夫が女になって帰ってきた!

フロイライン

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scatter one's mind

「」誰もが明日の事を考えると、気が重くなるので、その件についてはもう語られることはなかった。

一転して、食事のときは楽しい雰囲気ですごすことに、それぞれが徹した。


心も日頃より、よく喋り、愛も宮埜も岸田も、よく笑った。


食事を終えると、順番に入浴をし、最後の心が髪を乾かして、部屋に戻ってきた頃には、時刻は深夜零時を回っていた。


「宮埜さん

岸田さんは?」


「ああ。

心の部屋に寝てもらってるよ。」


「そう。

それにしても、愛ちゃん大丈夫かなあ。

かなり落ち込んでたから。」


「そりゃそうさ。

その藤村って男をなんとかすればいいと考えたわけさ、愛ちゃんも俺らも。

しかし、敵はソイツだけじゃなくて、もっとデカい組織だったっていうんだから、絶望感に苛まれるのは当然だよ。」   


「そうね…」


心は、そう言うと、ベッドには入らずに腰掛け、ため息をついた。





岸田はというと、既にベッドで横になっていたが、やはり他人の家という事もあり、なかなか寝付けず、天井をぼんやりと見つめていた。


そのとき、徐にドアがノックされた。


「あ、はい。」


慌てて身を起こし、ドアに向かって声をかけると、ドアが開いた。


「すいません…」


ドアの向こうには愛が立っていた。


「愛さん…

どうされたんですか?」


「岸田さん…

この度は、私なんかのためにご迷惑をおかけする事になって、申し訳ございません。」


「あ、いえ

そんな事は全然気にしないで下さい。
僕があつかましく首を突っ込んでるだけですから。

あの、僕の家じゃないですが、中に入りませんか。」

岸田が照れくさそうに言うと、愛も少し笑って、中に入ってきた。


岸田は、愛がすっぴんであるにもかかわらず、あまりにも美しい…

そう思いながら見つめていた。

部屋には小さなテーブルがあり、岸田と愛は向かい合って座った。


「愛さん

軽はずみな事は言えませんが、きっと大丈夫です。
何とかなります。」


岸田は、敢えて力強く言い切った。


「ありがとうございます。

岸田さんをはじめ、宮埜さん、心には感謝してもしきれません。」


「お礼は全て解決してからでいいですよ。

まだ何もしてませんし。」

岸田が笑って言うと、愛も少し笑みを浮かべて頷いた。


「岸田さんもヘンだと思いますよね。」


「えっ?」


「私と心の関係を。」



「ああ、その事ですか。

僕は全然ステキだって思いますよ。」


「えっ
ホントに?」


「お二人とは同じ会社にいて、愛さんとはお会いする事はなかったですけど、美男美女のカップルとして、こっちでも有名でしたからね。」


「そんな事ないですよ。」


「いえ。
でも、心は何故かニューハーフになっちまった。

愛さん的には複雑な気持ちにもなったでしょうし、沢山傷ついたでしょうけど、今の二人の関係を見てて、何かいいなあって。」

岸田は、そう言うと、ニコッと笑った。
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