ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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大阪


新大阪まで多村達を迎えに来たのは、立正会の男二人だった。

ワンボックスカーに全員を乗せると、車を発進させ、新御堂を一路南に向かった。

「多村さん、遠路御苦労さんです。」

「いや、こちらこそ、与沢会長にはご支援をいただき感謝しております。」

多村は傘下の人間らしく、殊勝な口ぶりで答えた。

三十分ほど車を走らせると、目前にミナミの繁華街が出てきた。

車をコインパーキングに駐車させ、七人は人通りの多い方へ歩いていった。

「この筋を入ったとこにありますねん。」 

立正会の男は歩きながら前方を指差し、多村に言った。

「なかなか良い場所ですね。」

「あー、このビルですわ。」

男は1階が工事中の雑居ビルを指差し、多村の方に視線を向けた。

「どないでっか?ここですねんけど」

「ほう。思ったよりも良い。」

多村は満足げにビルを見上げ、亮輔と多喜に向かって言った。 

「ここは一体?」 

亮輔は心配そうに多村に聞くと

「ああ、ウチが買うんだよ。そしてキャバを経営する。」 

多村はニヤリと笑って言った。

「えっ!?」 

多喜も耳を疑って多村のの方を振り返った。 

「関西進出の第一歩をここに記そうってんだよ。」 

「社長、そんなことしたら…」 


「面白えだろ? 元々は立正会の持ち物なんだが、高度な政治判断でウチが譲り受ける事になったんだよ。」 

「そうでっせ。ここを多村さんのとこに売るっちゅーことは、お互いにとってメリットがありまんねん。わかりまっしゃろ?」 

立正会の男がそう言うと、多喜はまだ懐疑的な表情のまま多村の方を見た。 

「でも、社長… 本部からこれだけ離れた場所にあるこの店をどうやって管理するんですか?」 

「スタッフは現地採用で立正会が準備してくれている。ウチからは一名が常駐させる。多喜、お前がその役目を果たせ。」 

「えっ… 自分がですか?」 

「そうだ。しばらくこっちで修行しろや。オープンまでの間は、専務にもこっちにいてもらうからな。」 

「私もですか?」 

亮輔は驚きのあまりビクッとなった。 

「そう心配するな。お前らにやりがいを与えてやるのも俺の仕事だからな。ここで頑張ってみろ。」 

多村はいつものように豪快に笑った。 

「多村さん、ウチの会長がお待ちしておりまっさかい、そろそろご案内しても宜しいでっか?」 

立正会の男達の言葉に多村は頷いた。 

「専務、多喜、お前らは昼飯でも食って 
大阪見物でもしてろ。 また夜に合流しよう。」 

「はい…」 

店の前で多村と別れ、二人は街の中を歩いていった。 

「専務… 社長の話をどう思います? 俺には理解出来ません。」 

「確かに…」 

亮輔も浮かない顔で頷いた。 

そのときである。 

亮輔は顔に衝撃を感じ、足をよろつかせた。 
咄嗟のことに何が何だかわからなかったが 

顔を上げてみて状況が把握出来た。 

前方から近づいてきた見知らぬ女に、顔をいきなりはり倒されたのだ。
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