ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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決死圏

「明日からパパは会合で伊豆に出かけるわ。」 

「それは私も聞いてるわ。」 

「その間に荷物をまとめて逃げるつもり。 亮ちゃん、そのときに手伝って欲しいの。」 

「荷造りぐらいいくらでも手伝うけど… オヤジからは絶対に逃げられないよ。 
綾香 、一体どこに行くつもりなんだ?」 

「大阪よ。」 

「大阪?」 

「私のキャバ嬢時代の先輩で、大阪の沢木組の組長の愛人をしてる人がいるの。 
先輩には話を通してあるし、とりあえず、沢木組が経営してるキャバにお世話になることにするわ。」 

「沢木組… 綾香、お前、マジで言ってんのかよ!?」 

「マジよ!大マジで言ってるわ。自分の身を守るには、パパが簡単に手を出せない領域に入っておく必要があるのよ。」  

綾香はいつになく真剣な表情で亮輔を睨みつけた。 

「綾香 ウチの組が大阪の立正会の傘下にある事は知ってるよな?
その立正会と抗争中なのが、神戸の垂水組だ。そして、垂水組の傘下にあるのが沢木組だ。
もし、お前が沢木の世話になってる事がわかったら、オヤジのことだ。この戦争にクビを突っ込むに違いない。そうなれば泥沼の事態になる。私怨からの戦争に、大義なんてあるわけないからな。」 

「だから、そんなこと関係ないって言ってるじゃないの! 
今は法律も厳しくなって、無茶なことは出来ないんでしょ!心配しなくても大丈夫よ!

とにかく私は実行するわ。 
亮ちゃん、明日の夜来てくれるの? 
来てくれないの!?」 

「… わかったよ… 手伝うよ。でも、後の事は責任を持てないからな。」 

「わかってる… 明日の夜さえ手伝ってくれれば、それ以上は迷惑かけるつもりはないわ。」 

綾香は亮輔にそう言って帰っていった。 
亮輔は、一人になった部屋で頭を抱えて込んだ。 
自分の顔、声、乳房…女に変えられた部分全てが、多村に植え付けられた恐怖であり、いくら慣れたとはいえ、鏡で自分の姿を見る度に、過去のことを思い出す日々が続いていたからだ。
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