ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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新章〜新たなる潮流〜

対面

「筒井さんですか

ご連絡していました、弁護士の鷹村と申します。

こちらはEMインダストリーの岡田社長です。」


ドアを開けた未来に向かって、鷹村が先ず挨拶をし、隣にいた優磨を紹介した。

しかし、優磨は未来の顔を見つめたまま言葉を発せず、妙な間が出来た。

鷹村が思わず視線を優磨に向けると、我に返り

「岡田と申します」

と、少し早口で挨拶をし、頭を下げた。


「筒井です。

あの、狭いところですが…どうぞ」


未来は二人を部屋に入るよう案内した。

典型的な学生のワンルームアパートで、ベッドと机が置いてある為、三人が座って話すには、あまりにも狭いスペースだった。

鷹村と優磨が座ると、未来は冷蔵庫にあったペットボトルのお茶をグラスに入れ、二人の前に差し出した。

小さなテーブルに出されたお茶に視線を向けた鷹村は、未来に礼を言い、続いて部屋の中をぐるりと見渡した。
だが、何を言うでもなく、すぐに本題に入った。


「今日ここへ来させていただいたのは他でもありません。

先日、ミナミでEMインダストリーグループの系列会社に所属の三名が、筒井さん他二名の方に暴行を加え、大怪我をさせた件でお詫びに参った次第です。」

鷹村は恭しく言葉を並べたが、表情を変えず至って冷静な感じであった。、

「いえ、それは、こちらもそちらの会社の方達に怪我をさせてしまいましたので…

謝っていただく必要はありません。」

逆に未来は申し訳なさそうな表情で言い、頭を下げた。


優磨は先ほどから何も言わず、未来の顔をじっと見つめていたが、自分が喋る番だと気付き、ハッとした表情で、慌てて口を挟んだ。

「筒井さんにそう言っていただけて大変恐縮です。
それでは、お互いに遺恨を残さないということで…」

「はい。
それは、こちらもそうしていただけるとありがたいです。」

未来はまた頭を下げた。


「筒井さん

一応互いの話し合いはついたと判断させていただきましたので、今後、SNSに喧嘩したときの話や動画などを上げないようにしていただいてもよろしいですか。」

鷹村は弁護士として、念押ししておきたい部分を挙げた。


「はい。そんな事は絶対にしません。

誰が撮っていたのか、あの時の動画が拡散されていて、こちらもすごく困っていますので。」


「もし、筒井さんが迷惑しているのなら、動画を上げたり無責任に騒いでいる連中を特定して訴える事も可能です。

こうしてお知り合いになれたんですから、私の事務所で無料でお受けしますよ。」

「いえ、そこまでは…」

未来は慌てた様子で首を振った。

「筒井さん、あの時服が破れたり、散々な目に遭わせてしまい、本当にすみませんでした。
お詫びと言っては何ですが…
これを受け取ってください。」

優磨は、懐から明らかに金が入っていると丸わかりの封筒を出し、未来の前に置いた。

「いえ、これは受け取れません。」

未来はここだけは一貫して拒否し、最後まで受け取ろうとせず、結局は優磨も鷹村も諦めた。
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