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沢木組編
静寂の中で
薫が沢木の厳重すぎるガードを始めて、三ヶ月が過ぎた。
相変わらず小競り合いが続いていたが、薫や功太が前線に出てきたおかげで、表立った事件は起きていなかった。いわば、立正会の動きを封じ込めることに成功していたのだ。
だが、近々、立正会が沢木組長を狙ってくるという情報が入り、組全体に緊張感が走った。
さらに、沢木組の事実上の舵取り役である若頭の庄山が、二週間前に銃刀法違反で警察に引っ張られたことから、組内の不安は急激に増大していった。
薫はその日の晩もミナミのシマを中心に目を光らせながら巡回していた。
「ママ、なんか変わったところはないか?」
薫は『big』に入るとすぐに 周りを見回しながらキャシーに尋ねた。
すると、キャシーは慌てて近づいてきた。
「薫ちゃん、ウチは大丈夫なんだけど、お宅の組長さんが…」
薫はギクッとして振り返ると、奥のソファに深々と座り、御満悦の沢木がそこにいた。
「オヤジ! こんなところで何してるんですか?」
薫は思わず大声で言ってしまった。沢木はばつの悪そうな顔をしながら
「いや、今日は、もえちゃんの誕生日やからのう…」
と、小さな声で言った。
「今日はマズいです! しばらくは家にいて下さいって、お願いしてたじゃないですか!
お一人で来たんですか!?」
「おう、まあ大丈夫やろ。ここはワシんとこのシマやし…」
沢木というのはこういう男であった。良く言えば大らか、悪く言えば脳天気。
薫は真剣な顔で、沢木に店を出るように促すと、ぴったり横に付いて車に向かった。
「新田、せっかくの楽しみやったんやぞ」
「いえ、本当に今日はマズいんです。オヤジを狙ってるっていう情報が入ってるんですよ。」
心配げに話す薫に対して、沢木はウンザリした顔で呟いた。
「今の時代に、タマの取り合いみたいなことはあり得んやろ… ちょっと心配しすぎやで。」
だが、薫は既に沢木の話を聞いておらず、前方に視線を送っていた。
「どうした?」
沢木が尋ねた瞬間、一台の車が彼らの前に急停車した。
薫はとっさに沢木の前に出て身構えた。車から二つの銃口がこっちに向けられているのが
はっきりと見えた。
相変わらず小競り合いが続いていたが、薫や功太が前線に出てきたおかげで、表立った事件は起きていなかった。いわば、立正会の動きを封じ込めることに成功していたのだ。
だが、近々、立正会が沢木組長を狙ってくるという情報が入り、組全体に緊張感が走った。
さらに、沢木組の事実上の舵取り役である若頭の庄山が、二週間前に銃刀法違反で警察に引っ張られたことから、組内の不安は急激に増大していった。
薫はその日の晩もミナミのシマを中心に目を光らせながら巡回していた。
「ママ、なんか変わったところはないか?」
薫は『big』に入るとすぐに 周りを見回しながらキャシーに尋ねた。
すると、キャシーは慌てて近づいてきた。
「薫ちゃん、ウチは大丈夫なんだけど、お宅の組長さんが…」
薫はギクッとして振り返ると、奥のソファに深々と座り、御満悦の沢木がそこにいた。
「オヤジ! こんなところで何してるんですか?」
薫は思わず大声で言ってしまった。沢木はばつの悪そうな顔をしながら
「いや、今日は、もえちゃんの誕生日やからのう…」
と、小さな声で言った。
「今日はマズいです! しばらくは家にいて下さいって、お願いしてたじゃないですか!
お一人で来たんですか!?」
「おう、まあ大丈夫やろ。ここはワシんとこのシマやし…」
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薫は真剣な顔で、沢木に店を出るように促すと、ぴったり横に付いて車に向かった。
「新田、せっかくの楽しみやったんやぞ」
「いえ、本当に今日はマズいんです。オヤジを狙ってるっていう情報が入ってるんですよ。」
心配げに話す薫に対して、沢木はウンザリした顔で呟いた。
「今の時代に、タマの取り合いみたいなことはあり得んやろ… ちょっと心配しすぎやで。」
だが、薫は既に沢木の話を聞いておらず、前方に視線を送っていた。
「どうした?」
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はっきりと見えた。
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