ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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代理戦争編

realist

多喜達のいる部屋に後藤がやってきた。

「今、薬の投与が終わった。完全に元に戻るまで数日を要する。」

「ありがとう先生、感謝するわ」

綾香は泣きそうな表情で頭を下げた。

「3時間くらいは安静にしないとダメだし、麗華ちゃんらもちょっと休んどくといいよ。」 

後藤はそう言うと、部屋を出ていった。

「綾香さん。少し休んでください。

俺は薫と外を見張って来ますので」

多喜はそう言うと立ち上がった。

綾香は多喜に向かって礼を言おうとしたが、言葉が続かなかった。

それは多喜の背後に…


「多喜、ご苦労だな」

多村が立っていたからだ。
多村だけではない。多村組の構成員四名を引き連れて部屋に入ってきたのである。

「!!」

多喜は慌てて振り返り、真後ろに立つ多村の方を見た。
無表情だが内心は激しい怒りに包まれている。
付き合いの長い多喜にはそれが手に取るようにわかった。

「まあ、そんなことだろうと思ってたぜ。お前らの考える事は」

「社長、これは…」

「まあ、いい。多喜、お前の優しさは俺が一番良くわかってる。
どうせ、亮輔やコイツに頼まれてやむを得ずってところだろ。
ヤクザにしては甘すぎるがな。嫌いじゃないぜ。」

「…」

「多喜、お前はヤクザには向いてねえよ。
カタギになれや。
お前を解放してやる。」

「えっ」

「それと、綾香」

多村は綾香に鋭い視線を送った。

「お前も今回は見逃してやる。今はまだ沢木と構える時じゃねえんでな。
まあ、沢木のところに帰るがいい。」

「…」

「まあ、亮輔だけは連れて帰る。
大西、亮輔を車にぶち込んどけ」

「はい」

大西は診察室の方に入っていった。

「じゃあな、お前らの茶番劇はなかなか面白かったぜ」

多村はそう言うと、その場から去っていった。


呆然と立ち尽くす多喜と綾香

しかし、すぐに我に返った多喜は慌てて外に飛び出していった。


「薫!」

多喜は裏口で見張っているはずの薫の姿を探したが、どこにもなかった。

「まさか、オヤジが…」

そう思った多喜は多村の後を追いかけようと車に行こうとしたが、病院の前に猛スピードで突っ込んできた二台の車に気付き、慌てて身を隠した。

(アイツは、沢木の…)

赤石功太が仲間三人と現場に駆けつけたのだった。
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