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美都子が退院した事により、心と愛の生活にも大きな変化があった。
美都子はまず、自分が住んでいた家を処分すると、そのお金と自身の資産を足して二人に援助、三人がゆったり住める広々としたマンションを購入させた。
相変わらず、愛が働き、心が家事全般を担当するという図式は変わらなかったが、気の合う美都子が同居する事により、昼間は仲良く外出する事が増え、以前より気持ちにゆとりが出来てきたのだ。
資産家の美都子は、心と外出する度に、服や化粧品をぽんぽんと買い与え、恐縮する心を気にせずに頻繁に連れ歩いた。
心は納得して家庭に入っていたが、その実は鬱屈した生活を送っており、いつ爆発してもおかしくはなかった。
特にニューハーフの先輩である日菜子に再会した時くらいから。
だが、美都子により、生活にハリが復活した心は、毎日が楽しくなっていった。
美都子もまた、血は繋がってはいないが、やたらと気の合う心の存在が、自身の体調を安定させ、見違えるほど元気になっていったのだった。
そして、ここ最近の二人の楽しみは、温泉旅行の計画を立てる事で、そのメンバーに愛は入ってなかった。
愛は、仕事が軌道に乗り始め、バリバリと働き、若干古い会社の体質もあって、残業をする日も増えていた。
家の事を全て心がやってくれているので、このような仕事の仕方が可能になっているだけで、本来なら無理であっただろう。
だからこそ、美都子と心を二人で旅行に行かせる事にし、自分は仕事を頑張るしかないと割り切った考えを持っていた。
「ねえ、ココ
この旅館良くない?」
「あ、いいね。
効能見て。
お義母さんにすごく合ってる。」
「それに、部屋にある温泉なのに、めちゃくちゃ広いわよ。
最高じゃない!」
「ちょっと、値段見て…」
「そんなのアンタが気にする事ないの。
ここに決めちゃう?」
「ホントにいいの?」
「娘のくせに遠慮しないの。」
心の事をすっかり娘扱いするようになった美都子は、そう言って笑い飛ばした。
夜になり、愛が帰宅すると、さっそく温泉旅行の計画を二人で興奮気味に話した。
「へえ、いいじゃん
料理も良さそうね。」
「うん。
私も体調がいいし、食べるものだって段々普通のものを食べられるようになってきてるの。
だから、楽しみだわ。」
「心
私はお仕事で行けないけど、お母さんの事をよろしくね。」
「うん。
愛ちゃん、ごめんね。
一緒に行けなくて。」
「いいのよ。
今はお仕事が楽しくて、そういった事に頭が回んないの。
だから、心にはすごく感謝してるわ。
ありがとうね。」
一時は不安定になりかけていた夫婦関係も良好となり、少し軌道に乗り始めたと感じる心だった。
美都子はまず、自分が住んでいた家を処分すると、そのお金と自身の資産を足して二人に援助、三人がゆったり住める広々としたマンションを購入させた。
相変わらず、愛が働き、心が家事全般を担当するという図式は変わらなかったが、気の合う美都子が同居する事により、昼間は仲良く外出する事が増え、以前より気持ちにゆとりが出来てきたのだ。
資産家の美都子は、心と外出する度に、服や化粧品をぽんぽんと買い与え、恐縮する心を気にせずに頻繁に連れ歩いた。
心は納得して家庭に入っていたが、その実は鬱屈した生活を送っており、いつ爆発してもおかしくはなかった。
特にニューハーフの先輩である日菜子に再会した時くらいから。
だが、美都子により、生活にハリが復活した心は、毎日が楽しくなっていった。
美都子もまた、血は繋がってはいないが、やたらと気の合う心の存在が、自身の体調を安定させ、見違えるほど元気になっていったのだった。
そして、ここ最近の二人の楽しみは、温泉旅行の計画を立てる事で、そのメンバーに愛は入ってなかった。
愛は、仕事が軌道に乗り始め、バリバリと働き、若干古い会社の体質もあって、残業をする日も増えていた。
家の事を全て心がやってくれているので、このような仕事の仕方が可能になっているだけで、本来なら無理であっただろう。
だからこそ、美都子と心を二人で旅行に行かせる事にし、自分は仕事を頑張るしかないと割り切った考えを持っていた。
「ねえ、ココ
この旅館良くない?」
「あ、いいね。
効能見て。
お義母さんにすごく合ってる。」
「それに、部屋にある温泉なのに、めちゃくちゃ広いわよ。
最高じゃない!」
「ちょっと、値段見て…」
「そんなのアンタが気にする事ないの。
ここに決めちゃう?」
「ホントにいいの?」
「娘のくせに遠慮しないの。」
心の事をすっかり娘扱いするようになった美都子は、そう言って笑い飛ばした。
夜になり、愛が帰宅すると、さっそく温泉旅行の計画を二人で興奮気味に話した。
「へえ、いいじゃん
料理も良さそうね。」
「うん。
私も体調がいいし、食べるものだって段々普通のものを食べられるようになってきてるの。
だから、楽しみだわ。」
「心
私はお仕事で行けないけど、お母さんの事をよろしくね。」
「うん。
愛ちゃん、ごめんね。
一緒に行けなくて。」
「いいのよ。
今はお仕事が楽しくて、そういった事に頭が回んないの。
だから、心にはすごく感謝してるわ。
ありがとうね。」
一時は不安定になりかけていた夫婦関係も良好となり、少し軌道に乗り始めたと感じる心だった。
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