菱沼は、立ち止まったままそう呟いた。



「どうされたんですか?」


平田は、名刺に書かれた住所のところまで来たにもかかわらず、一向に中に入っていこうとしない菱沼に、不思議そうに質問した。

勿論、咲斗も何故菱沼が動かなくなったのか、さっぱりわからなかった。


すると、菱沼が少しイラついた表情となり、平田に言った。


「馬鹿野郎。


よく見てみろ、このビルを。」



「えっ、何すか?」



「知らねえのか。」

菱沼はため息をついたかと思うと、続けて言った。


「このビルの所有者は上本組だ。」


「上本!?

なんで、上本組がこんなところに…」


咲斗は、驚きの表情のまま、菱沼と平田のやり取りを聞いていたが、上本組の事は知っていた。

関西を本拠地にする暴力団で、日本最大の勢力を誇る。

ヤクザでない咲斗も、それくらいの知識はあったのだ。


香織が上本組と?


いや、上本組の所有するビルに香織は借りてるだけではないのか?




ただ、咲斗は、よくわからなかったが、菱沼のリアクションを見る限り、イヤな予感しかしなかった。



「とりあえず行くしかねえな。」


菱沼は、気を取り直し、ビルの中に入っていった。


「一体、彼女に上本組がどう関係してるんでしょうか。」


エレベーターに乗ると、咲斗は菱沼に声をかけたが


「…」


菱沼は何も語らなかった。
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