ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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最終決戦篇

final phase

「若森さんはこちらの組を辞められたと聞いていますが、本当ですか。」


未来は、落ち着いた口調で大友に言った。


「さあ、どうなんやろ。

どっちゃにしてもアンタには関係のない話や。

そんな事より、ここで帰るか、もうちょっと長居するか、早よ決めてんか。

長居されるんやったら、こっちももてなす準備をせなあかんからな。」



大友は未来にそう言い放ち、キムの方を見た。

キムは、未来がどう答えるか、冷徹な目で観察していた。


「ご自分達が犯された罪に対して、反省される様子もないようですから、そろそろ失礼させていただきます。


と、言いたいところですが…


最後にお見せしたいものがありますので、ご覧いただけますか。」


未来はそう言うと、側に置いていた自分のバックから携帯を取り出した。

そして、画面を開いて何やら操作すると、大友達の方に差し出した。


大友、多村、キムは、思わず身を乗り出して、その画面を見入った。



「!!」

画面に映し出されたのは、まさに大友本人であった。

自身の後頭部の上辺りが映っている…


「あっ!」


いつも、若森は大友の斜め後ろ前方におり、話を聞いていた。

このカメラの角度は、若森が携帯の録画をオンにしたまま、胸ポケットに入れ、カメラ部分だけを出していたのか…
まさにそんなアングルだ。



そんな事は何も知らない当時の大友は、多村とキムとペラペラと喋っており、その内容も決定的なものばかりだった。







「おーっ、ついにやったか!」


「さすが、キムね!
あとは、何人死んだかだね。」


「今、ホテルの周りは警察、救急車、マスコミ、野次馬でごった返し、すごい事になっています。

さらに詳しい事はもう少し後になります。」


「いえ、そのうちニュースで誰が死んだかなんてわかるし。

それよりも捜査の手がこちらに及ばないようにするのが先決よ。」


「今回の実行犯は、垂水組から絶縁された神頭会の構成員です。

垂水に対してかなり恨みを持っていたらしく、我々の作戦に協力を誓ってくれました。」


「いや、キムはん
ちょっと待ってくれ。

神頭会いうたら、ワシらと敵対する組織やないか。
そもそも垂水に絶縁されたんも、ワシらと戦争も辞さないという思想を嫌われたからやろ?

それがなんで、ウチの得になるような事をするんや。」


「神頭会にとって、今や憎しみの対象は垂水組であり、大友さんのとこへの関心は薄れてきていました。

それと、地獄の沙汰も金次第って諺がありますが、実行犯の男は金を必要としてましてね。

前金でかなりの額を支払いました。

残りの金もきちんと払うつもりですよ。
指定された口座にね。」


「さすがやな、キムはん。

恐れ入りました。
でも、それで犯人は事の真相を話したりはせんやろな?」


「まあ、それも金次第って事で、口を割ればどうなるか、重々説明しています。

そいつは家族思いのヤツでしてねえ。
まとまった金が必要だったのも、母親のガン治療の薬を手に入れるためだったんです。」


「あー、ごっつ高いやつやろ。
何かで見たことあるわ。」


「ええ。
そんな家族思いのヤツです。
裏切って口を割ればどうなるかという想像力は容易にはたらくことでしょう。」


「さすがはキムね。
よく、そういう人間を見つけたわね。」


「まあ、それが仕事ですから。

お二人は、安心して事の成り行きを見ていて下さい。」



未来は、動画が終わると、携帯を自分の方に引き戻し、呆然とする三人を無表情で見つめた。
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