ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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卒業

「有紀、短い間だったけどありがとうな。」 

「いえ、こちらこそ… 本当にお世話になりました。」 

店の控え室で、槇村に深々と頭を下げる亮輔を見て、ヒロミは何度も頷いた。 

「有紀ちゃん、本当に良かったわね。ここを辞めても、たまには遊びに来るのよ。 
いいわね?」 

「はい。 
ヒロミさんにはいっぱいいっぱい良くしてもらって… 
何てお礼を言ったらいいのかわからないくらいです。」 

亮輔がそう言うと、ヒロミの目から涙がこぼれ落ちた。 

「ところで有紀、これからどうするんだ?」 

槇村が質問すると、亮輔は一瞬だけ考えるような素振りを見せたが、やや明るい口調で答えた。 

「この体はもう元には戻りませんが、また組の仕事をさせてもらえそうです。」 


「そうか、頑張れよ。
有紀、はい、これ。」 

槇村は亮輔を激励した後、手に持っていた封筒を亮輔に渡した。
亮輔は不思議そうな顔で受け取り、中身を覗き込んだ。 

「社長… このお金‥一体なんですか!?」 

「餞別だ。
って言いたいところだが、勘違いしてもらっちゃ困る。 
それはお前が稼いだ金だ。
実はな、俺はお前の借金を肩代わりしたわけではなくてな、単にお前の身を預けられていただけなんだ。 
多村組長には毎月お前の稼ぎを少なめに申告して渡していたんが… 
その残りの分をキープしてただけで… お前がいつかここを抜けるときに渡してやろうと思ってたんだよ。 
まあ、毎月渡してやっても良かったが… 
もし、多村組長に知れたらお前どころか俺も何されるかわからなかったんでな。」 

「社長… ありがとうございます。」 

亮輔はまた深々と頭を下げた。 

「有紀ちゃん、この社長もかなりの悪人には違いないけど、少しは良いところあるでしょ?」 

ヒロミがそう言うと、三人は声を出して笑った。
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