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惨禍
ヒールを履く事にも慣れた。
もちろん女性物の服装にも…
体つきが変わったのだから、下着も含めて今の姿の方がしっくりくる。
帰りを急ぎながらも、道すがら出てくる店舗のショーウィンドウに映し出される自分の姿を、ついつい見入ってしまう。
その感想は…
なかなかイケてる
だった。
女装歴三年とちょっとの割には、かなり良い線いってる。
もう、こうして街を歩いても、誰も心が男性だったと気付がない。
女性ホルモン、去勢手術、脱毛、メイクのテクニック、女声のマスターなど、やれる努力は全部やった。
その結果として、今の高い水準のビジュアルを得ることが出来たのだ。
女になって…
いや、ニューハーフになってよかった
心は、幸せを噛み締めながら、目の前に広がる景色を見つめていた。
これがワタシの生きる道…
だが、手放しで喜ぶことはできない…
自分はまだケジメをつけていない
ずるい生き方をしている。
何故なら、結婚をしているにもかかわらず、夫としての人生を放棄して、女になってしまった。
つまり、妻を裏切ったのだ。
今も家で、自分のことを心配しているであろう妻の気持ちはいかばかりか…
いつまでも逃げているわけにはいかない
すぐにでも会いに行き、謝ろう
許してもらえないに違いないが…
心はそんな思いに包まれながら、家に帰ってきた
心の気持ちの大部分は愛のことばかりで、ホルモンバランスの影響もあり、忽ち沈んでしまった。
そうなると、道を行く女性が全て妻に見えてしまう。
よく見れば似ても似つかぬ人であるのに…
自分が住むマンションの前に立っている女性でさえ愛に見えてしまう。
自分は病気だ…
心は額を押さえながら、バッグからカギを取り出し、その女性に軽く会釈をしてオートロックの操作板の前まで来て、ドアのロックを解除した。
今日は大して何もしていないが、何か疲れてしまった…
家で少し休もう…
そんな思いに駆られる心に、側に立っていた女性が
「あの…」
と、語りかけてきた。
それは、聞き覚えのある声だった。
「心?」
「…」
まさか、ここにいるはずが…
心は、思考が停止し、固まってしまった。
だが、目の前にいるのは、どこからどう見ても妻の愛本人だった。
愛の方も、写真で既に心の現在の姿を把握していることもあり、目の前の人物が夫本人だと確信していた。
「久しぶりね…」
愛の言葉に、未だにリアクションが取れず、その場に立ち尽くす心だった。
もちろん女性物の服装にも…
体つきが変わったのだから、下着も含めて今の姿の方がしっくりくる。
帰りを急ぎながらも、道すがら出てくる店舗のショーウィンドウに映し出される自分の姿を、ついつい見入ってしまう。
その感想は…
なかなかイケてる
だった。
女装歴三年とちょっとの割には、かなり良い線いってる。
もう、こうして街を歩いても、誰も心が男性だったと気付がない。
女性ホルモン、去勢手術、脱毛、メイクのテクニック、女声のマスターなど、やれる努力は全部やった。
その結果として、今の高い水準のビジュアルを得ることが出来たのだ。
女になって…
いや、ニューハーフになってよかった
心は、幸せを噛み締めながら、目の前に広がる景色を見つめていた。
これがワタシの生きる道…
だが、手放しで喜ぶことはできない…
自分はまだケジメをつけていない
ずるい生き方をしている。
何故なら、結婚をしているにもかかわらず、夫としての人生を放棄して、女になってしまった。
つまり、妻を裏切ったのだ。
今も家で、自分のことを心配しているであろう妻の気持ちはいかばかりか…
いつまでも逃げているわけにはいかない
すぐにでも会いに行き、謝ろう
許してもらえないに違いないが…
心はそんな思いに包まれながら、家に帰ってきた
心の気持ちの大部分は愛のことばかりで、ホルモンバランスの影響もあり、忽ち沈んでしまった。
そうなると、道を行く女性が全て妻に見えてしまう。
よく見れば似ても似つかぬ人であるのに…
自分が住むマンションの前に立っている女性でさえ愛に見えてしまう。
自分は病気だ…
心は額を押さえながら、バッグからカギを取り出し、その女性に軽く会釈をしてオートロックの操作板の前まで来て、ドアのロックを解除した。
今日は大して何もしていないが、何か疲れてしまった…
家で少し休もう…
そんな思いに駆られる心に、側に立っていた女性が
「あの…」
と、語りかけてきた。
それは、聞き覚えのある声だった。
「心?」
「…」
まさか、ここにいるはずが…
心は、思考が停止し、固まってしまった。
だが、目の前にいるのは、どこからどう見ても妻の愛本人だった。
愛の方も、写真で既に心の現在の姿を把握していることもあり、目の前の人物が夫本人だと確信していた。
「久しぶりね…」
愛の言葉に、未だにリアクションが取れず、その場に立ち尽くす心だった。
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