夫が女になって帰ってきた!

フロイライン

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愛の愛

「愛ちゃん、ワタシ

これからお仕事なの。」

化粧を終えた心が、愛に声をかけた。


「そうなのね。

じゃあ、今日は私がご飯作るよ。」


「いいの?」


「そんなの当たり前じゃない。
ここに置いてもらってるんだから。」


「愛ちゃん、この家は、美都子に買ってもらったもので、ワタシも宮埜さんも住ませてもらってる身なのよ。

愛ちゃんは美都子の娘なんだし、ワタシらよりここに住む権利があるのよ。

だから、遠慮なんてしたらダメ。」


「フフッ…」


心の言葉を受け、愛は少し笑った。

「どうしたの?」


「心は、相変わらず優しいなって。」


「何言ってんのよ。
そんな事ないわよ。」


「ううん、あるある。

私って何だかんだ言ってても、やっぱり心が好きなんだって、こうやって再会してみたら、本当に心底そう思えるわ。」


「愛ちゃん…」


「でも、私が勝手にそう思ってるだけだから、気にしないでね。

離婚を切り出したのも私の方からなんだし…

今さらそんなこと言われても迷惑だもんね。」


「ううん…

そんな事ないよ。

でも、ワタシは愛ちゃんを裏切って去勢までして、男である事を放棄して…

愛ちゃんを愛する資格なんてないわ。」

心は申し訳なさそうに言うと、俯いてしまった。

そんな心を、愛は黙って見つめていたが、しばらくすると

「心、本当にありがとう…

あなたがこうして救いの手を差し伸べてくれたから、私は生きていられるの。」

と、言って、心に感謝の意を示した。


「愛ちゃん

とにかく、何も心配しなくていいから。
ワタシ達に任せておいて。

何があっても、絶対に救ってみせるから。」

心もまた、力強い言葉で愛を励ました。




「それじゃあ、行ってくるね。」

宮埜、美都子に続いて、心が家を出ていった。


愛は、一人残された部屋で、また泣いた。

辛くて泣いたのではない。

色んな感情が重なり合って、胸が締め付けられての事だった。
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