ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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初仕事

多村興業 専務取締役 
多村 綾香 

これが亮輔の肩書きである。 
亮輔はついに多村組に復帰した。 
あれから二年余りが経過し、その間に亮輔は男性から女性になり、人生が激変したが、男を続けていたらここまでの出世はあり得なかったであろう。 

「綾香、今日から頑張ってくれよ。頼りにしてるからな。」 

会社にいるときは、多村は亮輔の事を綾香と呼んだ。 
仕方ないことだとわかっていても、その名で呼ばれることに亮輔はかなり傷ついた。 

「うん… あなたの役に立てるように頑張るわ。」 

「綾香、お前には店舗運営と新規の出店計画を任せたいと思ってる。 

まあ、出店計画については既に決定済みの事項だから、お前は俺の補佐をしてくれればいい。 
そうだなとりあえず既存の店舗の改革に取り組んでくれ。 

さっき渡した業績の一覧表に載ってた店で 
特に売上の悪い白橋町の店から手をつけてくれるか? 

お前は男と女の両方の感性を持ち合わせているからな 

きっと問題点を見つけられるハズだよ。」 


「今は 
どっちかって言うと 

男の感性に自信が持てないけどね…」 



「はっはっはっは 

それはそうだな。 

男の心象が残ってないからこそ 
お前は女として高い順応性を発揮出来てるんだもんな。」 


多村が大笑いしながら言うと 


「まあ、それは言えるかしらね。」 



亮輔は片眉を上げて含んだ笑みを浮かべて答えた。 


「じゃあ 
早速視察にでも行くか? 

俺は今から打ち合わせがあるから一緒には行けないが、誰か一緒に行かせよう。」 

多村は亮輔の肩をポンと叩いて、部屋を出て行った。 

亮輔がガレージに行くと、車の前で運転手が直立不動で待っていた。 

「お疲れ様ですっ!」 

その口調は多村興業の運転手ではなく 
多村組の組員だということがすぐにわかった。 

「よろしくお願いね。」 

亮輔はニコッと笑って車に乗り込んだ。 
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