ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

文字の大きさ
165 / 409
代理戦争編

殺気

多喜が目を覚ますと、そこは見たこともない部屋だった。


肩の痛みに耐えながら、周囲を見回すと、人相の悪いスーツ姿の男が座っていた。


「ようやく気付きはったんやな
安心してええよ。ここはウチの息のかかった病院やから、勿論モグリのやけど。」


「あなたは‥たしか」


「三宅組の白石です。」


「すいません、白石さん‥
俺は…」


「なんや、アンタ何も覚えてへんのか?」


「はい。」


「沢木組と街中で撃ち合いやりましたんやで。
この時代にな。」


多喜はは疼く肩を押さえて、必死に思い出そうとしたが、断片的な絵しか浮かんでこない。


(たしか‥沢木の車に追いつかれて…

赤石ってのが助手席から俺を狙って‥)


「そうだ…

俺は赤石に撃たれて…そのまま倒れ込んだんだ…」


「アンタが撃ったタマもその赤石っちゅーうのに命中したんやで。」

「えっ?」

「向こうも死んでないやろ。逃げて行きよったからな。

だが、アンタへの見張り役として付いてたウチの者が、アンタを車に乗せた後、もう一人の沢木組のやつを殺してしまいよったんや。
正当防衛やけどな、こっちに言わせれば

アンタを車に乗せようとしてるところを、撃ってきたんやから。

赤石は死んだ男を蹴り落として、車から放り出し、自分が運転して去ってった…

まあ、これが顛末や」


「そうだったんですか…

ご迷惑をおかけして誠に申し訳ないです。

ところで、オヤジ、いや多村社長は?」


「多村はんやったら、もうすぐここへ来まっさ。

アンタの事えらい心配してはったからな。

それと、とうとう本気になったみたいやで。
沢木潰しに」


「沢木を?」


「まあ、ワシら三宅組は沢木のせいで散々冷飯食わされてきたんや。
せやけど、この銃撃戦で、多村はんも沢木に対しては甘い事言うとったらあかんて思たんやろなあ。」

「ですが、沢木のバックには垂水組が…」

「そんなもん、ワシらにも立正会っちゅー立派な後見人がおるやないか。

ええか、多喜はん

ここまできたらな、組がでかい小さいは関係あらへん。
どっちが肚決めてやるかや!」


そのとき、白衣を着た男がドアを開けて入ってきた。


「多村さんが来られました。」

男の後ろから、多村がボディーガード二人を引き連れて顔を出した。


「よぉ、多喜

やっと目覚めたか

タマが肩を貫通してたんだよ、まあ命があってよかったな。」


「はい。ありがとうございます…」


「とはいえ、しばらくは動けんからここでゆっくりしとけよ。」


「は、はい」


「あ、そうだ

お前の恋人のニューハーフなあ

大西が俺を裏切って逃しやがったぜ」


「えっ?」


「あと、お前の奮戦のおかげで、亮輔と綾香も無事に逃げたらしいぜ。」


「…」


「まあ、いい。

全部じゃねえが、想定の範囲内だ。
悪いが、多喜、お前にはもう少し働いてもらわねえといけなくなったぜ。」


多村は笑みを浮かべていたが、その目は怒りに満ちていた。
感想 1

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

世界の終わりにキミと

フロイライン
エッセイ・ノンフィクション
毎日を惰性で生きる桐野渚は、高級クラブの黒服を生業としていた。 そんなある日、驚くほどの美女ヒカルが入店してくる。 しかし、ヒカルは影のある女性で、彼女の見た目と内面のギャップに、いつしか桐野は惹かれていくが…

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

兄になった姉

廣瀬純七
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

交換した性別

廣瀬純七
ファンタジー
幼い頃に魔法で性別を交換した男女の話