ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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失意

「亮輔、お前が性転換されて、誰かに会ったか?」 

「… えっと、多喜に会いました。」 

「そうだったな。アイツは俺のところにお前の居場所を聞きに来たんだった。 
お前らは仲が良かったから、仕方無しに教えてやったんだった。」 

「はい…」 

「それ以外は?」 

「いえ… 誰とも…」 

「じゃあ大丈夫だな。」 

「それが何か…」 

「亮輔、お前との結婚式だがな、良い考えが浮かんだんだよ。」 

「…?」 

「お前は綾香として、俺と結婚するんだ。」 

「えっ? それじゃあ… やっぱり影武者ってことですか?」 

「違う。お前が本物の綾香になるんだよ。」 

「おっしゃってる意味がよくわからないんですが…」 

「綾香の戸籍をそっくり頂くのさ。」 

「!!」 

「つまり、お前は影武者ではなくて、本物の綾香になる。」 

「そんなこと…」 

「無理に決まってると思ってんだろ?
まあ任せておけ。」 

「綾香はどうなるんですか?」 

「言ったはずだ。アイツは絶対に許さないとな。」 

亮輔は背筋が凍る思いで、多村の話を聞いていた。 

多村への愛情から、すっかり忘れていたが、彼の本当の恐ろしさを身をもって知っているのは自分ではないか… 

やはりカタギではないのだ。 

「亮輔、お前も一度は俺の杯を受けて、この世界に入ったんだ。覚悟を決めろ。 
それに、俺はまだお前を破門にはしてねえんだから。 
今も松山亮輔は、多村組の組員なんだよ。 
わかったな?」 

「わかりました…」 

「心配するな。これはあくまでも一過性の措置だ。いずれ正式に女性としての戸籍を取ってやる。」 

「はい… よろしくお願いします…」 

亮輔は前途に不安を抱きながらも、従わざるを得ない自分の無力さに肩を落とした。
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