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新章〜新たなる潮流〜
別離
「元々、ヤクザなんてものに興味はなくて、当然後を継ごうなんて考えたこともなかったんですよね。
ヤクザにならないんだったら、学歴は必要だろうってことで、勉強だけはよくしていました。
おかげさまで、地元で一番の進学校に進み、アメリカの大学に入学する事も出来ました。
アメリカって地が自分に合っていたのか、それはわかりませんが、少なくともヤクザの子って事は誰も知らないわけです、周りは。
だから気分がラクだったっていうか、自分が生きるのはここだって確信しましたね。
大学卒業後は、向こうで知り合った日本人の友達と会社を始めたんですが、サポート役のアシスタントがどうしても必要になりましてね、そこで声をかけたのが、大学時代の友人で日本から留学していた、夏希だったんです。
夏希は中学までアメリカにいたそうで、語学力は完璧でした。
ほら、ビジネス用語って難しいじゃないですか。
共同経営者の友達もビミョーなニュアンスを英語で伝えらんないし…
でも、夏希はネイティブといっても過言ではないほどの英語力でサポートしてくれました。
彼女は日本に帰国してこっちで就職しようと決めていたらしいのですが、私のために翻意してくれて向こうに残ってくれたんです。
私は彼女に好意を持っていました。
彼女もまた同じで、だから帰国しなかったんだと、後に聞きました。
それからしばらくして、私と夏希は付き合い始め、恋人関係になりました。」
「ほう、そんな女性が若にいたんですね
で、その方は今?」
「亡くなりました。」
「亡くなった?」
鷹村はびっくりして優磨の顔を見た。
「交通事故です。
ハイウェイでトレーラーに接触されて…」
「えっ…
それじゃあ…」
「さすがにショックで、私は立ち直れませんでした。
自暴自棄になりかけましたが、友人と設立した会社のこともあったので、私は仕事に全てをぶつけて、気持ちをまぎらわせようとしました。
その甲斐あってか、ビジネス面では成功を収めることが出来ました。
でも、虚しい気持ちを埋めることは出来ませんでした。
何年かして、会社での私の権利を全て友人に譲渡し、辞める事を決めました。
そこからの私は腑抜けのようでした。
幸い金はありましたので、生活に困る事はなかったですが、毎日を何をするでもなく、ただ無為の時間をすごしていました。
そんなときです。
親父が死んだって知らせが入ったのが。
どうせ、捨てた人生だし、ヤクザとして残りの人生をすごすのも悪くはないと思い、日本に帰国しました。
それが去年の事です。」
「そんな事があったんですか。
知りませんでしたよ、若。」
「いや、全く私的な話なので…
そして、今日、思いもしないところで亡くなった夏希と瓜二つの人間を目の当たりにして、固まってしまった
これが真相です。」
優磨はそう言って笑った。
ヤクザにならないんだったら、学歴は必要だろうってことで、勉強だけはよくしていました。
おかげさまで、地元で一番の進学校に進み、アメリカの大学に入学する事も出来ました。
アメリカって地が自分に合っていたのか、それはわかりませんが、少なくともヤクザの子って事は誰も知らないわけです、周りは。
だから気分がラクだったっていうか、自分が生きるのはここだって確信しましたね。
大学卒業後は、向こうで知り合った日本人の友達と会社を始めたんですが、サポート役のアシスタントがどうしても必要になりましてね、そこで声をかけたのが、大学時代の友人で日本から留学していた、夏希だったんです。
夏希は中学までアメリカにいたそうで、語学力は完璧でした。
ほら、ビジネス用語って難しいじゃないですか。
共同経営者の友達もビミョーなニュアンスを英語で伝えらんないし…
でも、夏希はネイティブといっても過言ではないほどの英語力でサポートしてくれました。
彼女は日本に帰国してこっちで就職しようと決めていたらしいのですが、私のために翻意してくれて向こうに残ってくれたんです。
私は彼女に好意を持っていました。
彼女もまた同じで、だから帰国しなかったんだと、後に聞きました。
それからしばらくして、私と夏希は付き合い始め、恋人関係になりました。」
「ほう、そんな女性が若にいたんですね
で、その方は今?」
「亡くなりました。」
「亡くなった?」
鷹村はびっくりして優磨の顔を見た。
「交通事故です。
ハイウェイでトレーラーに接触されて…」
「えっ…
それじゃあ…」
「さすがにショックで、私は立ち直れませんでした。
自暴自棄になりかけましたが、友人と設立した会社のこともあったので、私は仕事に全てをぶつけて、気持ちをまぎらわせようとしました。
その甲斐あってか、ビジネス面では成功を収めることが出来ました。
でも、虚しい気持ちを埋めることは出来ませんでした。
何年かして、会社での私の権利を全て友人に譲渡し、辞める事を決めました。
そこからの私は腑抜けのようでした。
幸い金はありましたので、生活に困る事はなかったですが、毎日を何をするでもなく、ただ無為の時間をすごしていました。
そんなときです。
親父が死んだって知らせが入ったのが。
どうせ、捨てた人生だし、ヤクザとして残りの人生をすごすのも悪くはないと思い、日本に帰国しました。
それが去年の事です。」
「そんな事があったんですか。
知りませんでしたよ、若。」
「いや、全く私的な話なので…
そして、今日、思いもしないところで亡くなった夏希と瓜二つの人間を目の当たりにして、固まってしまった
これが真相です。」
優磨はそう言って笑った。
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