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贖罪
3ヶ月ぶりの太陽は、窓のない部屋で生活してた亮輔にとって眩しくて仕方がなく、思わず目を手で覆った。
しかし、外の空気を味わう間も無く、すぐに車に乗せられたのだった。
「オヤジのところに行くんだな?」
後部座席に座った亮輔は不安げな表情を浮かべながら、自分の隣りに座ったもう一人のボディーガードに問いかけた。
「ああ。事務所に向かっている。
組長はお前に会うのを楽しみにされてるよ。」
「…」
亮輔は何とも言えぬ気分で窓の外を眺めた。
車は見覚えのある道を突き進み、やがて事務所のガレージに到着した。
車を降ろされた亮輔は前後を、ボディーガードに挟まれながら、組長の部屋まで続く廊下を、顔をこわばらせながら歩いた。
途中で顔見知りの組員と何人も会ったが
もちろんキャミソール姿で歩く女の姿が亮輔だと気づく者は一人もいなかった。
ボディーガードの一人が多村の部屋のドアをノックして言った。
「連れて参りました。」
「おう、入れ。」
ドアの向こうから多村の声がした。
それを聞いた亮輔は3ヶ月前と同様に背筋に冷たいものが走るのを感じた。
部屋に入るとどっかとソファーに腰かける多村の姿があり
あまりにも変わってしまった亮輔の姿に驚きもせず、自分の向かい側に座るように手で示した。
亮輔は恐る恐るソファーに腰かけ、俯いた。
ボディーガードが外に出され、部屋に二人だけとなったところで、多村が葉巻に火をつけながら亮輔に話し始めた。
「亮輔、どうだ? 体調の方は。」
「…はい。 大丈夫です。」
「そうか。 俺の与えた罰についてはどう思ってる?」
「はい。 大変ショックですが、命があるだけマシだと思ってます。」
「俺を恨んでるか?」
「…いえ。 自業自得ですから…」
「まあ、そうだな。
俺は正直言って、まだお前を許す気になれんのだ。」
「…はい。 破門でも何でも受け入れます。」
「いや、破門にはしない。
お前を女にするのに莫大な費用がかかっているからな。
その金を返してもらわないといけない。」
「…」
「ところで、亮輔。
俺がなんでお前をそんな姿にしたかわかるか?」
多村の目が妖しく光った。
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