ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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闇堕ち編

御印

薫は、サユリの家に立ち寄った後、そこから車で二十分ほどのところにある、大阪府立病院を訪れていた。




「あ、薫さん」


病室を訪れた薫を見て、少し驚いた顔をしたのは、亮輔だった。

「亮輔さん、体の状態は…」

薫が来ても、ベッドから起き上がれないでいる亮輔を見て、あまりいい状態ではないとすぐにわかったが…


「ご覧の通りです。

弾が当たった場所が悪かったようで、腰から下が動かなくなっちゃいました。」


「えっ…」


亮輔が達観したような笑みを浮かべたのに対し、薫は驚きを隠せない様子で、亮輔の下半身を見つめた。


「俺は、こんな格好になっても生きている事は幸運でしたが…

多喜については…何と申し上げていいのか…」


「いえ、亮輔さんが気にされる事じゃありませんし…」


「しかし、事件の黒幕に多村がいる事は間違いないでしょうし…
やはり、死んだ大西さんや俺にその責任の大部分はあると思います。

本当に申し訳ありませんでした。」


「いえ、本当にもう…

ところで、キレイなお花ですね。

誰が?」


薫は話題を変え、亮輔の枕元に生けられた花を見て言った。

「ええ。事件をニュースで見て、ウチの両親や、知り合いが大勢来てくれましてね…
こんな花まで…

ありがたい事です。」


「そうですか。」


「ところで、薫さん

なんか服装がいつもと違いますね。

スーツスタイルだし…なんか女性SPって感じがしますよ。」


亮輔は、その服装を見て指摘した。


「あの、亮輔さん…

ワタシ、少し前に沢木組に復帰したんです。」


「えっ…」


「昔のように典型的なヤクザ丸出しの服装にしても似合わないだけなので、こんな格好でいさせてもらってます。」


「薫さん…

なんで、また…」



「ワタシが何かを出来るなんていう自惚れはありませんが、ケジメだけはつけないと、前に進めないと思ったからです。」


「いや、ヤクザにとってのケジメは…」


「何が出来るかはわかりません。

でも、未来ちゃんが八代目を襲名するからには、ワタシも自分に課せられた役目を果たしたい…そう、思ったからです。」


「そうですか…

自分も長年女として生活しましたけど、事件の少し前に男に戻り、ようやく昔のギラギラしていた時代の感覚ってのが蘇ってきたところだったんです。

愛していた大西が殺され、自分でカタをつけたいと思いましたが、こんな体では何の役にも立ちそうにありません。

薫さん、俺はここであなたや未来さんを応援するくらいしか出来ませんが、どうか死なないで下さい。

あなたに何かあれば、一番悲しむのは、あの世にいる多喜なんですから。」


亮輔の言葉に、薫は、何も言わずに深々と頭を下げた。
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