ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

文字の大きさ
196 / 409
再起編

其々の道

長い間薬物中毒の後遺症に苦しんでいた薫だったが、多喜と再会してからは見違えるような回復を見せ、今では以前と変わらぬ外見を取り戻していた。
体重も増え、表情も明るくなった。

デニムにチェックのシャツ、エプロンを巻いたその姿はとにかく美しかった。

まだ時折フラッシュバックに悩まされたりはするが、その度に多喜が抱きしめてくれて、薫が堕ちないように気を配ってくれている。

薫も多喜という最愛の男性のために頑張らなければならないと、さらに強い思いでこの難関に立ち向かっていたのだった。


「よし、じゃあ開店させるよ」

多喜は店のドアに掛けていた看板をcloseからopenに変更した。


「真ちゃん、いっぱいお客さん来てくれたらいいね。」


薫はカウンターの中で寸胴の火加減を見る多喜に声をかけた。

「初日だしなあ
それに、ここってどっちかって言うと住宅街だからね。

いきなりバンバンお客さんが来たりはしないさ。」

多喜は笑みを浮かべて薫に言った。


しかし…


店の自動ドアが開き…


「いらっしゃいませ!」

薫が開店早々にやってきた第一号の客を出迎えようと振り返ると


「よう。やっと開店できたんだな」

と、来店したのは大西と亮輔だった。


「アニキ、亮輔!

来てくれたんすか。」


多喜は驚きの表情を見せ、深々と頭を下げた。


「そりゃあお前達の店がオープンするんだから、第一号の客にならざるを得んだろうが。」

大西は豪快に笑い飛ばしながら言った。


「薫さん、開店おめでとう。

元気そうで安心したわ」


亮輔が薫に声をかけると

「おかげさまで、体調はすごく良いです。」

と、薫は嬉しそうに言い、ぺこりと頭を下げた。


亮輔はそんな薫の姿を見つめながら、三ヶ月前の出来事を思い出していた。
感想 1

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

世界の終わりにキミと

フロイライン
エッセイ・ノンフィクション
毎日を惰性で生きる桐野渚は、高級クラブの黒服を生業としていた。 そんなある日、驚くほどの美女ヒカルが入店してくる。 しかし、ヒカルは影のある女性で、彼女の見た目と内面のギャップに、いつしか桐野は惹かれていくが…

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

兄になった姉

廣瀬純七
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

交換した性別

廣瀬純七
ファンタジー
幼い頃に魔法で性別を交換した男女の話