156 / 409
代理戦争編
接触
いつものように亮輔は組の者が運転する車に乗ってスポーツジムを訪れていた。
女性への性転換で失われた体力を取り戻すために。
だが、予想以上に筋肉が衰えており、相当な時間を要するだろうと思われた。
亮輔はノルマをこなそうと、ランニングマシーンに乗った瞬間、隣のマシーンに乗っていた者が声をかけてきた。
「亮輔」
声の主は多喜だった。
「多喜!」
「シッ、亮輔、時間がない
俺の話をこっちを見ずに聞いてくれ。」
「あ、ああ。」
「お前が女にされた事は知らなかったんだが、実は、俺はあの後、例の医者…
そう、後藤を訪ねていき、お前に打たれた性転換薬の話を聞いた。
そして、その薬と同じものと逆に女から男にする薬の両方をもらった。」
「えっ」
「いいか、よく聞いてくれ。
綾香さんとは話がついてる。
俺が綾香さんを連れ出してくるから、お前ら二人で遠くまで逃げてくれ。
綾香さんは俺に任せて、お前もなんとか見張りを振り切ってくれ。
ほらっ、以前綾香さんをオヤジから逃すときに使ったやり方でも何でもいいからとにかく自力で。」
「多喜…」
「男に戻ってから行動するのがベストだが、後藤の話によると、薬を投与されると丸一日は動けなくなってしまうらしいじゃないか
だから、男に戻るのは逃げた後にしてくれ。」
「わかった。でも、薫さんは?」
「アニキ、いや、大西さんが場所を教えてくれて、作戦の決行日に解放してくれるって。
俺もお前らを合流させた後に、薫を連れて逃げる算段だよ。」
「よかった。」
「だけど時間がねえ。
大西さんの話だと、薫はシャブ漬けにされて命すら危うい状況だ。」
「それは…
とにかく急がないと。
で、私たちの決行日は?」
「明後日の午後4時だ。
オヤジは外せない会合に出てる最中だ。
やるならここしかない。
お前は自力で新大阪駅の新幹線中央改札まで行ってくれ。
俺が綾香さんをそこまで連れて行くから。
いいな?」
「新幹線に乗ってどこに?」
「東はダメだ。
西に向かってくれ、とりあえず岡山に出てそこで乗り換えろ。
なんでも綾香さんの知り合いが四国にいて、匿ってくれるらしいから、詳しいことは彼女に聞いてくれ。」
「今度こそ上手くいくのね?」
「そう願いたいところだが、沢木の相手もしなきゃならないからな。」
「多喜、無理はしないで。
危険を感じたら作戦は中止して。
先ずは自分の命、そして薫さんの救出を第一に考えて。」
「ありがとう。
じゃあ、俺は行くよ。」
多喜は表情を変えず、そして亮輔の方に視線も向けず、正面を見つめたまま歩いていった。
女性への性転換で失われた体力を取り戻すために。
だが、予想以上に筋肉が衰えており、相当な時間を要するだろうと思われた。
亮輔はノルマをこなそうと、ランニングマシーンに乗った瞬間、隣のマシーンに乗っていた者が声をかけてきた。
「亮輔」
声の主は多喜だった。
「多喜!」
「シッ、亮輔、時間がない
俺の話をこっちを見ずに聞いてくれ。」
「あ、ああ。」
「お前が女にされた事は知らなかったんだが、実は、俺はあの後、例の医者…
そう、後藤を訪ねていき、お前に打たれた性転換薬の話を聞いた。
そして、その薬と同じものと逆に女から男にする薬の両方をもらった。」
「えっ」
「いいか、よく聞いてくれ。
綾香さんとは話がついてる。
俺が綾香さんを連れ出してくるから、お前ら二人で遠くまで逃げてくれ。
綾香さんは俺に任せて、お前もなんとか見張りを振り切ってくれ。
ほらっ、以前綾香さんをオヤジから逃すときに使ったやり方でも何でもいいからとにかく自力で。」
「多喜…」
「男に戻ってから行動するのがベストだが、後藤の話によると、薬を投与されると丸一日は動けなくなってしまうらしいじゃないか
だから、男に戻るのは逃げた後にしてくれ。」
「わかった。でも、薫さんは?」
「アニキ、いや、大西さんが場所を教えてくれて、作戦の決行日に解放してくれるって。
俺もお前らを合流させた後に、薫を連れて逃げる算段だよ。」
「よかった。」
「だけど時間がねえ。
大西さんの話だと、薫はシャブ漬けにされて命すら危うい状況だ。」
「それは…
とにかく急がないと。
で、私たちの決行日は?」
「明後日の午後4時だ。
オヤジは外せない会合に出てる最中だ。
やるならここしかない。
お前は自力で新大阪駅の新幹線中央改札まで行ってくれ。
俺が綾香さんをそこまで連れて行くから。
いいな?」
「新幹線に乗ってどこに?」
「東はダメだ。
西に向かってくれ、とりあえず岡山に出てそこで乗り換えろ。
なんでも綾香さんの知り合いが四国にいて、匿ってくれるらしいから、詳しいことは彼女に聞いてくれ。」
「今度こそ上手くいくのね?」
「そう願いたいところだが、沢木の相手もしなきゃならないからな。」
「多喜、無理はしないで。
危険を感じたら作戦は中止して。
先ずは自分の命、そして薫さんの救出を第一に考えて。」
「ありがとう。
じゃあ、俺は行くよ。」
多喜は表情を変えず、そして亮輔の方に視線も向けず、正面を見つめたまま歩いていった。
あなたにおすすめの小説
世界の終わりにキミと
フロイライン
エッセイ・ノンフィクション
毎日を惰性で生きる桐野渚は、高級クラブの黒服を生業としていた。
そんなある日、驚くほどの美女ヒカルが入店してくる。
しかし、ヒカルは影のある女性で、彼女の見た目と内面のギャップに、いつしか桐野は惹かれていくが…