ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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再起編

光脈

「多喜が戻ってきたらと思い、あのキャバクラだけは何とか守り通してきたんだかな。」


「すいません…」


「いや、いいんだ。
ただ、もうオヤジに恐怖することもないだろうから、働きやすい環境だと思うが。」

「オヤジはもう大丈夫なんすか?
また復讐の機会を待っているとかは、ないんですかね」


「それは大丈夫だろう。
性転換して女の姿で刑務所に入っちまったからな。

噂によると、受刑者は勿論のこと、看守にまでいじめられてかなり苦労してるそうだ。」

「看守にも…」


「ああ。あれだけ大きな事件を起こしたんだ。

そりゃ目を付けられるさ。」

「オヤジの事だから、その恨みを力に変えてまた暴れ出すかもしれませんね。」


「まあ、その可能性もあるが、まだ何年か服役するだろうし、そこまで闘志が保つかどうかだな。」

「なるほど…」




「あ、そうだ

薫さんの事で、お前に言わなきゃならねえ事があったんだ。」


「えっ、薫が?

どうしたんですか?」


「見つけたよ、ほんの最近の事だけどな」


「えっ、それは…

本当ですか!?」

半ば諦めかけていた薫の名前が大西の口から出た為、多喜は大いに動揺した。


「神戸の病院を出てから、全然行方がわからなかったんだが、大阪に戻ってたよ。」

大阪に…
それで、薫の状態は?」


「気持ちの強い人だから、あれだけの量を打たれて廃人同様にされても、再び自分からまたクスリに手を出すことはなかったが…

やはり、ずっと酷い後遺症に悩まされてな、体重もなかなか戻んねえし…

お前からの手紙は全部目を通してたそうだが、こんな状態で会うわけにはいかないと、薫さんの方からお前に連絡する事はなかったんだよ。」


「そうだったんですか…

薫は無事なんですね…

よかった…」

多喜は、涙をぽろぽろ流しながら何度も頷いた。


「お前ら、リアクションが同じだな。

薫さんにお前が出所する事を伝えたら、今のお前みたいに泣き出しちまってな…」

「…」

「会いに行くか?」


「でも、薫が会いたくないって…」

「本心は会いたいに決まってんだろ。

薫さんにはお前が今日出所する事は伝えてあるよ」


「…」


「お前、ムショに入る前に薫さんに会いに行っただろ?」

「えっ、はい」


「あの頃の最悪の状態を俺も見て知ってるが、今の状況は、最初の頃に比べると見違えるほど改善してるぜ。

本人も相当努力したんだろうな。
だから、薫さんも今ならお前の前に姿を現しても大丈夫だって、内心は思ってるはずだ。」


「薫はどこに?」


「もし、お前に今の彼女を受け入れる覚悟があるなら、二人の思い出の場所に行け。

そこで待ってるってよ。」


「思い出の…場所…」


多喜は俯き、しばらく考えていたが…ハッとして、すぐに顔を上げた。
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