ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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懐柔編

拉致

「アンタなんて拉致ろうと思えばいつでも出来たのよ。

だって、アンタって本当警戒心なくあちこち自由に遊び歩いてんだもの。

顔もそうだけど、中身も綾香に似てきたわね。」


多村は亮輔に対し、ニヤニヤ笑いながら言った。


「過信は禁物ってことよね、多村洋子さん」

逃げ道を失った亮輔だったが、笑みさえ浮かべて多村に言った。


「そういう事よ。
松山沙織ちゃん

それじゃあ大人しく付いてきてもらおうかしら?」

多村はお付きの人間に目で合図をした。


「ねえ、多村さん。
ワタシを拉致するのに何人でここに来たの?」

「見ればわかるでしょ?
五人よ

性転換薬使って女になったアンタを捕まえるのに何人も必要ないわ。

でも、敬意を払って五人も人を割いて来てあげたのよ。」


「あら、そう?

ワタシはまた慌てて人をかき集めてここに来たから五人しか集まらなかったのかと思ったわ。」


「どういう意味よ。」


「ワタシがここにいるって情報を耳にして、周りにいた連中と急いでやってきた。
だから、ワタシも油断してたけど、あなたも十分に準備できなかったんじゃないかってね。」


「ふんっ

なわけないでしょ?
ここら辺はワタシのシマよ。

ものの5分で何人でも集められるわ。」   


多村がそう言うと、亮輔は、男二人に挟まれて身動きが出来ない拓実の方に視線をやった。


「さあ、無駄話はこれくらいにして、さっさとついて来なさい。」


亮輔の両脇にいた男二人が腕を持とうとした瞬間、多村の背後から誰かが近づく気配がした。

「多村さん、それくらいで勘弁してやってくれませんか。」


多村が慌てて振り返ると、そこには大西が立っていた。

こちらも若い衆を八人ほど従えて。


「大西!」


「ご無沙汰してます。

相変わらず色気がありますなあ、大人の女性の。」

大西はそう言うと、多村と亮輔の間に立った。


「沙織は連れて帰りますよ。
いいですね?」


大西は多村に鋭い視線を送りながらも、優しげな口調で言った。


「ぐぬっ…
どうしてここがわかった?」


「まあ、一応今は抗争中なわけですから、それなりの警戒はしてるわけです。

今回は少しラッキーだったというのが事実ですが。

それじゃあ解散願えますか」
   

大西が言うと、多村は唇を噛んで悔しがりながらも、兵を引かせた。


「大西、今日は大人しく引いてやるが、タダで済むと思うなよ。

亮輔、お前は多分ワタシと同じ理由から男に戻らないと思うが、その選択をきっと後悔させてやるから、楽しみにしておけ。」

多村は、亮輔達に捨て台詞を吐いて、その場から立ち去っていった。
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