ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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最終決戦篇

不退転の具体点

未来は、黒のワンピースを着て事務所の自分の席に腰掛け、難しい表情を浮かべながら、鷹村と話し込んでいたが、未来に復讐の意思があるとわかった鷹村は、それを抑えようと必死になっていた。


「未来さん
マスコミ戦略が奏功して、大友動きを封じ込める事が出来た。

これは、全て未来さんのおかげです。

しかし、ここから次の一手をこっちが指すとなれば、無傷では済まない。
復讐したい気持ちはわかりますが、自重すべきです。」


「鷹村さん、それはよくわかっています。

私怨で動いても、組にも迷惑をおかけしますし、せっかくここまで積み上げてきたものをワタシも台無しにしたくはありませんので。」


「気持ちを汲んでいただいて、ありがとうございます。」


「鷹村さん。
ワタシは今月末をもって、垂水組の八代目を辞し、警察に対し引退届を出します。」


「えっ…」


「ワタシの役目はこれで終わりです。
もう素人にできる事は何一つありません。

鷹村さん、今まで本当にありがとうございました。

あなたがいなければ、ワタシはここまでやれなかったと思います。」


「そうですか…

未来さん、あなたには類稀なる才覚があります。

この世界に居続けても、きっと成功されていたと思いますよ。」


「ワタシは、ただ、主人がやり残した事について、道筋を付けたかっただけです。

それには、抗争などという不安定極まりない状態になるのだけは避けたかった。」


「その若さで、見事な手腕でした。

さっき、あなたの話を聞いていて、てっきり復讐心に燃えているのではないかと、心配しました。

あなたの考えてる敵討ちというのは、こういう事だったんですね。」


鷹村は、安堵し、笑みを浮かべた。


「ところで、鷹村さん

薫さん…

新田薫さんはどうされてますか。」



「ああ、沢木組に復帰した新田ですか。

彼女は、未来さんよりひと足先に組を抜けましたよ。」


「えっ…」


「彼女も未来さんと同じ気持ちからヤクザの世界に戻ってきたようですが、先々代の沢木組長の未亡人で、沢木小百合って人物から、復讐心なんて捨てろと説得されて、どうやら諦めたようです。」



「そう…

薫さんが…」


「たしかに大切なものを奴らに奪われてしまったが、今も大切なものが存在していると、気付いたんでしょうな。」


「今も?」


「ええ。

それは、あなた自身の命ですよ。」

鷹村は、真剣な表情で未来に言った。
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