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代理戦争編
新たなる潮流
多喜が予想通り、多村が警察に引退届を出したのは、東京に戻ってきてから、三週間後の事だった。
三宅組への組員の転籍し、事実上の吸収合併
隠れ蓑となる多村興業への指揮権移行
関東多村組の規模縮小
全てが順調に進み、関西への再侵攻の為、多喜の店が再び、その拠点となった。
多村組構成員たちが続々と大阪に集まってくる様になると、俄かにその近辺が騒がしくなってきた。
「よぉ、多喜。
その後、変わりはねえか?」
多村と亮輔は、一番最後に大阪に姿を現した。
「社長、お疲れ様です。
今のところ、目立った動きはありません。」
「そうか。そりゃあ何よりだ。
俺もカタギになっちまったから、あまり目立つ動きも出来んから、当分はここを拠点にして、指揮を取らせてもらう。
まあ、抗争についちゃあ、カネにはならねえから、新たなビジネスも展開していかなきゃなんねえしな。」
「新たな‥」
「ヤクやアブネーものの密輸は、年々警察のの取締りが厳しくなり、なかなか手が出せなくなってきている。
小さな仕事でも、コツコツやっていかなきゃならねえのは、ヤクザもカタギの世界も同じ事だ。」
「そうですね」
「俺はこれから、イルミネーション協会の会合に顔を出してくる。」
「イルミネーション協会?
そんなものがあるんですか‥」
「まあ、テキヤに毛が生えた様なちっぽけなもんだがな。
祭りや花火大会も復活してきてるから、小銭稼ぐにはもってこいの世界だぜ。
三宅組から多村興業にその辺の運営機能は移したからよ、多喜、お前にもおいおい働いてもらわなきゃなんねえがな。」
多村はそう言うと、ボディーガード二人を連れて出て行った。
「専務、ここら辺も物騒になってきそうですね。」
多喜は向かい側に座る亮輔に話しかけた。
「ヤバイよね。
このままいくと‥」
亮輔はそう言うと、左右に視線をやり、身を乗り出した。
「多喜、ワタシ、組を抜けようと思ってる。」
「えっ!」
「これを見て。」
亮輔は徐に立ち上がり、スカートを捲り上げた。
「!!」
多喜は思わず目を背けたが、亮輔は気にする事なく、パンティを下に降ろした。
「多喜、見て」
「あっ」
滝の眼前には亮輔のペニスが姿を現したのだが、自分が以前、風俗店で見たものとは明らかにそのフォルムが違っていた。タマがあるので、陰嚢は下に垂れ下がっているでないか。
「実はね、綾香に紹介された人のところへ行って、或る注射を打ったの。
そしたら、タマが復活したのよ。」
「綾香って‥どういう事なんです?」
「前にこっちにいた時に、連絡があったのよ。
一緒に逃げようって。」
「マジっすか。っていうか、大胆なこと考えますね。」
「自分でも不思議なんだけど、タマが戻っただけなのに、何か急に力が湧いてきたっていうか、勇気が出たっていうか‥多村への愛情がまやかしだったって、今更ながらに気付いたのよ。」
「俺のカノジョもそれは言ってました。
女性ホルモンとか去勢したら臆病になったって。
でも、オヤジにこの事、バレてないんすか?」
「あの人はバックではするけど、ワタシのものを舐めたりとかはしないから、気付いてないわ。」
「‥で、どうするんですか」
「本格的にここで戦争が始まる前に、ワタシは綾香と二人でどこかに逃げるわ。」
「そんなに上手くいきますかね‥」
「あの人から逃げるのは至難の業だとは思うけど、何としてでも逃げてみせるわ。
だから、多喜、力を貸して。」
「‥」
多喜がここに残っているのは、多村から亮輔を守るためだった。
その亮輔が組から姿を消すのなら、同じように組を抜ける事を考えている自分にとっても都合が良い。
しかし、その前に亮輔と綾香を逃す為に力を貸すのなら、組に残ったままの方がやりやすい。
その結果、多村と沢木の両方から狙われる身になり、危険度が増す可能性は否めない。
亮輔を救うどころか、自分の命まで危うくなる‥
多喜は容易に想像出来る未来に、ただ恐怖した。
三宅組への組員の転籍し、事実上の吸収合併
隠れ蓑となる多村興業への指揮権移行
関東多村組の規模縮小
全てが順調に進み、関西への再侵攻の為、多喜の店が再び、その拠点となった。
多村組構成員たちが続々と大阪に集まってくる様になると、俄かにその近辺が騒がしくなってきた。
「よぉ、多喜。
その後、変わりはねえか?」
多村と亮輔は、一番最後に大阪に姿を現した。
「社長、お疲れ様です。
今のところ、目立った動きはありません。」
「そうか。そりゃあ何よりだ。
俺もカタギになっちまったから、あまり目立つ動きも出来んから、当分はここを拠点にして、指揮を取らせてもらう。
まあ、抗争についちゃあ、カネにはならねえから、新たなビジネスも展開していかなきゃなんねえしな。」
「新たな‥」
「ヤクやアブネーものの密輸は、年々警察のの取締りが厳しくなり、なかなか手が出せなくなってきている。
小さな仕事でも、コツコツやっていかなきゃならねえのは、ヤクザもカタギの世界も同じ事だ。」
「そうですね」
「俺はこれから、イルミネーション協会の会合に顔を出してくる。」
「イルミネーション協会?
そんなものがあるんですか‥」
「まあ、テキヤに毛が生えた様なちっぽけなもんだがな。
祭りや花火大会も復活してきてるから、小銭稼ぐにはもってこいの世界だぜ。
三宅組から多村興業にその辺の運営機能は移したからよ、多喜、お前にもおいおい働いてもらわなきゃなんねえがな。」
多村はそう言うと、ボディーガード二人を連れて出て行った。
「専務、ここら辺も物騒になってきそうですね。」
多喜は向かい側に座る亮輔に話しかけた。
「ヤバイよね。
このままいくと‥」
亮輔はそう言うと、左右に視線をやり、身を乗り出した。
「多喜、ワタシ、組を抜けようと思ってる。」
「えっ!」
「これを見て。」
亮輔は徐に立ち上がり、スカートを捲り上げた。
「!!」
多喜は思わず目を背けたが、亮輔は気にする事なく、パンティを下に降ろした。
「多喜、見て」
「あっ」
滝の眼前には亮輔のペニスが姿を現したのだが、自分が以前、風俗店で見たものとは明らかにそのフォルムが違っていた。タマがあるので、陰嚢は下に垂れ下がっているでないか。
「実はね、綾香に紹介された人のところへ行って、或る注射を打ったの。
そしたら、タマが復活したのよ。」
「綾香って‥どういう事なんです?」
「前にこっちにいた時に、連絡があったのよ。
一緒に逃げようって。」
「マジっすか。っていうか、大胆なこと考えますね。」
「自分でも不思議なんだけど、タマが戻っただけなのに、何か急に力が湧いてきたっていうか、勇気が出たっていうか‥多村への愛情がまやかしだったって、今更ながらに気付いたのよ。」
「俺のカノジョもそれは言ってました。
女性ホルモンとか去勢したら臆病になったって。
でも、オヤジにこの事、バレてないんすか?」
「あの人はバックではするけど、ワタシのものを舐めたりとかはしないから、気付いてないわ。」
「‥で、どうするんですか」
「本格的にここで戦争が始まる前に、ワタシは綾香と二人でどこかに逃げるわ。」
「そんなに上手くいきますかね‥」
「あの人から逃げるのは至難の業だとは思うけど、何としてでも逃げてみせるわ。
だから、多喜、力を貸して。」
「‥」
多喜がここに残っているのは、多村から亮輔を守るためだった。
その亮輔が組から姿を消すのなら、同じように組を抜ける事を考えている自分にとっても都合が良い。
しかし、その前に亮輔と綾香を逃す為に力を貸すのなら、組に残ったままの方がやりやすい。
その結果、多村と沢木の両方から狙われる身になり、危険度が増す可能性は否めない。
亮輔を救うどころか、自分の命まで危うくなる‥
多喜は容易に想像出来る未来に、ただ恐怖した。
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