ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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代理戦争編

救出

「アニキ…

薫を返して下さい!」

多喜は事務所で兄貴分の大西に迫っていた。


「多喜、悪いが俺は何も知らねえんだ。

多分、オヤジ…いや、社長が何処かに囲っている筈なんだが、マジで何も聞かされてねえんだよ。

俺だって社長は病気で入院してるってマジで信じ込んじまってたんだから。」

「じゃあ、オヤジの居場所を教えて下さい!」

「多分、いつものホテルにいるはずだ。」






その頃、多村は滞在先のホテルの一室で亮輔と一緒にいた。

亮輔は薬の影響で体がだるく、ベッドに横たわっていた。


「どうだ?
体の具合は…」  


「…」


「おいおい、俺をそんな目で睨むなよ。」


「ワタシはあなたを裏切ったわ。
その罰をちゃんと受けます。」

「まあ、俺の性格からして殺してやりてえとこだが、どうせあのバカ女に上手く唆されたってとこだろう。

もう、アイツのことは忘れて俺に尽くせ。」


「いいえ。
もう遅いわ。妻としてあなたの役には立てません。」


「甘いな亮輔。
俺がこの事態を想定していないとでも思ったか?」


「どういうこと?」

「わざわざ病気になったとお前らを騙してスキを作って逃げる気にさせてやったってことさ。」

「何のために?」

「目の前の敵を一網打尽にするためだ。」

多村は眼光鋭く亮輔を睨みつけた。

「わからないわ。
ヤクザなんだし、沢木、いえ、綾香ぎ目障りなら真正面から叩けばいいじゃない。
その力が多村組にはある…」

「バカか。
時代を考えろ。そんな事したら警察、マスコミ、世論の三点セットで俺たちは潰されて、はい、サヨナラだ」


「どんな手をあなたが考えてるか、ワタシにはわからない。
でも、一つだけ計算が狂ったわね。

ワタシは既に男に戻る薬を投与された後よ。
また、どこかの闇医者に頼んで強制的に性転換させる?」

「ああ、知ってるぜ。
再生医療の権威か何かしらねーが、そいつが作った薬を投与されたんだったな。
胸のシリコンも除去してもらったらしいじゃねえか。」

「そうよ」

「じゃあ、そろそろ体もかなり男に戻ったんじゃねえか?」


「ええ。もう胸も…」

そう言いかけて亮輔は言葉を失った。

「どうした?」

「胸が…

膨らんできてる…」

亮輔はまた張りを取り戻した二つの乳房を両手で触り、愕然とした。

「そりゃそうだろ。

お前に打たれた注射は再生医療がどうのこうのじゃねえ。
男から女にしちまう、いわば性転換薬だったんだからな。」

「まさか!」

「お前に注射を打つ前に、あの医者を捕まえて、脅してやったんだ。

そして、こっちで手に入れた性転換薬に変えさせたんだよ。」

「そんな薬、あるはず…」

「あるんだよ、いや、出来たんだよ、最近な。」

「そんな薬をなんであなたが!」

「この画期的な薬を或る製薬会社が開発したんだ。
早く実用化したいが、安全性を確かめるために治験をしなきゃなんねえ、これが膨大な時間がかかっちまう。

そうこうしている間に、外国との開発競争に負けちまう可能性が出てきた。

亮輔、お前ならどうする?」

「…」

「そういうときのために俺たちヤクザが存在するんだよ。

要するに治験なんてものは闇でやっちまえばいいんだよ。
借金抱えてる奴や、警察から追われてるヤツ、対象者はいくらでも用意出来る。」

「その代行作業を多村組が?」

「おいおい、もう多村組は解散したぜ。
ウチの会社で下請けしたってだけの話だ。

まあ、そういうことでクスリもこうやって入手できたって話だよ。」

「待って。ワタシを女にしてしまう事と敵を一網打尽にしてしまう事と何か関係あるの?」

「ねえよ。
沢木と綾香は多喜に潰させる。」

「多喜?」

「ああ。あいつならやってくれるさ。」

「多喜はカタギになるのよ。あなたの命令なんて…」

「いや、それがちゃんと俺の命令に従ってくれるはずだ。

もう、そろそろここに来るんじゃねえか」

多村はニヤリと笑い、亮輔を見つめた。
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