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昔の男
心は今野の運転する車に乗り込んだ。
今野は後部座席に乗るように言ったが、助手席がいいと、言うことを聞かなかった。
「相変わらずだなあ、心は。」
「えっ、何なの?
どういうことよ」
「言い出したら聞かない性格してんだから。」
「そうかなあ。」
「そうだよ。
俺、あの時止めたよな。
去勢手術するとき。
絶対後悔するからって。」
「そんな事もあったわね。
でも、ありがとうね。
あのとき,手術に付き添ってくれて、心の支えになったわ。」
「いや、それは、」
今野は少し顔を赤くし、チラッと心の方に視線をやったが、すぐに前を向いた。
「桐野先生
いよいよ総理大臣の椅子が見えてきたわね。
おめでとう。」
「まだ早いよ。
政治の世界は魑魅魍魎が蔓延ってるんだ。
本当に首班指名されるまではわからないよ。」
「あら、慎重なのね。」
「慎重になるに越したことはないよ。
でも、ありがとうな。
心のおかげで、一気に追い風が吹いたわけだから。」
「お礼を言うのはワタシの方よ。
ヘタしたら殺されてたかもしれないもの。」
「うん。
無事でよかった…」
今野はそう言うと、また黙り込んでしまった。
暫しの沈黙の後、心は
「どうしたのよ。
急に黙っちゃって」
たまらず、声を発した。
「あ、いや…
なあ、心
今、幸せか?」
今野は、消え入りそうな声で心に質問した。
「えっ…
どうかなあ。
幸せ…なのかなあ。」
心が考える素振りを見せると、今野は
「あのときは、本当に申し訳なかった」
と、謝罪の言葉を述べた。
「何言ってんのよ。
もう、済んだ話じゃない。」
心はそう言って笑ったが、頭の中では、当時の事が鮮明に蘇ってきていた。
今野は後部座席に乗るように言ったが、助手席がいいと、言うことを聞かなかった。
「相変わらずだなあ、心は。」
「えっ、何なの?
どういうことよ」
「言い出したら聞かない性格してんだから。」
「そうかなあ。」
「そうだよ。
俺、あの時止めたよな。
去勢手術するとき。
絶対後悔するからって。」
「そんな事もあったわね。
でも、ありがとうね。
あのとき,手術に付き添ってくれて、心の支えになったわ。」
「いや、それは、」
今野は少し顔を赤くし、チラッと心の方に視線をやったが、すぐに前を向いた。
「桐野先生
いよいよ総理大臣の椅子が見えてきたわね。
おめでとう。」
「まだ早いよ。
政治の世界は魑魅魍魎が蔓延ってるんだ。
本当に首班指名されるまではわからないよ。」
「あら、慎重なのね。」
「慎重になるに越したことはないよ。
でも、ありがとうな。
心のおかげで、一気に追い風が吹いたわけだから。」
「お礼を言うのはワタシの方よ。
ヘタしたら殺されてたかもしれないもの。」
「うん。
無事でよかった…」
今野はそう言うと、また黙り込んでしまった。
暫しの沈黙の後、心は
「どうしたのよ。
急に黙っちゃって」
たまらず、声を発した。
「あ、いや…
なあ、心
今、幸せか?」
今野は、消え入りそうな声で心に質問した。
「えっ…
どうかなあ。
幸せ…なのかなあ。」
心が考える素振りを見せると、今野は
「あのときは、本当に申し訳なかった」
と、謝罪の言葉を述べた。
「何言ってんのよ。
もう、済んだ話じゃない。」
心はそう言って笑ったが、頭の中では、当時の事が鮮明に蘇ってきていた。
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