ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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「なあ亮輔、俺は良いことを思いついたんだよ。」 

「…」

「女のままで、こっちの世界に戻れる方法をな。」 

「どういうことですか?」 

「亮輔、俺と一緒になれ。 
そうすればお前は姐さんだ。 
組の仕事にも手を出すことができるってわけだ。」 

「じ、冗談をおっしゃってるんですよね?」 

多村は真顔で首を横に振った。 

「いや、俺はマジで言ってるんだよ。」 

「でも、オヤジには、綾香がいるじゃないですか…」 

「ああ。俺は綾香を心底愛してる。近いうちに結婚するつもりだ。 
だがな、綾香には極道の妻、いわゆる姐さんを務められる度量はない。 
だから…」 

「私に影武者になれと?」 

「ああ、そうだ。綾香とお前は今は顔はもちろん、身長も体重もほぼ同じだ。 
だから俺が言った話は絵空事にはならない。 
外部的にはお前は俺の妻として振る舞えば良いんだ。仕事もバリバリやらせてやる。 
最高だろ?」 

多村の提案はあまりにも突飛なもので、話を聞いた亮輔は返事をすることすら出来なくなった。 

「亮輔、受けるも受けないもお前次第だ。」 

「… わかりました… そのお話、受けさせていただきます。」 

亮輔は意を決したかのように多村の目を見つめて言った。 

「そうか、受けてくれるか… 槇村には今日にでも連絡を入れておく。 
これでお前も風俗から足を洗えるな。」 

「ありがとうございます。」 

「そうだ… これからは見白台にある俺のもう一つのマンションに住めばいい。 
後、何か足りないものがあれば用意させるから言ってくれ。」 

「ありがとうございます… では、二、三日休みをもらってもいいですか?」 

「ああ、いいぞ。どこか行くのか?」 

「ええ。実家のお袋に別れを言ってきます。 
もう会うこともないと思っていましたが、やはり一目会っておきたいんで…」 

「その姿で驚かないか?」 

「私、昔からめちゃめちゃ悪くて、いつもお袋を泣かしてきました。 
だから逆に今みたいな方が喜んでくれるかもしれません。」 

亮輔が少し笑って言うと、つられて多村も笑って頷いた。
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