ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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沢木組編

「マスター、話を詳しく聞かせてくれ」 

「この頃ウチの店に立正会の奴らが客として来るようになったんですわ。別に何をするでもないんですが、なんせあの風貌でっしゃろ?ガラが悪いもんやから、他のお客さんが怖がって、全然寄りつかんようになってもうて… 新田はん、なんとかしておくんなはれや」 

「わかった、早急に手を打つよ。とりあえず今晩から俺と赤石で巡回するから心配しなくていいよ、マスター」 

山田は不安げな表情のまま頷いた。 

「あ、そうそう。キャシーママの店も何か被害があるみたいでっせ。あっちにも顔出したって下さいや。」 

「わかった。この後寄ってみるよ」 

薫と功太はその足で三軒隣りの『big』に向かった。 

「兄貴、まだ来てまへんで。カギ閉まっとるわ」 

功太がドアノブを乱暴に引っ張りながら言った。 

そのとき、彼らの後ろからやや野太い声が聞こえてきた。 

「あら、薫ちゃんやないの~?」 

振り返ると、キャシーが立っていた。 

「ママ、今出勤か?」

薫が言うと、キャシーは顔を両手で隠しながら 

「恥ずかしいわあ、ワタシすっぴんやんかあ。薫ちゃん来るんやったら、ちゃんとメイクしとくのにぃ~」 

と大声で騒ぎ出した。 肥満の体を隠すためのダブダブの服に太い手指。
化粧をしていない事もあるが、綺麗とは程遠く、どちらかといえばコミカルな風貌をしている。

「ママ、最近、立正会の連中に店荒らされてるらしいやないか? 大丈夫かいな?」 

功太がしかめっ面で聞くと 

「うん。そうやねん~ なんか最近うろついてるわね。 まあ、アタシは全然怖ないけどね。」 

キャシーが、表情を曇らせながら答えた。 

「まあ大丈夫やで。俺と兄貴でここらへんを見張ったるさかいに」 

功太は胸を叩いて言った。 

「ふん。ジャリに何が出来るねん! でも、薫ちゃん来てくれるんやったら心強いわ。サービスしちゃうわよ~」 

「誰がジャリや!店潰したろかい!」 

「おい、功太、やめとけ。
ママ、今日から俺たちが巡回するし、心配しなくても大丈夫だよ。」 

薫は、功太やキャシーの大阪弁にまだついていけず、彼らの話を遮った。 

店を出ると、功太が吐き捨てるように言った。 

「ホンマにあのママ、ムカつきますわ、兄貴 。だから俺、オカマが苦手ですねん。」 

薫は何も返事しなかった。
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