ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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再起編

未来

さらに時は過ぎた

抗争事件の記憶も段々薄まり、世間的には風化してしまったといっても過言ではなかった。

獄中で三十の誕生日を迎えた多喜は、ようやく出所の日を迎えた。

ここに入る前は、希望に満ちた生活を送り、薫と静かに暮らすという目標を持って生きていた。

しかし、薫は自分のせいで廃人にされ、現在はどのような状態か計り知る事が出来ないが、向こうからの便りがないのは、快方に向かっていないという事であると…
たまに面会に来てくれる大西から話を聞いてみたが、薫はかなり前に転院し、その行方は彼自身もわからないとの事だった。

亮輔もまた、面会に来る事は一度もなかった。
それは、綾香という沢木組組長の愛人を連れているからであり、もし、亮輔が大阪に現れたら、綾香の所在がバレてしまう可能性があったからだった。

薫の情報が全く入って来ないまま、時だけが過ぎ、
多喜は半ば諦めの境地に陥っていた。

それでも、この目で見るまでは…と、多喜は真面目に日々をすごし、ようやく出所が決定した。



「大変お世話になりました。」

出所の日、多喜は刑務官に深々と頭を下げると、出所の手続きを行った。
没収されていた私物の返還を受け、いよいよ何年か振りに外の世界に歩みを進めた。


多喜は刑務所の外をぐるりと見回したが、別に街の風景が劇的に変わったわけでもなく、想像していた通りの景色がそこにあった。

その景色の中に、黒塗りの車があり、景色の中に溶け込まず、異質な感があった。

そして、徐に後部のドアが開くと、中から誰かが降りてきた。


「あっ…」


「思ったより元気そうだな」

大西だった。


「アニキ…」


多喜は近づいてきた大西に深々と頭を下げた。


「お前だけに苦労かけちまってすまなかったな。」


「いえ、自分がやった事ですから…」


「まあ、話は後だ
とにかく、車に乗れよ」

多喜は大西に促され、車のドアを開け、後部座席に座った。


「アニキもお変わりないようで、安心しました。」


「そうでもないぜ。

柄にもなく組長なんてやってるしな。」


「組は大阪で?」


「ああ。

シマも多村組のときからすれば半分以下になっちまった。
旧三宅組が所有していたシマの大部分は沢木に譲渡したしな。

まあ、オヤジの騒動の時には迷惑もかけたし、世話にもなったからな。」


「そうですか…」


「お前が店長をしていたキャバクラはまだウチの所有だぜ。

どうだ、またやってみないか?」


「いや、俺はもう…」

多喜は大西の話に乗って来なかった。
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