ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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代理戦争編

悪手

「今頃、沢木の連中が多村はんを血眼になって探しとるやろなあ。」

三宅組白石は、多喜に言うでもなく、独り言のようなトーンで呟いた。


「白石さん、そしたらここも危ないんじゃないですか?」


多喜はベッドで仰向けに寝たまま、白石に話しかけた。


「まあ、大丈夫でっしゃろ。
こんな雑居ビルの地下まで手は及びまへんて。

垂水組の情報網やったら見つけるかもしれまへんけどな。」


「垂水組も表立っては出てきていませんが、沢木に情報を与えるなどして後方支援はしてるんじゃないですか。」


「まあ、そうかもしれまへんけど、まあ本命は多村はんやろうし、アンタはここにおったら安全や。

ウチの者でもここの事を知らん人間がおるくらいやし。」


「そうですね。
俺もここの事は知りませんでした。」


「そんなん当たり前や。

お宅の組長とそのお付き以外は知らんに決まってる。」

白石はそう言ってニヤリと笑った。



多喜は疼く肩を庇いつつゆっくり起き上がり、周りを見回した。


「多喜はん、まだムリしたらあきまへんて

傷口が開きまっさかいな」


「いや、悠長に寝てられませんから。」


抗争の中で確かに悠長に寝ていられないと言った多喜のは発言は強ち間違ってはいなかった。

しかし、多喜はこんな抗争など一ミリの関心もなく、心にあるのは薫の事だけだった。

大西によって救い出されたとは聞いたが、今どういう状況にあるのかはわからない

しかし、こんなところで寝ていられないのは確かな事で。

一刻も早く救い出さなければ…

多喜の思いはその一点に尽きた。


「多喜はん、アンタはまだ動かれへんし、何も出来へんやろうと踏んで、あの用心深い多村はんが見張りを全部引き上げとるがな。」


「イテテっ

そういえば、そうっすね。」


多喜は痛みに耐えながらぐるっと見回し、いつもの見張りがいない事を確認した。


「いや、そうやあらへん

ホンマは多喜はんになんてかまってられへんっちゅー事とちゃいまっか。

今度は多村はん自身がタマ狙われる番になってしもたんやから。
内心焦ってるっちゅーことや」


「白石さん
社長は用意周到かつ慎重な男です。

こういう状況になることも想定はしていたはずです。

今頃どこかで次の手を考えているでしょう。」


「まあ、そうやないと
多村組っちゅー神輿を担ぐワシらも浮かばれまへんからなあ。
是非ともこの抗争には勝ってほしいですわ。」

白石はそう言って豪快に笑った

しかし、すぐに笑うのをやめた。


玄関先から物音がしたからだ。

鍵を開ける音…



誰が開けたのか

白石は立ち上がり、確認しようとした瞬間
部屋に入りこんできた男が、白石に銃口を向けた。
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