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矜持
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珀は、幼き日から培ってきたレスリングの基礎経験値において、今からスパーリングをするミサトに対し、大きなアドバンテージを持っていると感じており、さらに、リングの中央で向き合った瞬間に、ミサトがレスリング経験者でないということがわかった。
構えからして違う。
それに…
「あの、よろしくお願いします。」
少しおどおどしながら頭を下げて挨拶をするミサトを見て、負ける要素は存在しないと確信したのである。
ミサトは顔、体つきを含めて女子にしか見えず、同い年とはいえ、知らないものからしたら男子と女子の戦いに見えた。
「それじゃあ初心者同士だし三分間でいいね。」
ミカは、ゴングを鳴らすように指示を出した。
カンっ!とスタートを知らせるゴングが鳴らされ、試合形式のスパーリングが始まった。
時間は三分。
素人や練習生にとっては、この三分だけでもかなり大変だと思われた。
コーナーから、ゆっくりリング中央に向かう珀は、既に最初にする動きを決めていた。
ミサトと近づき合い、軽く手でタッチ。
ここから、レスリングで培った高速タックルで倒し、グランド技に持ち込もうと頭に描いていた。
ミサトは、多分素人に違いないが、ひょっとしたら何かの格闘技をしていたかもしれない。
手がわからない以上、自分のアドバンテージを活かすしかない。
予定通り、中央で軽くタッチして少し距離を取って見つめ合う二人。
珀は、両腕を前に出し、タイミングを測った。
(よしっ!)
ここだ!という場面で、ミサトの足に向かってタックルを決めようとした珀だったが、飛び込む事ができなかった。
何故なら、ミサトが逆方向に走り出し、ロープに自身の体を投げるようにしたからだった。
「!!」
自分が頭で描いていたプランに狂いが生じ、戸惑う珀は、すぐにこの状況に対処すべく、修正しようとするが、練習生にもなれず、独学でプロレスの練習をしている身分では、引き出しが全く存在しなかった。
故に、ロープの反動を利用して自分に向かってくるミサトの技を見てから、対応策を出そうとしたが…
ミサトは、いきなりドロップキックを珀に見舞ってきた。
珀はまともに受け、後ろに勢いよく倒れ込んだ。
受け身は取ったが、予想もしていない大技を食らい、頭が真っ白になってしまった。
そして、立て直そうとしたときにはもう遅く、珀の背後に回り込んだミサトはRNC…リアネイキッドチョーク(裸絞め)を完璧に決めた。
これには、もうどうしようもなく、珀にできる事とと言えば、極めたミサトの腕をタップし、ギブアップする事だけだった。
開始、僅か十秒
珀は惨めなまでの惨敗を喫した。
構えからして違う。
それに…
「あの、よろしくお願いします。」
少しおどおどしながら頭を下げて挨拶をするミサトを見て、負ける要素は存在しないと確信したのである。
ミサトは顔、体つきを含めて女子にしか見えず、同い年とはいえ、知らないものからしたら男子と女子の戦いに見えた。
「それじゃあ初心者同士だし三分間でいいね。」
ミカは、ゴングを鳴らすように指示を出した。
カンっ!とスタートを知らせるゴングが鳴らされ、試合形式のスパーリングが始まった。
時間は三分。
素人や練習生にとっては、この三分だけでもかなり大変だと思われた。
コーナーから、ゆっくりリング中央に向かう珀は、既に最初にする動きを決めていた。
ミサトと近づき合い、軽く手でタッチ。
ここから、レスリングで培った高速タックルで倒し、グランド技に持ち込もうと頭に描いていた。
ミサトは、多分素人に違いないが、ひょっとしたら何かの格闘技をしていたかもしれない。
手がわからない以上、自分のアドバンテージを活かすしかない。
予定通り、中央で軽くタッチして少し距離を取って見つめ合う二人。
珀は、両腕を前に出し、タイミングを測った。
(よしっ!)
ここだ!という場面で、ミサトの足に向かってタックルを決めようとした珀だったが、飛び込む事ができなかった。
何故なら、ミサトが逆方向に走り出し、ロープに自身の体を投げるようにしたからだった。
「!!」
自分が頭で描いていたプランに狂いが生じ、戸惑う珀は、すぐにこの状況に対処すべく、修正しようとするが、練習生にもなれず、独学でプロレスの練習をしている身分では、引き出しが全く存在しなかった。
故に、ロープの反動を利用して自分に向かってくるミサトの技を見てから、対応策を出そうとしたが…
ミサトは、いきなりドロップキックを珀に見舞ってきた。
珀はまともに受け、後ろに勢いよく倒れ込んだ。
受け身は取ったが、予想もしていない大技を食らい、頭が真っ白になってしまった。
そして、立て直そうとしたときにはもう遅く、珀の背後に回り込んだミサトはRNC…リアネイキッドチョーク(裸絞め)を完璧に決めた。
これには、もうどうしようもなく、珀にできる事とと言えば、極めたミサトの腕をタップし、ギブアップする事だけだった。
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珀は惨めなまでの惨敗を喫した。
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