ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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大阪抗争編

表層


日付もとっくに変わった夜中になって 
亮輔達はホテルに戻ってきた。 

「多喜、今日は一日ご苦労だったな。明日も頼むぞ。」 

多村はエレベーターの前で多喜に声をかけ、亮輔と共に部屋に入っていった。 
多喜はその後もしばらく直角に頭を下げたまま床を見つめていた。 
亮輔の身を案じながら。 


「あなた… 全部わかっていたのね。」 

部屋に入るなり、亮輔は多村に詰め寄った。 

「当たり前だ。お前らがつまらん動きをするのは目に見えていた。」 

「あなたに黙って勝手な事をした事については、一切言い訳出来ないわ。 
それは謝ります。でも、私も多喜も一歩間違えば殺されていたわ。 

なのに… あなたはこの事すらもビジネスに利用しようとしている。恐ろしい人…」 

多村は鋭い目つきで亮輔を睨みつけた。 

「おい、亮輔、俺に黙ってくだらねえ動きをした事に目をつぶってやってるのに、なんだ? その言いぐさは!」 

「そ、それは…」 

「まあ…いい。俺はお前を愛してはいるが 
信用はしてねえ。 
何故なら、一度でも裏切ったヤツは何回でも裏切るからだ。」 

「ヒドいわ… 私はあなたの事を思って…」 

「黙れ! お前も極道だろうが!? 
何を甘い事言ってやがる。俺はこのシマで金を稼ぎ、さらに綾香にも罰を与えるんだよ。」 

「でも、綾香は今、沢木組の組長の女になってるのよ! 
こっちが何かすれば、戦争は避けられないわ。」 

「亮輔… お前は綾香と瓜二つの顔をしている。 
背格好もほぼ同じだ。声だって女みてえになったよな? それを利用しない手はないだろ?」 

「やっぱり…そういう手を使うのね… でも、綾香の方が上手よ。自分と同じ顔をした人間が現れたら、捕まえるように指示してたのも彼女なのよ。」 

「まあ見てろよ。沢木組も女一人のために戦争なんかしたくねえよ。だからお前らを解放したんだ。 
こういう戦いはな、とことん突っ込む方が勝つんだよ。」 

「…」 

「それよりも、今日の俺は血が騒いでハイになってんだよ。さあ、早く服を脱げよ。」 

多村は荒々しく亮輔の服を剥ぎ取り、ベッドに押し倒した。 

亮輔はただ天井を見つめ、言葉を発しなかった。
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