ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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寒冷地

「それじゃあ行ってきます。」 

亮輔は車に乗せられて、客の家に向かった。 
いわゆる出張コースの注文が入ったからだ。 
店で圧倒的な人気を誇る亮輔は、この出張コースでの指名も多く、毎日慌ただしいスケジュールで動いていた。 

「北青葉町2ー3か… ああ、あのマンションだな。」 

送迎ドライバーで雇われてる男は、元タクシー運転手だけあって道にやたら詳しかった。 

亮輔はいつもなら車の中で少し眠ることにしていたのだが、このときばかりはビクッとして前のめりに起き上がり 

「北青葉町2丁目!?」 

と、ドライバーに住所を聞き直した。 

「うん。北青葉町の… ほら、あの高そうなマンション。 
そうそう、ジュエルパレスだよ。」 

「ジュエルパレス… お客さんの名前は!?」 

「えっと、多村さんで予約が入ってるけど。」 

亮輔は言葉を失った。 
自分をこんな姿にした張本人の多村が何故… 
その真意がよくわからないまま、多村の住むマンションに着いてしまった。 

とにかく、亮輔には拒絶する選択肢は無い。 
すっかり諦めの境地に達した亮輔は、エントランスで解錠してもらい、多村の部屋がある最上階に上がってきた。 

緊張の面持ちで部屋のチャイムを鳴らすと、しばらくの間があって、ドアがゆっくりと開けられた。 

「あ…」 

ドアを開けたのは多村ではなく、亮輔と全く同じ顔をした女性だった。

そう、綾香だった。 

「綾香…」 

「亮ちゃん… 久しぶり…」 

綾香は小声で答えた。 

「綾香… これは一体どういうこと?」 

「とにかく… パパが中で待ってるから…」 

綾香は自分の後ろを気にしながら、亮輔を中に招き入れた。 

亮輔は綾香の後ろを恐る恐るついて行くと 
奥のリビングに、多村がソファーに腰掛けテレビを見ていた。 

一瞬、後ずさりしそうになったが、なんとか勇気を振り絞り、マニュアル通りに指名の礼を言った。 

多村は相変わらずの鋭い目つきで亮輔を見たが、すぐに笑顔になった。 

「亮輔… いや、今は有紀ちゃんだったかな。 
少し見ない間にさらに女っぽくなったじゃないか。」 

亮輔はオドオドしながら、また頭を下げた。
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