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再上京
「お母さん、これどうしたの?」
愛は、母美都子のベッドの脇にある台に置かれたメロンの箱を指差して言った。
「あー、それは荒井さんが昨日お見舞いに来て下さってね、持ってきてくれたの。」
「あ、そうなんだ。
お礼を言わないとダメだね。」
「お願いね。
愛、いつもすまないねえ。
私が病気にさえならなければ、心さんと離れ離れにならなくて済んだのに…
本当にごめんね。」
「そんな事、気にしちゃダメよ。
お母さんは自分の体のことだけを考えて。」
「愛だけじゃなくて、心さんにも寂しい思いをさせちゃってるもんね」
「…
お母さん、私ね
ちょっと東京に行ってこようと思うんだけど、いいかな?」
「そんなの、もちろんいいに決まってるじゃない。
心さんのところかい?」
「うん…
この前、行ったばっかりなのにごめんね。」
「本来なら一緒に東京に住んでるはずなのに、申し訳ない気持ちでいっぱいだわ。
私の事は気にしないでゆっくり行っておいで。」
美都子の言葉に、愛は少し泣きそうな顔になりながら、無理矢理笑みを浮かべて頷いた。
先日、夫が会社を辞めて行方がわからなくなっている事を知り、慌てて上京した。
しかし、何の手掛かりも得られず、帰宅する事を余儀なくされた。
そして、今回、興信所に調査を依頼し、夫の居場所を突き止めたのである。
再び、上京する事を決めた愛は、母を見舞った後、自宅に戻り、旅支度を始めた。
明日、朝イチの新幹線で上京し、夫の自宅を訪ねるつもりだ…
今度は、住んでいる場所も、働いている場所も、どんな姿になっているかも、全てわかっている。
白黒ハッキリさせ、ケリをつける。
愛は、どう転ぶかわからない夫との話し合いに向け、思い詰めた表情で、バッグに着替えを詰め込んだ。
愛は、母美都子のベッドの脇にある台に置かれたメロンの箱を指差して言った。
「あー、それは荒井さんが昨日お見舞いに来て下さってね、持ってきてくれたの。」
「あ、そうなんだ。
お礼を言わないとダメだね。」
「お願いね。
愛、いつもすまないねえ。
私が病気にさえならなければ、心さんと離れ離れにならなくて済んだのに…
本当にごめんね。」
「そんな事、気にしちゃダメよ。
お母さんは自分の体のことだけを考えて。」
「愛だけじゃなくて、心さんにも寂しい思いをさせちゃってるもんね」
「…
お母さん、私ね
ちょっと東京に行ってこようと思うんだけど、いいかな?」
「そんなの、もちろんいいに決まってるじゃない。
心さんのところかい?」
「うん…
この前、行ったばっかりなのにごめんね。」
「本来なら一緒に東京に住んでるはずなのに、申し訳ない気持ちでいっぱいだわ。
私の事は気にしないでゆっくり行っておいで。」
美都子の言葉に、愛は少し泣きそうな顔になりながら、無理矢理笑みを浮かべて頷いた。
先日、夫が会社を辞めて行方がわからなくなっている事を知り、慌てて上京した。
しかし、何の手掛かりも得られず、帰宅する事を余儀なくされた。
そして、今回、興信所に調査を依頼し、夫の居場所を突き止めたのである。
再び、上京する事を決めた愛は、母を見舞った後、自宅に戻り、旅支度を始めた。
明日、朝イチの新幹線で上京し、夫の自宅を訪ねるつもりだ…
今度は、住んでいる場所も、働いている場所も、どんな姿になっているかも、全てわかっている。
白黒ハッキリさせ、ケリをつける。
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