ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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大阪抗争編

butterfly


翌朝、用事があるという事で多村だけが東京に戻った。 
亮輔は、多喜と共に彼がこれから住む部屋を探すために不動産屋巡りをしていた。 

「やっぱり、さっき見た物件が一番マシだったんじゃない?」 

亮輔が言うと多喜も頷いた。 

「そうっすね… でも、ちょっと高いですね。」 

「いいじゃん。会社から家賃出るんだし。
沢木組対策として、今回のプロジェクトはあの人も気合いが入ってるからね。」 

亮輔が言うと、多喜の表情が曇った。 

「その沢木の件ですけど… 社長はホントに構えるつもりなんすかね? たかが女一人のために。」 

「多喜… 私を見ればわかるでしょ? 

その女一人のために、こんな体にされてしまったのよ。」 

「そうですね… でも、こんな言い方したら怒られるかもしれないですけど、専務が不幸にも女の体にされてしまったことで、俺が知っている昔の松山亮輔よりも、思慮深くて頭がキレて… なんていうか… 
本当に心から尊敬出来る人になったんじゃないかなって、今の専務を見てて思うんです。」 

「フッ… 何が言いたいのかよくわかんないけど、一応誉められたと思っていていいのね。」 

亮輔は多喜を見つめて笑った。

「ところで社長は、なんで東京に戻ったんですか? ホントは明日までこっちに滞在する予定だったのに…」 

「私には何も教えてくれないもの。信用されてないから… 一昨日の晩にハッキリとそう言われたわ。」 

亮輔は寂しそうな表情で俯いた。 



一ヶ月後、多喜や亮輔の奮闘もあって、無事に店がオープンした。

暫くは亮輔も大阪でホテル住まいをしながら、店の手伝いをしたが、基本的には店のオープンまでが、その役目であったので、程なくして東京に戻っていった。

勿論、不測の事態が起きれば、すぐに多村や他の多村組組員と共に戻ってきたであろうが、そんな不安は杞憂に終わった。

綾香も一切現れず、また、その消息も掴めなかったからだ。綾香が絡まない限り、多村がおかしな行動に出る事はなく、多喜も純粋にキャバの店長としての仕事に没頭できた。

そして、あっという間に一年が過ぎ去った。
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