夫が女になって帰ってきた!

フロイライン

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久遠の愛

心が話し始めると、藤村は意外そうな顔をした。

「愛を救うために、強面の男たちを連れてくるのかと思ってたら、あなたのような若い女性まで来るとはね。

驚いたな。」



「いえ、ワタシは男です。

愛の元夫です。

自己紹介が遅くなり申し訳ありません。
杉原心と申します。」



「えっ

アンタがそうだったのか」



「ええ。
今さらワタシが出しゃばる事じゃないと思っていましたが、愛さんが本当に苦しんでいたので、放っておくことができませんでした。」


「いやあ、これは驚いたなあ。

ダンナがニューハーフになったって話は以前に聞いていたが、まさかこんなに美しいとは思わなかったよ。

おっさんの女装っていう感じかと思ってたから。」


「似たようなものです。

すいません、話を戻させていただいてもよろしいですか?」



「あ、ああ

どうぞ。」


「あなたの話振り、その自信に満ちた表情を見るに、今話されていたことはあながち嘘ではないでしょう。

つまり、ワタシ達が警察やマスコミ、SNSに頼ろうとしても揉み消されるどころか、こちらの身が危なくなる。」

それを聞いた藤村は、ニヤッと笑った。

「あなたは、顔も美しいが頭もとても良いようだね。

まあ、その通りだよ。

ウソ、偽りなくね。」


「そんな大きな組織と関係あるということは、あなたもただのサラリーマンではないということでしょうか?」


「さあ、どうだろうね。

愛の働く会社の上司である事は、紛れもない事実だけど?」


「多分、あなたもお父様かご親戚が政治家か、地元の有力者じゃないかと、ワタシは見ています。

いかがですか?」


「フッ
面白い推理をするね。

心さん、俺はあなたを気に入ったよ。
愛を助けてほしければ、心さんが代わりになってくれるかい?
だったら、キミたちの申し出を考えないでもない。」


「バカな事を言うな!」

宮埜が激昂するのを、心は手で制した。


そして


「ワタシも、あなたのバックにいるものや、組織の力などを考えてみたんですが、やはり、相当なものだと思います。
実際、ワタシ達が動こうとすれば、間違いなく消される。」


「かもしれないね。」


「話は変わりますが、愛さんは、そのパーティーにいた政治家の顔を何人か見覚えがあったと言ってました。」


「へえ、そうなんだ。
愛は若いのに、政治家の顔とか、見てわかるんだね。

感心感心。」

藤村は愛の方を見て笑って言ったが、愛は怒りに満ちた表情で睨み返した。


「ワタシも愛さんから、そこにいた人物の名前を聞きましたが、全員が与党の有力者でした。」


「何が言いたい?」


少しだけ、藤村の表情が変化した。


「藤村さん
もうすぐ、参議院の選挙がありますね。」


「それがどうした。」


「現状、辛うじて与党が過半数を上回っていますが、この選挙で負けると、参議院が与野党逆転し、衆議院との間でねじれ現象が起きてしまう。

そうすると、次はどうなるでしょうか。

衆議院を解散せざるを得なくなり、選挙の結果次第では、政権交代もあり得ます。」


「…」


「だから、今のこの大事な時期に、スキャンダルが表に出るとマズイんじゃないですか。」


「お前!」


今度は、心がニヤッと笑った。





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