ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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闇堕ち編

hurdle

三十代くらいのサラリーマン二人が店を出てきた。

二人は外に出るなり

「久々に店が開いてると思て来たけど、全然あかんやん。

めっちゃ味落ちとる。」

一人が店を振り返りながら不服そうに言うと

「ホンマや。経営者変わったんとちゃうか。

女が一人でやっとったし。
あの大将どこ行ってん、ホンマ。
次はないな。」

もう一人が同調した。


その二人を横目で見ながら、新しい客が店に入ってきた。


「いらっしゃいませ!




あっ」


客ではなく、入ってきたのは未来だった。


そして、カウンターの中にいたのは、薫だった。


未来は、店の中を見渡したが、昼過ぎだというのに、他の客は見当たらず、自分と薫しか店にいない事がわかった。


薫は、水道で手を洗うと、店の自動ドアのスイッチを切り、準備中の札を表にした。


「未来ちゃん…

ビックリしたわ。
どうしたの?」


「すいません。
急に来ちゃって…」


「ううん、全然。
顔が見れて嬉しいわ。」


「お店、再開したんですね。」


「うん。昨日からね。

せっかくあの人がここまで頑張ってきて、繁盛させたお店だし、閉店するのもなんか残念で。

後を引き継いで頑張ろうと思って、期間はそんなになかったけど色々勉強したり、アドバイスしてもらったりして、やったつもりだったんだけど…

やっぱり上手くいかないものね。

主人のすごさがあらためてわかったっていう…」


薫がそこまで言うと、未来は、いきなり頭を下げた。


「薫さん

ワタシのせいで、こんな事になり…
謝っても謝っても謝りきれません…


本当にごめんなさい!」


「未来ちゃん

やめて。

あなたが謝る事なんて何一つないわ。」


「でも…」


「悪いのはこんな事をした人達だし、こんな事を裏で計画した人だよ。

それに、あなただって被害者じゃないの。
ワタシも当事者として、あなたの気持ちは痛いほどわかるわ。

突然、愛する人を目の前で失ったんだから。」


「…」


「でも、未来ちゃん。
ワタシもあの時から全てがイヤになって、ずっと泣いて暮らしてたけど、それじゃあダメだって思ったの。
ワタシが泣いてても、あの人も喜んではくれないし、天国で心配するだけだから。

それで思ったの。

ワタシが頑張って生きる事が、あの人を愛していた証になるんだって。
そこからかな…
少し気持ちがラクになったのは…」


「薫さん…

ワタシも同じ心境です…

今日、ここへお邪魔したのは、薫さんにお話があっての事なんです。」


未来は真剣な眼差しで、薫を見つめながら言った。
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