ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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懐柔編

前夜

「垂水の若が結婚をねえ。」

大西は結婚式への招待状を手に取りながら呟いた。


「ワタシ達まで招待してくれるなんてね。」

亮輔は、事務所に誰もいないのをいいことに女口調で大西に言った。


「招待はいいけど、来るんじゃねえのか
キムや多村がよお」


「まさか…」


「わかんねえぞ。
アイツら、イカれてやがるからなあ。」


「当日は警察だって出てくれるんでしょ?
どうやって襲撃するっていうのよ」


「いや、それはわからねえが、沢木を含めて全員揃ってるんだ。
ここを狙わずしてどこで狙うってんだよ。」


「リスクが高すぎるんじゃない?
アイツらにとっても」


「キムの事だ。
使い捨ての中国や韓国人のチンピラを投入してくる事だろうよ。

式場の中にまで入ることが出来れば、ヤツらにも勝機はある。」


「もし、そうだとして
垂水の若は、なんで大々的に結婚式を挙げるんだろ?」


「垂水陣営の結束を固める意味があるんだと思う。
それにより、敵と味方をハッキリと見分ける事が出来る…


そして、その先まで考えているとすれば…
大友達をわざと呼び寄せるために…」


「罠を仕掛けるっていうの?

リスク高すぎじゃない!」


「まあ、そうだな」


「少なくとも未来ちゃん側の列席者は、ほぼ全員がカタギの人達よ。
何かあったら取り返しがつかないわよ。」


「しかし、日本最大にして最強のヤクザ組織である垂水組の組長の結婚式だ。
何があっても多村やキムの横暴を許す余地は与えんだろ。

むしろ、それでカタが付けば、ウチも苦労しなくて済むし、お前も女に戻れる。」


「そうよ!
もうイヤなのよ、この体。

お化粧もしたいし、可愛い服も着たいのにい!」


「亮輔、お前もすっかり変わっちまったなあ。

多村組の若手でいた頃には、イケイケの亮輔として名を馳せてたのによ」


「いつの話してんのよ。
あれから、多村にニューハーフに堕とされてから、ワタシの人生は変わったの。
考え方、価値観、全てが。」


「まあ、そうだけど…


この抗争のカタがついたら、俺たちも結婚するか。」


「えっ…

ホントに?」


「ああ。お前にその気があるならな」


「そんなの…

あるに決まってるじゃん!」


亮輔は大西に抱きついて頬にキスをした。



「おい、待て待て!
組の中だぞ

それに、お前…今、男に戻ってるのを忘れんな!」

大西は狼狽しながら亮輔に言った。


「ごめんなさい…」


亮輔は大西から離れ、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
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