ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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新田薫編

デート

恋人関係となった薫と多喜は、互いの仕事が終わると、必ず一緒に帰り、休みの日は、ほぼ全部会ってデートを重ねた。

心から惚れ合った二人は、互いを「薫」、「真ちゃん」と呼び合い、日が経つにつれて、その愛情は深まっていき‥

恋人関係になるのが必然であったかのように、会えば会うほどお互いを好きになり、少しの時間でも一緒に過ごしたいと思うようになっていった。

付き合い始めて一ヶ月が経過した、或る日曜日、薫が初めて多喜の部屋を訪ねてきた。
昼ご飯を作って一緒に食べる為に。

こういう事は、少し重いと感じる者もいるが、やはり恋愛馴れしていない薫は、そういう行動になってしまう。

勿論、多喜も同じレベルの思考なので、何の問題もなかったが。

「すげー美味しい!
薫って天才?」

薫が作った料理を食べながら、多喜は歓喜の声を上げた。

「肉じゃがとかベタでしょ?
なんか恥ずかしい。だって、真ちゃんも料理上手そうだし。キッチン見たらわかるよ。」

「俺、格好から入るタイプだから。
包丁とか用途に応じて何本も買ったんだけど、ほぼ未使用だもん。
っていうか、俺15からずっと一人暮らししてるから、キャリアだけは長いんだよ。」

「ワタシも、17から一人暮らししてるよ。
でも、ちゃんとした料理を作り出したのは、ニューハーフになってからかな。」

「施設出てから、ロクなもん食べれなかったから、どんなもんでも美味しく食べる特技を持ってるんだけど、薫の料理の腕は天才だって事がわかるよ。」

「めんどくさいって理由で、コンビニとかで済ませる事ばかりだったんだけど、こうして好きな人が出来ると頑張れるもんね。」

「光栄です。

それにしても美味しかったよ。
ごちそうさま」

多喜は満足げに箸を置き、薫にお礼を述べた。

「自分勝手に押しかけて、こんなことして、迷惑じゃなかった?」

「迷惑だなんて、嬉しいに決まってるじゃん。」

「ありがとう、真ちゃん。ワタシね、好きな人出来たらご飯作ったりするのが夢だったんだ。夢が叶って幸せだよ。」

薫は満足そうな笑みを浮かべて言った。

それから暫くして、薫も同じものを少しだけ食べ、終わるとすぐに片付けを始めた。

「薫、いいよいいよ
片付けは後で俺がやるから。」

多喜が、キッチンで洗い物を始める薫のところまで来て言うと

「ううん。サッサと洗っちゃうね」 

と、薫は、多喜に視線を送りながら笑って言った。

その笑顔があまりにも美しく、そして色気と芳香を放っていた。

多喜は思わず後ろから抱きしめ、自分の方を向かせてキスをした。

多喜と薫がキスをするのはこれが初めてだった。

抱きしめられ、そしてキスへの流れに、最初は戸惑いの色を見せた薫だったが、すぐに呼応し、その激しいキスに身を任せた。

薫は女性の肉体を持っていない。
それ故に、キスをしても女性のようにアソコが濡れてしまうというような感覚にはならない。
去勢をしているので、男性としての性的な興奮もほとんどない。

だが、精神的な高揚感、感動は、とてつもなく大きく、心から幸せに思った。
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