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大恩人
迎えの車に、心は周りを気にしながら乗り込んだ。
「すまないね。
わざわざ来てもらって。」
「ううん。
今回は、色々お世話になりました。
本当に九死に一生を得るとはこの事です。」
心と会話を交わすのは、今野竜一であった。
今野は、民国党の代議士桐野光雄の秘書で、心のニューハーフになって初めて出来た男性の恋人だった。
「桐野先生がね、是非君に直接会ってお礼を言いたいってことで、呼び出しちゃったってわけなんだ。」
「こちらこそ、あなたや先生にはちゃんとお礼を言いたいと思ってたんです。
こういう機会を与えたいただいて、すごく嬉しいです。」
今野も心も、元恋人だけに、もう少しフランクに話したいと思っていたが、運転手がいる手前、どうしてもよそよそしくなってしまった。
心を乗せた車は、桐野の事務所に到着し、今野によって中に案内された。
「すぐにおいでになるから、ここに座って待っていて下さい。」
今野に応接間に座るように言われた心は、居心地が悪そうにしながら、ソファーの前の方にちょこんと腰掛けた。
二、三分して、桐野が今野を伴って中に入ってきた。
「いやあ、お待たせしました。」
桐野がにこやかな表情でそう言って入ってくると、心は立ち上がり、慌てて頭を下げた。
「杉原と申します。
その節は色々とお世話になり,本当にありがとうございました。」
「いやいや、それはこっちのセリフですよ。」
桐野は、心に座るように促しながら、自らも向かい側に腰掛けた。
続いてその隣に今野も腰を下ろした。
「あなたが、今野君の恋人だった方でしたか。
話には聞いていましたが、本当に美しいですね。」
「いえ、そんな事は全然…」
心は首を横に振って否定した。
「ですが、あなたと今野君には本当に悪い事をしました。
今野君に別れ話を持ちかけさせたのは我々なんです。
あの時は、選挙で絶対に負ける事が許されず、ちょっとしたスキャンダルも一切出ないように、神経を使っていたんです。」
「それは、ワタシもよく理解していますし、自分でもその事については納得していますので。」
「そうですか…
しかし、今回の件は、互いに恩恵があったという事で、私としてもあなたに対し、少しは報いる事が出来たかなと思っています。」
「十分すぎます。
お二人の力を貸していただかなければ、今頃ワタシはこの世にいなかったんじゃないかと思っています。」
心は、そう言うと、また神妙な顔をして頭を下げた。
「すまないね。
わざわざ来てもらって。」
「ううん。
今回は、色々お世話になりました。
本当に九死に一生を得るとはこの事です。」
心と会話を交わすのは、今野竜一であった。
今野は、民国党の代議士桐野光雄の秘書で、心のニューハーフになって初めて出来た男性の恋人だった。
「桐野先生がね、是非君に直接会ってお礼を言いたいってことで、呼び出しちゃったってわけなんだ。」
「こちらこそ、あなたや先生にはちゃんとお礼を言いたいと思ってたんです。
こういう機会を与えたいただいて、すごく嬉しいです。」
今野も心も、元恋人だけに、もう少しフランクに話したいと思っていたが、運転手がいる手前、どうしてもよそよそしくなってしまった。
心を乗せた車は、桐野の事務所に到着し、今野によって中に案内された。
「すぐにおいでになるから、ここに座って待っていて下さい。」
今野に応接間に座るように言われた心は、居心地が悪そうにしながら、ソファーの前の方にちょこんと腰掛けた。
二、三分して、桐野が今野を伴って中に入ってきた。
「いやあ、お待たせしました。」
桐野がにこやかな表情でそう言って入ってくると、心は立ち上がり、慌てて頭を下げた。
「杉原と申します。
その節は色々とお世話になり,本当にありがとうございました。」
「いやいや、それはこっちのセリフですよ。」
桐野は、心に座るように促しながら、自らも向かい側に腰掛けた。
続いてその隣に今野も腰を下ろした。
「あなたが、今野君の恋人だった方でしたか。
話には聞いていましたが、本当に美しいですね。」
「いえ、そんな事は全然…」
心は首を横に振って否定した。
「ですが、あなたと今野君には本当に悪い事をしました。
今野君に別れ話を持ちかけさせたのは我々なんです。
あの時は、選挙で絶対に負ける事が許されず、ちょっとしたスキャンダルも一切出ないように、神経を使っていたんです。」
「それは、ワタシもよく理解していますし、自分でもその事については納得していますので。」
「そうですか…
しかし、今回の件は、互いに恩恵があったという事で、私としてもあなたに対し、少しは報いる事が出来たかなと思っています。」
「十分すぎます。
お二人の力を貸していただかなければ、今頃ワタシはこの世にいなかったんじゃないかと思っています。」
心は、そう言うと、また神妙な顔をして頭を下げた。
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