ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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懐柔編

崩落

憮然とした表情を浮かべ、椅子に深く腰掛ける優磨に、若頭の佐々木が声をかけた。

「全員揃いましたので、そろそろ始めてもよろしいですか」


「ああ。頼む」


佐々木は、頷いて立ち上がり、その場に集まった二十名ほどの男たちに向かって話し始めた。

「皆さん、今日は急遽集まってもろて申し訳ありません。

というのも、我々からご報告があっての事です。
詳細はウチの顧問弁護士の鷹村先生から話してもらいます。


ほな、鷹村先生
よろしくお願いします。」


佐々木に振られた鷹村は、深く頷き皆の方を向いた。


「垂水組の顧問弁護士の鷹村です。

早速ですが、私の方から少し話をさせてもらいます。

本日付で、垂水組の傘下にあった神頭会について、除名する事となりましたことを、ここにご報告させていただきます。」


「除名…

でっか?」


沢木組組長の庄山が、驚いた様子で声を発した。


「そうです。」


「除名の理由は?」

庄山は腑に落ちない様子で、鷹村に再度質問した。


「神頭会の久喜会長が我々の決定に従わず、今回の神頭会組員殺害事件において、報復に出ると宣言したからです。」


「報復…」

庄山だけでなく、他の組の幹部達もざわつき始めた。


「神頭会の除名については、既に大阪府警本部にも報告済みです。

今後、神頭会と大友組の間で何が起きても、我々の関知するところではありません。

皆さんも、一切の干渉をしないようお願い致します。」


「しかし、そんな事をしたら、大友組は益々増長して、結果としてウチが危険な目に遭うんとちゃいまっか?」


抗争の当事者ともいえる沢木組としても、この決定は看過できないようで、庄山は鷹村ではなく、優磨に向かってそう言った。


「庄山さん

大友組の狙いは沢木組とそのシマ
それから大西組だって事はアンタもわかってると思う。

しかし、奴らは垂水組を揺さぶるために、直接関係ねえ神頭会に手を出してきやがった。」


「若、それはわかりますが、垂水組が介入するのは、向こうにとって都合が悪くて、こっちにとっては都合がええ事とちゃいますのか?

なんちゅーても、垂水組言うたら日本一の押しも押されもせぬ巨大なヤクザ組織です。

その威光があるからこそ、我々も安心して活動できるんです。」


「そうさ。
それが奴らの狙いなんだ。

ウチが介入すれば、警察の目は全てこちらに向く。
そして世論もヤクザを徹底的に潰せという意見で溢れかえるだろう。
現代ヤクザにとって、それだけは避けなきゃならねえ。」

「警察や世論も、相手にとってもこちらと同じ条件になるんとちゃいまっか?」


「いや、大友組の実行部隊はキムって奴が率いる外人部隊だ。
コイツらについては、地下のコミュニティの絡みもあって、警察もなかなか全体像を把握できてねえ。

つまり、こっちがやられ損となり、組織は弱体化。
向こうはしてやったりっていう結果になるのは目に見えている。」


優磨の言葉に、庄山もようやく反論するのをやめた。
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