夫が女になって帰ってきた!

フロイライン

文字の大きさ
218 / 469

大恩人

迎えの車に、心は周りを気にしながら乗り込んだ。


「すまないね。

わざわざ来てもらって。」



「ううん。

今回は、色々お世話になりました。

本当に九死に一生を得るとはこの事です。」


心と会話を交わすのは、今野竜一であった。


今野は、民国党の代議士桐野光雄の秘書で、心のニューハーフになって初めて出来た男性の恋人だった。



「桐野先生がね、是非君に直接会ってお礼を言いたいってことで、呼び出しちゃったってわけなんだ。」



「こちらこそ、あなたや先生にはちゃんとお礼を言いたいと思ってたんです。

こういう機会を与えたいただいて、すごく嬉しいです。」


今野も心も、元恋人だけに、もう少しフランクに話したいと思っていたが、運転手がいる手前、どうしてもよそよそしくなってしまった。


心を乗せた車は、桐野の事務所に到着し、今野によって中に案内された。


「すぐにおいでになるから、ここに座って待っていて下さい。」


今野に応接間に座るように言われた心は、居心地が悪そうにしながら、ソファーの前の方にちょこんと腰掛けた。



二、三分して、桐野が今野を伴って中に入ってきた。


「いやあ、お待たせしました。」


桐野がにこやかな表情でそう言って入ってくると、心は立ち上がり、慌てて頭を下げた。


「杉原と申します。

その節は色々とお世話になり,本当にありがとうございました。」


「いやいや、それはこっちのセリフですよ。」


桐野は、心に座るように促しながら、自らも向かい側に腰掛けた。

続いてその隣に今野も腰を下ろした。


「あなたが、今野君の恋人だった方でしたか。

話には聞いていましたが、本当に美しいですね。」


「いえ、そんな事は全然…」


心は首を横に振って否定した。


「ですが、あなたと今野君には本当に悪い事をしました。


今野君に別れ話を持ちかけさせたのは我々なんです。

あの時は、選挙で絶対に負ける事が許されず、ちょっとしたスキャンダルも一切出ないように、神経を使っていたんです。」



「それは、ワタシもよく理解していますし、自分でもその事については納得していますので。」



「そうですか…


しかし、今回の件は、互いに恩恵があったという事で、私としてもあなたに対し、少しは報いる事が出来たかなと思っています。」



「十分すぎます。

お二人の力を貸していただかなければ、今頃ワタシはこの世にいなかったんじゃないかと思っています。」


心は、そう言うと、また神妙な顔をして頭を下げた。



感想 2

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

秘書と社長の秘密

廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。 突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。 ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

ストレンジ&デイズ

廣瀬純七
青春
ある朝、高校生の男女が入れ替わる不思議なお話。