夫が女になって帰ってきた!

フロイライン

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恩人or怨人

心は、引越し準備を着々と進め、職場、友人達に挨拶をして回っていたが、最後は、この道に進むきっかけを作った宮埜に会う事にした。


「宮埜さん、お疲れ様です。」


待ち合わせをしたのは、ニューハーフの世界を初めて知る事になった、あの日に宮埜と二人で行った居酒屋だった。


「おう、杉原、お疲れ!」


既に飲み始めていた宮埜は、向かい側に座るように手を差し出しながら笑って言った。


「すいません、遅くなっちゃって。」


「いや、俺もさっき来たとこだよ。

とりあえずビールでいい?」


「あ、はい。」


宮埜は、店員に心の分のビールを注文し、メニューを手渡した。


「いやあ、お前とここに来たのって、もう何年前だ?」


「例のあの日以来ですから、もう三年以上経ちますね。」


「そうか。

三年ちょっとでここまで変わっちまう奴もまあいないよな。

性別まで変えちゃうんだもん。」



「そうですよね。
自分でもそう思います。」


心は、女性らしく、口に手を当てて笑った。


そんな心の姿を見ながら、宮埜は


「あの時、お前をニューハーフヘルスなんかに連れてかなきゃ、こんな人生になってなかったのにな。

本当に申し訳ないかぎりだよ。」


「もう、謝らないで下さいよ。

これは、自分で決めた道だし、今の暮らしに満足してるんです。
全然後悔なんてしてません。

この前、みりあちゃんも宮埜さんと同じ事をワタシに言ったんですけど、ホントに気になんてしないでください。

二人は、ワタシの恩人だと思っています。」


「そう言ってもらえると、少しは気が楽になるけど。」


「ニューハーフになれて良かったって思ってますし、今の人生に満足してますので、ご心配なく。」


「うん。

ところで、いつ引越すんだ?」


「来週末には部屋を引き払って出て行く事になっています。」


「そうか。
お前が東京からいなくなると寂しくなるなあ。」


「ワタシもです。

たまに宮埜さんにお会いするのを楽しみにしてましたし。」


「いやいや、俺は
お前が見る度にキレイになっていくのが楽しみでな。

ほんといい女になったよなあ。」


「えっ、そんな事思ってくれてたんですか。

すごく嬉しいです。」


「いや、マジでそう思うよ。」


「でも、お店には全然来てくれませんでしたねえ。」


「ショーパブな。

俺、あーいう店は苦手なんだよ。

風俗だったら頻繁に会いに行ってたけどね。」


「相変わらずね、宮埜さんは。

みりあちゃんも言ってたよ。
宮埜さんて、遅漏でなかなかイッてくれないから大変だって。」


「あちゃー、二人は仲良しだもんなあ。
そんな話まで聞いてたのか」


宮埜は顔を真っ赤にしてビールをグイッと飲んだ。
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