ニューハーフ学園

フロイライン

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私刑

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手術から五日が経過し、光瑠はようやく動けるようになった。


「光瑠君、もう大丈夫なの?」


「ああ、かなりマシになってきた。

晴翔は朝から授業か?」


「うん。ワタシ、一年の時にほとんど学校に行ってないから、必要な単位が取れてなくて、ここから三年かけて卒業しないとダメみたいなの。

せめて高校卒業の資格くらいは欲しいから、頑張ってくるよ」


「おう、頑張れよ。

俺は、オッサンから呼び出されてっから行ってくるわ」


二人は部屋を出て別れ、それぞれが違う建物に入っていった。


光瑠は、五日前に手術を受けた忌まわしき部屋に再び呼ばれ、顔を出した。


中に入ると、この前執刀した医師伊丹と、佐々岡が揃って待っていた。


伊丹は、診察台で光瑠の術後の経過を診ると

「うん。問題ないね。
経過は良好です」

と、言った。


「チッ、何が良好だよ…」


光瑠はパンツを履きながら舌打ちをした。


「よし、森下。
次のプログラムに移行するぞ。」


佐々岡は少し笑みを浮かべながら言うと、伊丹の方を見て頷いた。

伊丹もまた頷き、光瑠を自分の前に座らせ、服を捲って左腕を出すように言った。

光瑠も抵抗しても無駄だと思ったのか、言われた通りに腕を出した。

伊丹は、アルコールで腕を拭くと、素早く注射の用意をして、二の腕の辺りに針を突き刺した。


「痛っ」


「筋肉注射だから、ちょっと痛いよ」

伊丹は淡々とした口調で言い、注射を打ち終えた。


「一体何の注射だよ?」


光瑠は、伊丹に質問したが、伊丹の代わりに佐々岡が割って入ってきて話し始めた。


「私から説明させてもらうよ。

新少年法に則って去勢手術を行なったわけだが、それではまだ不十分ということで、女性ホルモンの注射を今、投与した。」


「なんだと…」


「タマのないお前は、どちらにしてもホルモン投与をしないと、若くして更年期障害になったり、骨粗鬆症になったりと、重篤な健康被害をもたらすことになる。
まあ、犯罪者といえども、それは可哀想だということで、慈悲を与えたってわけだ。」


「チッ…

同部屋の奴から聞いてたから知ってるよ。」


「おい、お前は何か勘違いしてるんじゃないか。

同部屋の生徒は、犯罪者じゃないんだよ。
お前と同じものを打つわけないじゃないか。

ちゃんとカウンセリングを受けてもらい、正しい順序で治療を行う。」


「なんだと?」


「そう怒るなよ。
お前にとっても悪い話じゃないんだ。

今、お前に投与したのは新しく開発された女性ホルモン剤で、これまでのものとは違い、その効果は強力で、かつ短時間で変化を起こしてしまうんだ。」


「…」


「まだ開発されたばっかりで認可も下りてないものだから、一般の生徒には使えないんだがな。

謂わば実験台ってわけさ。」


説明を終えた佐々岡は、冷酷な笑みを浮かべていた。
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